「廃村と過疎の風景(5)」

「廃村 千選」U −西日本編・産業別編−



長崎県小値賀町(野崎島)の廃村 野首(Nokubi)の小中学校跡です(平成12年 8月11日(金))。




編者が確認した全国の「学校跡を有する廃村・高度過疎集落」(学校の所在は昭和34年以降)は 1000ヶ所です(廃村755ヶ所,高度過疎集落245ヶ所,以下「廃村 千選」と略す)。

「廃村 千選」は,「廃村と過疎の風景(3)」〜学校跡を有する廃村〜の旅(平成17年8月〜平成20年8月)に並行して全国の廃村・高度過疎集落(以下「廃村」と略す)を「全国学校総覧」,「へき地学校名簿」,地形図,住宅地図などの資料を調べて,独自に編集・作成したものです。当初,「廃村と過疎の風景(3)」と同時期に冊子化し,Webでの公開は未定だったのですが,冊子としてまとめるには分量が大きくなり過ぎました。また,Web上でも公開し,多くの方に見ていただきたくなりました。
「廃村と過疎の風景(3)」のまとめが終わり,冊子ができたことを受けて,「廃村 千選」は二分割し,東日本編を「廃村と過疎の風景(4)」〜「廃村 千選」Tとして,西日本編を「廃村と過疎の風景(5)」〜「廃村 千選」Uとしてまとめることになりました。

「廃村 千選」は,全国の「廃村」の様子をより客観的に見ることを主眼しています。公的な施設である学校は,規模やへき地等級,閉校年などのデータがあるため,「廃村」の様子を調べるための拠り所となります。
また「廃村 千選」は,は都道府県別の分類を基本としており,西日本編では北陸,関西,中国,四国,九州,沖縄の26都府県の319ヶ所の「廃村」をまとめます。また,産業別編では,農山村,戦後の開拓集落,鉱山関係,林業集落,炭鉱関係,離島(半農半漁)といった産業別の分類でまとめています。ダム関係,冬季分校関係,へき地5級地といったテーマ別の分類でもまとめています。
冊子は,地図や詳細資料を加えて,「廃村と過疎の風景(4)」〜「廃村 千選」T −東日本編−,「廃村と過疎の風景(5)」〜「廃村 千選」U −西日本編・産業別編− として,まとめます。


「廃村」を目指した旅が,里山歩きのように一般的なものになれば嬉しく思うところですが,同時に地域の方に迷惑をかける機会が生じる心配も感じます。
「廃村」を訪ねるとき,注意したい事項は,次の4点です。


 ◎1 「廃村」は地域の方のものであり,「見せていただく」という気持ちを大切にする(「神社やお地蔵さんを見つけたら手を合わせる」など,具体的な形を身につけておくとよい)。

 ◎2 住居がある「廃村」をクルマやバイクで訪ねるときは,なるべく早く下りて,歩いて探索するよう心掛ける。

 ◎3 現地で地域の方とお会いしたときは,積極的に「こんにちは」などのコミュニケーションを取るよう心掛ける(このとき「学校跡を探して訪ねたのですが,どちらにあるのでしょうか?」という明確な目的が会話に含まれると,スムーズにコミュニケーションを取ることができる)。

 ◎4 「ごみを捨てない」,「ものを持ち出さない」などの基本的なマナーを守る。



「廃村 千選」には,ダムに沈み離村記念碑しか残されていない集落,碑も立てられず林に帰した集落も含まれています。また,少数の地域の方が住まれる集落(高度過疎集落),出作小屋や別荘が立ち並ぶ集落も含まれています。そして,訪ねたことが実感できる,往時の学校の建物が残る集落,敷地跡が残る集落も含まれています。
その全容は,全国1000ヶ所の「廃村」をひとつひとつ,訪ねてみなければ知ることはできません。

「廃村」を目指して旅をされるのであれば,是非「集落の要」として位置付けられていた学校跡を訪ねてください。「廃村」がもつ「わびしさ」「さびしさ」と「のどかさ」が感じられるのではないかと思います。





野崎小中学校跡そばの丘の上には,レンガ造りの天主堂が残されていました(平成12年11月26日(日))。



(注1) 「廃村 千選」における廃村(集落跡)は住民がいない集落(1戸程度が残るもの,冬季無人集落を含む),高度過疎集落は5戸以下程度(冬季分校所在地は3戸以下程度)の集落です。集落跡の数は,「廃村」の数から高度過疎集落の数を除いた数です。

(注2) 「廃村 千選」における学校は,昭和34年4月以降に存在した小学校とその分校,冬季分校です(中学校,高校等,昭和34年3月以前に閉校した学校は含みません)。

(注3) ●は編者が訪ねた「廃村」がある都道府県,◎は編者が訪ねた「廃村」がある分類です。は「廃村」のない府県です。

(注4) 学校数,へき地等級のデータは,昭和34年4月現在のもので「へき地学校名簿」(教育設備助成会刊)によります。ただし,石川県,福井県,京都府,鳥取県のデータには冬季分校が含まれていないなど,いくつかの誤差が考えられます。

(注5) 沖縄県のデータは,昭和34年4月現在を復帰後の資料(「へき地学校便覧 2001年版」(全国へき地教育研究連盟刊)」と「全国学校総覧 昭和46年度版」(原書房刊))から推定しています。

(注6) このページの市町村名は平成13年4月現在(平成の大合併直前)です。

(注7) お気付きの点があれば,お知らせいただけると幸いです。





「廃村と過疎の風景(4)」〜 「廃村 千選」T −東日本編−