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ポポロン郷からのお客様

ある朝、ジュリが目を覚ましリビングへ行くと、 A4の雑誌くらいの大きさのちっちゃなお布団が こたつの上にチョコンとのっていました。 のぞきこむと、こびとさんがスーピー寝ています。 「ハハーン、またポポロンさんのトモダチだな。 でもこびとさんなら、ごはんもたくさん食べないし、 掃除の時にいろいろ便利かもしれないなぁ」 と、考えているとうしろからポポロンさんが、 「掃除の手伝いなんかしないよ」 と、いいました。 「ポポロンさん、これは誰だい」 するとポポロンさんはいつもとは違って、やさしく 「これは、ポポロンの郷からのお客様だよ。ポポルブさんっていうんだ」 「あ、山の神様かい?」 と、ジュリが尋ねると、 「神様のもとで働いている妖精だよ」 しばらくすると、ポポルブさんは小さな体で、 ウーンと伸びをすると、おおあくびをして 「おはよう」 と言いました (ただし、ジュリにはポポルブさんの言葉はわかりません。 ポポロンさんに通訳してもらいました)。 ポポルブさんは神様に頼まれて、 はるばるポポロンの郷からポポロンさんを訪ねてきたそうです。 そしてジュリに、ポポロンさんの世話をしてくれてありがとう と、小さな頭をペコンとしました。 でも、ジュリは、いつもポポロンさんのしっぽに 大きな洗濯ばさみを付けたり、 「だいじょうぶだから!」 といって、傘を持たせて2階から飛び降りさせているので、 ちょっと気恥ずかしくてモジモジしてしまいました。 その晩は、とっておきの八海山と鴨なべで遅くまで、 ドンチャン騒いだ3人でした。 翌朝、ポポルブさんは、ポポロンさんに何か耳打ちして、 小さな頭をペコンとしてポポロンの郷へ帰っていきました。 ポポロンさんはちょっと泣いてました。 「ポポルブさんとは直接お話しできないんだねー」 と、ジュリが言うと 「うん、ポポロンの郷の者と人間は話せないからね」 と、ポポロンさんは答えました。 後になって気づいた事ですが、 なぜ、ポポロンさんはジュリと話せるのでしょう? 人間と話していけないという禁を破ったポポロンさんは ひょっとしたらポポロンの郷には帰れないのかもしれません。 そう伝えに、ポポルブさんはやってきたのでしょうか。 ポポロンさんがここに居てくれるのはうれしい事ですが、 ポポロンさんの気持ちを考えて、 その晩、 ジュリはちょっとだけ泣きました。

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