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ポポロンさんとポポンプさん

ある朝ジュリが目覚めてリビングに行くと、 見知らぬ男がおりました。 「あやしいものではございません」 というその男は、 上半身裸でしかもフテキな笑みを浮かべていました。 どう割り引いて考えてもあやしいので、 ジュリはすっかり当惑してしまいました。 そのなジュリをよそに上半身裸男は、 金魚バチの金魚を飲み込み始めました。 満面の笑みで。 「これは、困ったことになったぞ」 とジュリが考えているとパジャマ姿のポポロンさんが 後ろから、ヤンヤヤンヤの喝采を浴びせています。 「ポポロンさん、誰なんだよ、このオヤジは!」 「僕のトモダチなんだよ、ポポンプっていうんだ。 南砂で人間ポンプをやっているんだけど、 この間奥さんに先立たれてかわいそうなんだ。 置いてやっておくれよぉ」 しかし、 いきなり人の家に上がり込んで 金魚を飲むようなオジサンを住まわせるのも考え物だ。 すると、ポポロンさんは交換条件に、 今飲み込んだ金魚を普通の、 黒いの、ランチュウ、デメキンと、 言われたとおりに吐き出して見せる とポポンプが提案しているという。 そのような、芸を間近で見れるとは 絶好のチャンスと心は動いたが、 そもそもジュリの金魚。 もどして当たり前の話である。 それに、毎日コイツに飲まれていたんでは 金魚も弱ってくるだろうし、 動物愛護協会から訴えられないとも限らない。 そこで、金魚全部を吐き出させた上、 ケリを入れてポポンプを追い出した、ジュリでした。 でも、 「黒と白の碁石を飲ませて、言ったとおりの色 を吐き出す芸を見てから追い出すんだったなぁ」 とわけのわからないことをつぶやいたのでした。 ジュリ 「ねぇ、どこであんなオヤジと知り合ったの?」 ポポ 「この前、亀戸餃子で飲んでる時だよ」 ジュリ 「ポポロンさんも飲むのかい?」 ポポ 「モチロン僕は食べるだけだよ」 ジュリ 「いずれにしても、やなクマだねぇ」

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