【9】 隊長は、違法魔法使いに怪し気な術を使われたりしたので、魔法ギルドの方で念入りに検査と治療をする事になった。 キールから説明された内容はそれだけではあるものの、『怪し気な術』の方がどんな術だったのかは、流石に現場に駆け付けた隊の者達は皆分かってしまっていた。なにせ、残されたごろつき共やその死体やらの状態からここで何をしていたのかは一目瞭然であったし、実際生きてる男達の尋問からもそれは判明していたので。ただ問題は、それをシーグルの家族、特にシーグルの妻であるロージェンティにはどう伝えるかで、結局それを知らせにいく係になったグスとランは、まずは首都の屋敷へ行って兄のフェゼントに相談する事にした。 「それで、シーグルは無事なんですか?」 「ご無事ではある、とは聞いているのですが……我々は会っていないので正直詳しい状況は分からないのです」 「なら、誰に聞けばそれが分かるのですか?」 「とりあえず、一番ウチで状況を知っているのは文官殿なんですが、どーにもうまくはぐらされるというか……そもそも、隊長本人が、今は誰とも会いたくないと言っているという事で」 「それは、身内である私たちにも、という事ですか?」 「そうです、ですからこうして知らせる為に我々が来ました」 「では、シーグル本人から親書を受け取ってきてください。私たちはともかく、シルバスピナ夫人がそんな説明だけの理由で納得できるとは思いません」 グスとしては、『俺達も納得できてないのにどうやって身内を納得させろっていうんだよ』という気持ちで来ているので、そもそも使者らしく『報告に来ました。私は何も知りません』で通せる筈がないのだ。 それでも一応、どうにかシルバスピナの本家への連絡は向うからしてもらえる事になって、代わりに必ずシーグル本人からの親書……つまり声を入れた石を貰ってくる事を約束させられたのだった。 「向うの言い分は当然だ」 「ンなん分かってるっ」 隊唯一の妻帯者という事で今回同行してもらったランだが、やはり無口な男は殆ど何も言ってはくれなくて、これならいつも通りテスタを連れてきたほうが誤魔化す事は得意だったかとグスは思う。……とはいえテスタの場合、余計な事を言う可能性も高くて、会話中、心が休まる暇がないというのもあるのだが。 「とりあえず文官殿と交渉するしかないな。まぁ親書なら親書で、手間と検査の関係で遅れたって事で多少の日付は稼げると思うが」 「ついでに我々へも、か」 独り言につっこみを入れられて、グスは不機嫌そうにランに振り向いた。 「当然だ、2つも3つも準備するにゃ大した手間じゃねぇだろ。……それにそれくらいないと、こっちも若い連中を抑えきれねぇ」 実際、マニクやらシェルサに泣きつかれている手前、グスだって泣き言をいいたい気分だったのだ。こっちはこっちで、心配で仕方なくてそれでもどうにも出来ないでいるのに、どうにかしてくれと泣き言を言われる気分を分かれと爆発寸前だった。 「しかし、親書、というのは確かにいい考えだ」 ぽつりと呟いたランのその言葉には、グスも大いに同意する。それに気付かなかった自分の間抜けさに呆れもしたが。 「確かにな、俺もすぐには思いつかなかった。もし隊長が無事で、会いたくないっていうのが本当に本人の言葉だっていうなら、あの人なら無理してでも声くらいはどうにかしてくれるだろ」 状況が状況であるから、シーグルがマトモに話せる状況なのかは分からないが……という不安はあえて今回は考えない事にして。実際の状態を見ていないグス達は、キールの言った『無事』という言葉と『検査と治療が終われば帰ってこられます』という言葉を信じるしかなかった。 そうして二人は、話しながらも中庭を通り抜けて馬を繋いでいるところへ向かっていたのだが、馬の傍にいる人影を見て、グスは思わずため息を付いて眉間を押さえてしまった。 そこには、泣きそうな顔で今か今かとグス達を待っていた青年――ナレドがいた。 「あのっ、アルスオード様に何かあったのでしたら、俺はっ、お世話をしに行きますっ。お願いですっ、連れて行ってくださいっ」 あぁこいつがいたか、というのは心の声で、今度はこの青年をどう説得したものかとグスは頭が痛くなった。 「あー、その、今世話はアウドが付いてるそうだから大丈夫だ。お前さんはこっちで待機しててくれ」 「なんでアウドさんなんですかっ、お世話なら俺がっ」 「いやその場にいたのがアウドだったからだよ。それにな、魔法ギルド関係の施設にいるそうだから簡単に行き来も出来ないって事でな」 「でもっ……」 尚も引き下がる従者の青年を説得するのに、グスはそこで残った気力を絞りつくす事になった。 昼間の首都はまさに人でごった返している。露店を物色している冒険者、買い物帰りの一般市民、そしてそれぞれの神殿へと行って帰ってくる人の流れ。 そんな、大聖堂から中央通りへと抜ける人ごみの中で、ウィアは思わず怒鳴った。 「んだよっ、兄貴の役立たずっ」 だがさすがにその暴言は、隣にいた居候の友人に諌められる。 