復讐するは我にあり
ある朝、ジュリが目覚めてリビングに行くと ポポロンさんがせっせとおそうじをしてました。 掃除機をかけたり、雑きんがけをしたり。 「おやおや、どういう風の吹きまわしだろう。 ひとつお兄さんになったからジュリのお手伝いをしなさいって、 誰かさんに言われて心をいれかえたのかしら」 ポポロンさんは散らかし長者です。 いや、散らかし界の王様です。 桜印のハチミツをなめぬいた後、 ビンをほったらかしにして置くので、 すべって転んで頭を打ってヘラヘラしていることも日常茶飯事です。 「感心だなぁ! あ!」 そういうと、ジュリは廊下の足元に張られたヒモにつまづきました。 おまけに廊下にはロウが塗られていました。 頭と腰をしたたか打ち、 おおいてぇ、と立ち上がろうと柱につかまると、 天井から水の入ったバケツが落ちてきました。 「こらぁ、このイタズラクマめ!」 と、言ってからハッと気がつきました。 「ポポロンさんにこんな知恵があるはずないよなぁ。 さては、ぬいぐるみだな。中にあの人が入っているに違いない!」 と、とある伝説の人物を思い浮かべ、 ワクワクしながら毛皮を剥ごうとしました。 「痛いよぉ、痛いよぉ」そう言いながら、 ニセポポロンさんは暴れました。 すると、毛皮は剥げませんでしたが、 バケの皮が剥げました。 そう。タヌキのポポポンです! どうやら、前にケリ出された仕返しに来た模様です。 ジュリがポポポンをはがいじめにしていると、 本物のポポロンさんが現れました。 「まあまあ、そんなに怒らないでよぉ。 ポポポンはここにおいてもらいたいんだよぉ。ダメ?」 ポポポンが、ウンウンとうなずいていると、 ジュリは 「ぜったい、ダメ!! お前なんか絶対にここに住まわせない!」 と、今度は飛びゲリを入れて、 ポポポンを追い出しました。 それから、ポポポンは姿を見せなくなりました。 が、ジュリの車のフロントガラスに大きく 「バカ!」 とイタズラ書きがしてあったり、 玄関にたくさんの赤いトウモロコシが置いてあったり、 結城貢の声色を使ったイタズラ電話がかかってきたりと、 ポポポンの復讐はまだまだ続いています。