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2008年6月例会:
ほんとひみつ「初めてでも大丈夫」編
例会に参加してくださったみなさま!
ありがとうございました。
ゲストの方々のご厚意により、例会でご紹介いただいた本のリストを頂きました。一部の方からはコメントもいただきましたので、ご紹介します。
当日のゲストは以下の方々です。
牧眞司さん(SF研究家)
三村美衣さん(書評家)
北原尚彦さん(作家・翻訳家)
日下三蔵さん(アンソロジスト)
溝口哲郎さん(古本者)
当日は、梅雨ということで前日より雨模様。「この企画って、雨に弱かった〜」。大切な本を雨の日に持ち出すことは、なかなかできませんよね。次回ファン交でこの企画をするときは、乾期にしますね。皆さん、大切な本をお持ちくださりありがとうございました。
★1番登場:牧眞司さん★
■「ほんとひみつ」の起源を探る編
●Mike Ashley(ed.) THE HISTORY OF THE SCIENCE FICTION MAGAZINE VOL.3 1946-1955 (CONTEMPORARY BOOKS, 1977)
[バリ島で三村美衣が発掘してきた本。この本が『SF雑誌の歴史 パルプマガジンの饗宴』出版企画で重要な役割を果たすことになる。]
■いかにしてぼくは本を集めるようになったか編
●西澤勇志智『理科讀本 炭素太功記』(慶文堂書店/プレゼント叢書、大正15年)
[ぼくがSFMを読みはじめたのは1973年1月号。ちょうどこの号から横田順彌さんの『日本SFこてん古典』の連載がはじまっている。これを読んだのが、道を踏みはずすきっかけに。横田さんが記念すべき第一回に取りあげたのがこの本。]
●香山滋『魔婦の足跡』(講談社/書下ろし長篇探偵小説全集、昭和30年)
[高校時代に購入。SFの例会で先輩ファンが放出したなかにあった一冊。見返しに手書き文字で「香山滋」とあり、「サイン本だ、すごいすごい」と騒いだら、まわりの連中からは「そんなの印刷に決まってるよ、バカだなあ、マキくんのバカ」と笑われた。それからだいぶ経って、おなじ本の二冊目を入手したところ……]
●香山滋『魔境原人』(同光社出版、昭和34年)
[『魔婦の足跡』のサインが真筆かどうか確かめるために、献呈本を購入。献呈ならば贋筆ということはないだろうという発想だけど……]
●『SF作家オモロ大放談』(いんなあとりっぷ社、昭和51年)
[「ほんとひみつ」周辺は“本本位制”(本でないものは無価値だ)が支配的なので、サイン本だからといって珍重はされない。しかし、これは自分ががんばってサインを頂戴したという愛着があるので特別。座談会参加者全員(出版時に故人だった大伴昌司をのぞく)のサイン入り。]
●中山忠直『地球を弔ふ』(書物展望社、昭和13年)
[前のネタからつづいて献呈本の話。これは、著者の中山が「詩人中佐 柴野為亥知」に贈った本で献呈入り。この詩人中佐とは、柴野拓美さんの尊父である。なんでこんな日本SF史上の貴重な資料が、ぼくの手元にあるのかというと……]
●モォリス・ルヴェル『夜鳥』(春陽堂、昭和3年)
[清水の舞台から飛びおりる思いで購入した高価な古書。しかし、最近のWeb目録に、その半額くらいで載っているのを発見して臍を噛む。値段が下がった理由のひとつは、文庫で再刊されてしまったからで、その責任(?)をたどっていくと……]
■予告したのはこれです編
●半村良『岬一郎の抵抗(上・下)』(毎日新聞社、昭和63年)
[SFセミナーの「ほんとひみつ」では、何度か言及したことのある本。ただ、分厚い上下巻なので持ってくるのが面倒くさくて、現物をお目にかけるのはこれが最初。奥付が「一九八八年二月三〇日発行」となっているエラー本(というのか)で、書店にはほとんど出まわらなかったはず。ぼくがどうしてこの本を手に入れたかというと……]
■洋書コレクターの罪と栄光編
●Frank M. Halpern INTERNATIONAL CLASSIFIED DIRECTORY OF DEALERS IN SCIENCE FICTION AND FANTASY BOOKS AND RELATED MATERIALS (HADDONFIELD HOUSE, 1975)
[SFディーラー一覧。メールオーダーの手引きとなるはずだったが、当時のぼくにはだいぶ敷居が高く、ほとんど眺めるばかりだった。ティム・カークの表紙絵・口絵がステキ。]
●Bradford M. Day THE COMPLETE CHECKLIST OF SCIENCE-FICTION MAGAZINES (SCIENCE-FICTION & FANTASY PUBLICATION, 1961)
[野田昌宏さんのエッセイでも紹介されているコレクター必携のチェックリスト。海外へのメールオーダーをするうえでの基本資料だった。]
●CATALOGUE OF THE FANTASY AND SCIENCE FICTION LIBRARY OF THE LATE P. SCHUYLER MILLER (DRAGON PRESS, 1977)
[SF作家・書評家ミラーの蔵書売り立てのカタログ。こんな立派な古書カタログがあるという見本として。〈星雲〉が10ドル!]
