「木のひげ」パンの酵母
−干しブドウからとりだす天然酵母−

国産小麦粉を使った天然酵母パンの作り方


はじめに

レーズンから酵母を作るパン製造法は、フランスの古くからある伝統的な手法です。
店頭で普通に売られているパンの小麦は、グルテン度が高いので、やわらかい仕上がりになります。
ところが、フランスパンを召し上がった方ならよくおわかりのように、フランスの小麦はグルテン度が低く、固い感じの仕上がりになります。日本の小麦はフランスの小麦のグルテン度に近く、この製法は、国産小麦粉パンに適した方法といえます。
干しぶどうを使う理由は、通年手にはいるということ。他の果物は、季節によって手に入りにくいものもあり、季節によって天然酵母の素材を変えていたのでは味が変わってしまうからです。

ここでは、干しぶどうから天然酵母を取り出す方法と、パンを作る過程を簡単に説明しましょう。
くわしくは、「木のひげ」のパンの作り方を解説した本に、写真やイラスト入りで詳しく述べられていますのでリンク集の書籍を参考にして下さい。
干しぶどうから天然酵母を取りだす。(パン種を作る)
1.干しぶどうから酵母をとる。 コーヒーの空瓶など、金具で密閉できる容器を用意し、雑菌や他の酵母などを除去するために、よく熱湯消毒する。ここに、軽く水洗いした干しぶどう(約200g)を入れ、水をブドウがつかるぐらいに入れ(2倍程度)密閉する。
ブドウがふくれてきたら、水を足し、これを2〜3回くり返す。
干しぶどうが、水を吸わなくり、気泡がでてきたら、1日1回容器を振り、ふたを開けてガス抜きをするのがみそ(プシューという音がしてアルコール発酵のにおいがすればOK)。これをしないと、カビがでてきてしまう。
5〜7日たって、干しぶどうが水の上に浮き上がってくれば、発酵終了である。
2.発酵エキスをしぼる。 発酵が終わったら、ガーゼなどの粗い布の上に全て取りだし、発酵エキスを絞りとる。
できたエキスは、冷蔵庫に保存する。これで2〜3週間は保存できる。
3.酵母を培養する。 第1回目の培養:発酵エキス100gと、全粒粉125gをボウルに入れ、10分程度手でよく混ぜ合わせてから、よくこねる。丸くして、これをビンに入れて培養する。6〜8時間で2倍ぐらいになる。
第2回目の培養:更に、全粒粉200g、水150ccを加えて、手でよくこねる。もう一度ビンに入れて培養する。また6〜8時間かけると、2倍ぐらいになる。
これでパン種の完成である。
天然酵母でパン(パン ド カンパーニュ)を焼く。
1.パンの材料を用意する。 「パン ド カンパーニュ」1kgの生地を作るには以下の材料をあらかじめ量して用意しておく。

天然酵母(パン種)
200g
南部地粉
290g
全粒粉
200g
自然塩
9g

310g

2.パンをよくこねる。
ボウルに天然酵母を入れ、水をそそいでよく溶かす。
これに、南部地粉と全粒粉を加え、手でよく混ぜる。はじめはべとつくがグルテンがでてくるとまとまりやすくなる。全体に力がいきわたるように、まるめるようにこねる。

約5分間こねたら、自然塩をよくもみほぐしながら加える。さらに10分間よくこね、まるく仕上げる。
3.第一次発酵。 表面が乾燥しないように、濡れたふきんなどを上からかけ、約30度のホイロで、約1時間半発酵させる。
第一次発酵後、生地が膨れ上がっていれば成功。
4.生地を休ませる。 少量の打ち粉をした台の上で、生地を丸めて、半分に分割する。オーブンが小さい場合は、細かく分割する。へそを下にして並べ、上から濡れふきんをかけて、生地を20分間休ませる。ここで、分割で傷んだ生地を回復させる。
5.成形。
外側の生地を中へ丸め込むようにして、
台の上で転がしながら、へそをしたにして
丸く成形する。
6.第二次発酵。

発酵カゴ(パヌトン)にへそを下にして生地を入れ、
30度のホイロで、更に1時間半発酵させる。


順調に発酵中の半角パン
7.切れ込み入れ。

ティーブレッド
発酵が終了したら、かみそり(両刃かみそりなど)で、
生地の表に切り込み(クープ)を入れる。
これは、焼いたときに水分を蒸発をしやすくし、
また、生地の膨らみをよくするためである。
8.パンを焼く。
生地をオーブンに入れ、
230度で40〜50分焼き上げる。


ティーブレッドの釜入れ
9.焼き上がったら、さます。
 

焼けてすぐは熱いので、オーブンから取り出し、風通しのよいところでさまして、完成。


E-mail: kinohige@din.or.jp