秋田・消えた村の記録 2000年秋 その2

秋田・消えた村の記録 2000年秋 その2 秋田県鷹巣町小摩当, ____________
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比内町金山,鹿角市切留平,老沢

開拓集落があった切留平の分校跡にて。敷地は除雪基地になっていました。



2000/10/8〜10/9 鷹巣町小摩当,比内町金山,鹿角市切留平,老沢

# 13-12
八木沢からは来た道を戻り,途中,R.285の道の駅上小阿仁で,佐藤さんの奥さんに作っていただいたおにぎりを食べて一服して,午後一番に訪れたのは鷹巣町の小摩当(Komatou)という廃村です。小摩当という集落は今もあるのですが,現小摩当は,旧小摩当の11戸が1972年(昭和47年)に小学校の跡地に集団移転したもので,旧小摩当は,現小摩当から2.5kmほど山に入ったところにあります。
そんな事情で,小摩当はよく手入れがなされている廃村で,向かう道は砂利道,田畑は綺麗に耕されていて,白壁の蔵も含めて建物はしっかり残り,神社の鳥居も構えていて,しっかり昔の農村の雰囲気が残されていました。


# 13-13
ところで,「消えた村」には電気・電話の開通という記事が各集落跡ごとにまとめてあって,小摩当の電気の導入は1948年(昭和23年)とのこと。ふと思いついて佐藤さんに祝沢(県南部東由利町にある佐藤さん出身の集落)の電気の開通はいつ頃でしたと尋ねたところ,小学5年生のときだったとの答えをいただきました。佐藤さんは1942年生まれなので,計算すると1953年(昭和28年)頃です。
ランプの掃除は小学生の日常の仕事で,灯油の品質のせいかススで汚れるので毎日磨かなければいけなかったそうです。
山間の集落では,近年まで電気やクルマが入れる道がなかったことも,忘れてはならない事実です。

# 13-14
そういえば,東京の峰や,埼玉の白岩や冠岩,愛媛の旧別子は,車道のない廃村だったわけですが,今もクルマが入る道のない集落ってあるのでしょうか(島なら考えられそうですが・・・)。ここまでまとめていて,そんなことも気になった次第です。
話は秋田に戻って,次に佐藤さんが紹介してくれたのは,比内町の金山(Kanayama)という集落です。ここは大葛(Ookuzo)という金山が古くからあって,江戸時代には,佐渡金山と並ぶぐらいの活況だったとのこと。そして,金山の閉山は1970年(昭和45年)とのこと。
途中,鷹巣町から比内町に入ってすぐにあった小泉分校跡は,集会所として整備されていて,綺麗な花壇が印象的でした。

# 13-15
佐藤さんと一緒に訪れた金山の墓地には,江戸時代からのものを含む300を超えるらしい墓石が並んでいました。あちこちの廃村を巡りましたが,これだけの規模の古い墓地は初めてです。金山の集落には住民も居るのですが,閉ざされた公民館をはじめとして,雰囲気は廃村と同じです。佐藤さんは初めて金山の公民館跡を訪れたとき,錆びた鉄棒やブランコを見て,分校跡に違いないと思ったそうです。
まだ真新しいトンネルを抜けると,一足飛びに鹿角市は旧八幡平村の中心部に到着しました。八幡平着が午後3時頃でしたから,今回の廃村巡りはとても早いペースだったことがわかります。廃村巡りについては,佐藤さんよりも私のほうがのんびり屋のようです。

# 13-16
佐藤さんが目標とした切留平(Kiritometai)の分校跡は,なかなか見つからなかったのですが,現在の切留平別荘地とアスピーテラインのトロコゲートの間,トロコ温泉の宿のすぐそばの現在は除雪基地になっている場所だったことがわかりました。切留平分校は1949年開校,1968年(昭和43年)閉校とのこと。切留平,トロコは戦後の開拓集落で,集落の跡を別荘地としたのが現在の切留平別荘地だそうです。
分校跡からクルマで5分ほどで廃村 老沢にある民宿「ゆきの小舎」に到着。こちらの佐藤さん(佐藤郁男さん,由紀子さん)とも1年ぶりの再会です。よい機会なので「ゆきの小舎」の入口で,佐藤晃之輔さんと私たち夫婦の三人で記念写真を撮りました。


# 13-17
この日の「ゆきの小舎」は,3連休の中日ということで,20人近い旅人が集うという大盛況で,雰囲気ががらりと変わりました。紅葉の季節ということで,今年も西表島以来の縁の群馬県の岩崎さんが来ていました。
翌日(秋田3日目)はうす曇。ひとりならば県境を越えてすぐの松尾鉱山跡にでも足を運びそうなところでしたが,妻も一緒ということで,岩崎さんのクルマに乗せていただき,大沼温泉,後生掛温泉,蒸ノ湯温泉という八幡平の温泉地に,「ゆきの小舎」同宿の方と一緒に5人で紅葉狩りに出かけました。そのメンツと別れて,二人でのんびり過ごした蒸ノ湯温泉のひとときは,とても味わい深いものでした。



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