●THE SAM MOSKOWITZ COLLECTION OF SCIENCE FICTION (SOTHEBY'S, 1999)
[サザビーズのオークション・カタログ。図版がたくさん入って眺めているだけで楽しい。いや、眺めているだけが楽しい、セリに参加したら地獄ですよ。このカタログは100部限定の特装版。こんなものまでコレクターズ・アイテムにしてしまう古書業界とは……]
★2番登場:北原尚彦さん★
■「ほんとひみつ」を回顧して
●ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』(ニナ・リッチ/1985年)
[かつての「ほんとひみつ」で、牧眞司氏とバッティングした本。ニナ・リッチのコロンの付録。カバーこそ見慣れないが、中身は創元推理文庫版。]
■文庫版対訳本の歴史
●アラン・ポウ/幡谷正雄訳註『アッシャ家の没落』(健文社・英文学名著選/大正15年)
[英語学習用の対訳本。本の右から訳文、左から原文なので、奥付が真ん中に。広告にドイル『緑玉冠事件』があるので、探求書が増えてしまいました。]
●スティヴンスン『ヂェキル博士』(研究社英文訳註叢書/昭和4年)
[見開き右頁が訳文、左頁が原文となっている対訳本。『ジキル博士とハイド氏』の対訳本をいちいち買っていたらキリがないが、文庫サイズで、かつ挿画が初山滋だったので。]
●小倉多加志編訳『ポケット英語で怪奇小説を読もう』(南雲堂・英語文庫/1982年)
[原文と訳文が細切れでサンドイッチになっている対訳本。W・H・ホジスン、ロイ・ヴィカーズ、J・マーシュと、滅茶苦茶ディープなセレクション。]
●『ポー短編集』(UNICOM/1989年)
[ラジオドラマ版「アッシャー家の崩壊」「おしゃべりな心臓」の対訳シナリオ。カセットと一体になって販売されていたもの。]
■レトロ文庫
●ゴーチエ『金羊毛』(新潮社・ヱルテル叢書/大正9年)
[恋愛小説の叢書の一冊だが、幻想小説作家ゴーチェなので。]
●『寸鐵』(博文館/大正8年4月号)
[大正期に出た文庫版の雑誌。内容的価値・書誌的価値があいまって、古書価は高め。この号には加藤朝鳥のSF「爆弾の花嫁」掲載。]
●『寸鐵』(博文館/大正8年9月号)
[その別な号。連載中の「火星人地球襲来」は、どこにもウェルズと書いていないが『宇宙戦争』の翻訳。]
■リアルタイムで買いました文庫
●『サンリオSF文庫 目録』(サンリオ/1980年)
[割と初期に、刊行60点を記念したフェアにあわせて発行された目録。目録なので、買ったのではなくもらったのですが。]
●武内つなよし『異次元の光体』(秋元文庫/1981年)
[古い特撮ヒーローTVドラマ『少年ジェット』の小説版。ストーリーはかなりトンデモ。今となっては秋元文庫で一番古書価がついている。]
●P・J・ファーマー『淫獣の幻影』(光文社CR文庫/1986年)
[ポルノ文庫から刊行。翻訳は朝松健。続編もあり、そちらにはアッカーマンも実名で登場。でも彼の濡れ場はありません。]
■珍・文庫
●野のひろ『僕らは超能力探偵団』(桜桃書房・怪奇オカルト文庫/1996年)
[これ一冊きりで消えた文庫。作者はSF関係者らしいのに、正体不明。版元はもう潰れました。]
●夢野獏『魔色燃ゆる街』(駿河台文庫/1985年)
[知らないSM文庫、佐伯俊男の装丁、夢枕獏もどきの作者と、三拍子揃ったので購入しました。]
●『スポンテニアス 気』(資生堂ビューティーサイエンス研究所/1990年)
[企業発行のハードカバー文庫。ウィリアム・ギブスンのエッセイ(しかも大森望訳)が収録されている。]
●赤瀬川隼『けんせつshort short ミューズの女神』(大成建設/1995年)
[大手建設会社の社内報の連載をまとめたもの。たぶん非売品。SFネタもアリ。]
★3番登場:三村美衣さん★
■第一回の企画の元になったエピソードを紹介させていただきました。
(エピソードのもとになった本は、牧眞司さんのリスト参照)
■ポップアップブックのひみつ
大人の蒐集に耐えるというよりも、むしろ子供になんかわたせない「飛びだす絵本」をご紹介。
今回持ってきた本は全部まだ買えます!
