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春の旅立ち

季節は、春になり、 ポポロンさん一行も旅発つ日が近づいてきました。 いくら居心地が良くても、いつまでも牧師さんの家に お邪魔になっているわけにはいかないのです。 ポポロンの郷では、一足先に人間の町から戻った ポポルブさんがポポロンさんたちが郷を目指している事を お話しているにちがいありません。 さてさて、ひとことでポポロンの郷に行く、 と言っても、なにせ大きな山を2つも越えて いかなければならないのです。 ノンビリしていては、またもや冬になってしまいます。 まー、新緑の中をみんなでトコトコと歩いていきたい、 と言うキモチはみんな同じことでしょう。 ポポロンさんは、ヤマネコの牧師さんにお礼を言いました。 「キビシイ冬の間、僕たちのお世話をしてくれて ありがとうございました。そろそろ僕たちも出発しなければなりません」 「いやいや、お世話だなんて、 いろいろとお手伝いをしてくれて助かったよ。 みんなと別れるのは淋しいけれど、仲良く気をつけて行きなさい」 そして、大きな象にまたがって、 クマのポポロンさんとネコのニャニャニャンは牧師さんの家を出発しました。 しかし、考えてみれば、元々道に迷ってここに来てしまったポポロンさん達。 どっちが、ポポロンの郷かハッキリしません。 牧師さんの家の周りをウロウロしていると、 それ見た事か、と言うような笑みをニヤニヤと浮かべて、 牧師さんが近づいてきました。 「ははーん、道がわからないんだねー。 じつは、そうだろうと思って、良い近道があると教えて上げようと、 テグスネ引いて待っていたのさ!」 牧師さんは、パオオンの長い鼻を引張って、 「近道」と称する道へと誘いました。 ドンドン、森の中へと連れて行かれるような気がしました。 そして、山の中腹に着くと、男の人がひとりでゴソゴソと なにやら作っています。 どうやら、「虹」 を作っている様子です。 紅・橙・黄・青・藍・紫のキレイな帯を その男は伸ばしていました。 「これを渡っていけば良いさ」 「あー、でも、虹なのに6色ですね。緑が足りないのでは?」 すると、季節は春。山々の緑が一斉に萌えて山を駆け上がろうと言う瞬間 だったのです。透明の帯に緑が反射して、緑の帯が一直線に伸びていきました。 そして、ポポロンさんたちは、虹を渡って、山を越えて行ったのです。

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