埼玉県在住の団体職員で全国の廃村や過疎地域を訪ね歩いて旅行記をまとめている浅原昭生さん(51)が15〜19日、本県を訪れ目標としていた47都道府県の廃村踏破を果たした。1989年に住民が集団移転し廃村となった西都市寒川や同市片内など10カ所を訪ね、往時に思いをはせていた。
浅原さんはこれまでに学校のあった廃村や過疎集落を370カ所以上を訪ね歩き、廃村や過疎地域のデータなどをまとめた冊子「廃村と過疎の風景」(第1〜6集)を自費出版。集落を支えた産業別分類などをデータに取りまとめた同名のホームページも開設している。
全国を訪ね歩く中で、2007年頃から全都道府県の廃村踏破を意識するようになり、47番目となった本県は4泊5日の日程で西都市や諸塚村などを訪ねた。
17日は仲間4人と共に、1989年に高齢化した住民の集団移転で廃村となった同市寒川で住居や学校跡などを見学。浅原さんらによると、全国の廃村に比べ手入れが行き届いている一方、木造住居はトタン屋根や雨どいなど金属部分が撤去され骨組みだけが残されるなど全国の廃村と共通する部分も多かったという。
浅原さんは「寒川の大規模な集落の様子がはっきり分かった。今後も全国の廃村の情報を集め、時間の経過とともに埋もれてしまう歴史を少しでも形に残していきたい」と話していた。