●『オズの魔法使い』大日本絵画(The Wonderful Wizard of Oz,2000)
ペーパーエンジニア:ローバート・サブダ
[フランク・バウムの『オズの魔法使い』の仕掛け絵本。竜巻が回転し、エメラルドの城のシーンではちゃんと眼鏡もついているという凝った作品。仕掛けの種類も豊富で、バランスもいいサブダの最高傑作。]
●『ナイト・ビフォー・クリスマス』大日本絵画(The Night Before Christmas,2002)
ペーパーエンジニア:ロバート・サブダ
[C・C・ムーアの詩をもとにしたポップアップ絵本。ページを開くという動作連動した動きが楽しい。ページを開くとサンクロースが煙突に入って見えなくなってしまうなど、イマジネーション豊かな一冊。]
●Mommy? SCHOLASTIC(2007)
ペーパーエンジニア:マシュー・ラインハート
[サブダのゲイのパートナーであるラインハートのポップアップ絵本。子供がお母さんを捜して歩きまわるというだけのストーリー。ただしmammyじゃなくてmommyだけど。絵がモーリス・センダックの書き下ろしというのが凄い。
●The Girl Who Loved Tom Gordon LITTLE SIMON(2004)
ペーパーエンジニア:キース・モアビーク
[スティーブン・キングの『トム・ゴードンに恋した少女』のポップアップ絵本。そんなに凝った仕掛けはないけど、絵がB級で怖いというよりも嫌かな。]
●Journey to the Moon LITTLE SIMON(2007)
ペーパーエンジニア:Lucio & Meera Santoro
[汽車から月着陸船まで、乗り物を集めた仕掛け絵本。本を開けると、モビールみたいに乗り物がぶらぶら揺れるのが楽しい。]
★4番登場:溝口哲郎さん★
■ある日突然……
●久米康之『猫の尻尾も借りてきて』(ソノラマ文庫/1983年)
[今は亡き原宿のブックオフで100円で購入。運命的な出会いであった。広瀬正の『マイナス・ゼロ』(集英社文庫)と現代のタイムマシンものをつなぐ、リリカル時間SF。]
[一時期、ある日突然SF・ミステリ系読書人ののもとに届けられ、なぜか様々な人々に読まれた本でもある。ネット上で「猫の尻尾も借りてきて」が合言葉と化しており、ブームになったものの再刊には至らず。ソノラマ文庫でも入手が困難な一冊になっており、捜索難易度は高めであるので注意。]
■SF奇譚を読むと同時に、ビジネス発想もできる実用書?
●かんべむさし『ひらめきの技術』(光文社カッパブックス/1984年)
[最近はすっかりラジオで稼いでいるかんべ氏だが、文系的ロジカル小説を書く人としてもう少し若い人たちに知られてほしい作家でもある。この本はかんべむさし式発想法といっても過言ではない発想法が奇妙な味の短篇という形で読めるようになっている本である。ブックオフ等にある可能性はあるものの、なにせ24年前のカッパブックスのため見つかりにくいかもしれない。]
■早すぎた国産ロボット製造物語?
