路地裏の少年
ポカポカ陽気の午後、 ニャニャニャンがお昼寝中の ポポロンさんを訪ねてきました。 まぁ、いつも寝てますけど。 「おいおい、いつもゴロゴロしてるなぁ、お前は」 「あ、ニャニャニャン、おはよう」 おはようの時間はとっくに過ぎてますけどね。 「そのニャニャニャンっていうのやめろよ。 俺様はビリーって言うんだぜ!」 「わかったよ、ニャニャニャン」 だから、わかってないって。 ニャニャニャンが来たのは他でもありません。 最近、この土地にも飽きてきたので、 ちょっと旅に出ようと思ったのです。 口は悪いのですが、意外と小心者なので、 体の大きなクマを連れて歩けば、 鬼に金棒と思ったからです。 「な、どうだよ。 お前もここでゴロゴロしててもつまんないだろ? それにたまには人間と離れて暮らさなきゃ、 野生のカンが鈍るぜ」 「でも、ジュリが寂しがるからなぁ」 「たまには寂しがらせた方が ありがたみが沸くんだぜ。 さあ、家出だ! レッツ・ゴー!」 「家出かぁ。じゃあ、今晩、ジュリに言ってみるよ」 「おいおい、それじゃあ、 家出にならんだろうが。 旅に出ますと書置を机の上に置いとけばいいんだ!」 「なるほど。ハモニカと小銭をポケットに入れなきゃね」 その晩、ポポロンさんは書置を書きました。 が、字がわかりません。 「ねぇ、ジュリぃ、”旅に出ます” ってどう書くの?」 「ははーん、家出するつもりだな。で、どこに?」 「わかんないよ。ニャニャニャンと行くんだ」 「あ、あのイタズラ猫ね。で、いつ帰ってくるの?」 「わかんないよ」 翌朝、ニャニャニャンがこっそり ポポロンさんを訪ねてきました。 「(小声で)おいおい、ポポロン、そろそろ出発だ」 と言うと、ジュリが出てきて、 「気をつけて行ってきてね」 「げげげ、バレてるじゃないか!」 そして、ジュリにお小遣いをもらいました。 「あ、ポポロンさん、 お茶のセットは持ってかないの?」 「あ、そうそう、忘れるところだったよ!」 「だから、そんなものいらねーって! 遊びにいくんじゃねー!」 と、ニャニャニャンは叫びました。 結局、あーだこーだ大騒ぎしながら、 昼過ぎにポポロンさんと ニャニャニャンは出かけていきました。 どこを目指すのかって? あてのない旅ですよ。とりあえず北かなぁ。