●石川英輔『人造人間株式会社』(講談社)
[あまりにも売れなかったため、文庫化すらしなかった小説。この本を読んだきっかけは小隅黎先生の一言にあった。傑作なんだけれども、地味である。今現在ロボット製作者が読めば何かしら感慨深いものがある本でもある。リアリティという意味でも、実に地に足のついた佳作SFである。]
■価値観の転換を楽しもう
●村田基『不潔革命』(シンコーミュージック)
[すっかり作品が出なくなってしまったが、価値観の転換ということをうまく表現できる作家のひとりであると認識している。彼の場合ある種の代表作である『不潔革命』が読めないのは大変不幸なことで、その後SFというよりも幻想・ホラーの方面に向かっていったのはややもったいない気がする。]
■円城塔もいいけど、こちらも忘れずに。
●早瀬耕『グリフォンズ・ガーデン』(早川書房)
[VR空間上での恋ものがたりを描いた作品。当時一橋大学の学生だった作者の卒論が本になったという。この本の他に、現代版ドゥエル教授の首作品、別唐晶司『メタリック』(新潮社)とともに読んでもらいたい一冊。円城塔さんより感覚的な感じだが、甘ったるい感じのVRものといえる。]
■SFは絵だねぇ。
●ホリー『光る目の宇宙人』(偕成社)
●スタージョン『人間以上』の洋書版(たぶんリプリント?)
[前者は武部本一郎さんのイラストがとても怖い。特に目玉だけの怪物のイラストは子ども時代に読んでいたら絶対トラウマになる。後者もそんなテイスト。インパクト、というのはSFでは重要だと僕は感じているため。]
★5番登場:日下三蔵さん★
※当日は以下のリスト配布。そのうち数冊は単行本も持参。
【文庫未収録リスト】
■星 新一 「気まぐれ読書メモ」有楽出版社/81年6月 ※書評集
■小松左京 「狐と宇宙人」徳間書店/90年1月 ※戯曲集
■光瀬 龍 「見えない壁」立風書房/79年2月 ※ショート・ショート集
■眉村 卓 「引き潮のとき」早川書房 ※全5巻
■筒井康隆 「発作的作品群」徳間書店/71年7月
■平井和正 「虎はねむらない」ウルフ会/86年5月 ※習作集
■福島正実 「百鬼夜行」早川書房/74年10月
■矢野 徹 「甘美な謎」あまとりあ社/58年12月
■今日泊亜蘭「怪獣大陸」鶴書房/78年3月 ※原型版
■石原藤夫 「横須賀カタパルト」徳間書店/82年7月
■半村 良 「寒河江伝説」実業之日本社/92年1月
■山野浩一 「花と機械とゲシタルト」NW-SF社/81年1月
「レヴォリューション」NW-SF社/83年6月
■山田正紀 「化石の城」二見書房/76年1月
「魔術師」徳間書店/86年8月
■横田順彌 「夢の陽炎館」双葉社/91年9月
「風の月光館」双葉社/93年12月
■川又千秋 「夢魔城」中央公論社/89年2月
■かんべむさし「言語破壊官」朝日新聞社/80年6月
「集中講義」徳間書店/80年10月
■荒巻義雄 「聖シュテファン寺院の鐘の音は」徳間書店/88年5月
■山尾悠子 「仮面物語〈或は鏡の王国の記〉」徳間書店/80年2月
■鏡明 「不死を狩る者」徳間ノベルズ/81年1月
■梶尾真治 「ギャル・ファイターの冒険」小峰書店/89年6月 ※小型絵本
■新井素子 「ネバーランド・パーティ」新書館/85年9月 ※対談集
■夢枕獏 「カエルの死」光風社出版/85年1月 ※タイポグラフィ大型本
「ガキのころから漫画まんがマンガ」講談社/87年3月 ※漫画論
■谷甲州 「36000キロの墜死」講談社/88年1月
■式貴士 「天虫花」CBSソニー出版/83年4月
■森下一仁 「ラグ 宇宙からやってきたともだち」ペップ出版/90年1月
■野阿 梓 「月光のイドラ」中央公論社/93年2月
「緑色研究 上・下」中央公論社/93年11月
「黄昏郷(おうごんきよう)」早川書房/94年4月
■菊地秀行 「魔獣境図書館」朝日ソノラマ/93年6月 ※あとがき集
■大原まり子「機械神アスラ」早川書房/83年3月
■草上 仁 「星売り」早川書房/90年10月
「くたばれ!ビジネスボーグ」青樹社/93年3月
■中井紀夫 「闇の迷路」徳間ノベルズ/89年11月
■朝松 健 「黒衣伝説」大陸ノベルズ/89年4月
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