「ウィア、少なくとも外で、しかも大声で言っていい言葉じゃないよ」 「だってさぁ、いっつも大神官様だって偉ぶってるくせにさ、その程度の情報も持ってないのかってさぁ……」 早い話、ウィアは大神官である兄のテレイズに、シーグルの居所を聞きにいってきたのだった。 どうやら、シーグルは検査と治療をしているらしい……というところまで分かれば、彼の立場上、必ずリパの神殿関係の場所に違いないとウィアは思ったし、それ以前にラークが自分の師匠や他の弟子達に聞いて、医者といえばお約束の植物系魔法使いが関係してもいないという事も調べ済みだった。だから後はリパ神殿関係しかない、とウィアは確信してたのだ……が。 「んー治癒といえば後は……まさかアッテラ神殿関係、とかはないよなぁ?」 「まぁ、体内のすみずみまで調べるって事ならアッテラもないとはいわないけど、シーグルさんがリパ信徒って段階でないと思うな」 「んじゃあれか、調査って事で、アルワナの催眠術っ」 「意識を探るならリパ神殿で『告白』の術でしょ、リパ信徒なんだから……」 「だよなぁ」 ちなみに、部屋に引き篭って外に出る事のないヴィセントを無理矢理連れてきたのは、単に彼が物知りだからだ。ウィアの知識だと思いつくものが限られるが、ヴィセントなら意外なところからいろいろ思いついてくれる……というのを期待したのである。 「そもそもウィアさ、シーグルさんの立場上どう考えても特別扱いだと思うし、もし知ってたとしてもそうそう聞いて教えてくれるような話じゃないと思うよ。家族にさえ詳しい話が来ないって段階でさ、何かもっと……極秘扱いの面倒な状況になってるんじゃないかな」 「んーーーー、シーグルは本当に厄介事に巻き込まれるのが得意中の得意だからな……」 「いやそういうのって得意って言わないから……」 ヴィセントは顔を引き攣らせて笑ったものの、何やら考えだす。 ウィアは尚も愚痴を言うくらいしか思いつかなかったが、暫くしてヴィセントが立ち止まった事でウィアも何事かと立ち止まった。 「とりあえず、リパ神殿関係って線はないと思うかな。だってリパ神殿関係にいるんだったら、フィラメッツ大神官はもっと落ち着いていたと思うからね」 「へ?」 ウィアは間抜けな声を上げた。ヴィセントがそれを睨む。 「思い出してよ、ウィア。フィラメッツ大神官は驚いてたでしょ、聞いてないって。知っててシラきる気だったらさ、事前にウィアに聞かれるのは予想出来てるだろうしもっと平然としてたと思うよ」 それでウィアも納得した。確かにそれは彼のいう通りで、兄の性格を考えればそれは間違いない。 「あーそうだな、兄貴はそういう奴だ。んー……じゃ、やっぱ魔法使い側?」 「……そうだね、多分。一番一般的に医者として関わってるのが植物系ってだけでさ、僕達の知らない系統の魔法は一杯あるし。もしかしたら体の治療だけじゃないかもしれないじゃない?」 「まてよっ、それってシーグルが精神的におかしくなってるとかそういう状態か?!」 「だから、それは分からないでしょっ、あくまで可能性の話だよっ。それに魔法についてなら、ラーク君に聞けばいいじゃないか。僕だって魔法使いの事は大抵彼から聞いたんだからっ」 「ばっか、あいつにそんな事聞いてみろ、すごーーーく偉そうに上から目線で言ってくるんだぞ。それに、俺じゃ理解出来る訳がねぇっ」 そこら辺については、ウィアは自分を正しく理解している。ヴィセントとラークはなかなかウマがあうらしく、会えば結構話し込んでいるのだが、その会話がウィアにはいつもまったく分からないのだ。 ともかく、なんだか分からない所為で不安ばかり煽られて、ウィアはひたすらいてもたってもいられない気分でどうしようもなくて行動したくて飛び出してきたのだ。とはいえ、兄という手がかりがまったくのはずれでは、その先どうすればいいのか何も分からないのだからどうしようもない。気分ばかりが焦る、そんな時。 「ぼーや達、魔法使いの事が知りたいのかい?」 「ぼーやいうなっ、俺ァこう見えても立派な成人男子だぜっ」 いつもながらの超反射で、ウィアは突然掛けられた声に怒鳴り返した。 そして怒鳴ってから相手を見て、それが老人だという事に気付くと途端に表情を和らげた。 「なんだぁ、まぁ、じーさんになら坊や扱いも仕方ねぇな。でも出来れば、そこの神官さん、とか兄ちゃん、とかもうちょっと別の呼び方してくれっと嬉しいんだけどなっ」 「……ウィアって、お爺さんには怒らないんだ」 「人生の大先輩だからなっ」 呆れたヴィセントと胸を張るウィアを見て、老人はその場で肩を震わせて笑っている。 「いや、悪かったな兄さん達、魔法使いについて知りたいなら、少しだけは教えてあげられるかもしれないと思ってね」 「おぉっ、教えてくれるのかっ、それはぜひぜひお願いしますっ」 「えと、差支えなければ教えて頂けますでしょうか?」 すぐさま飛びついた二人の若い神官青年達を見て、老人はにっこりと笑う。二人を手招きして、道の端に移動して、どっこいしょという掛け声とともに植え込みを囲むレンガの上に座った。 「さて……どこから話すかな。そうだね……見習いでなく魔法使いって認められた人間はまず魔法ギルドってところに所属しているんだ」 「それがあるのがクストノームですね」 「そう、魔法ギルドはクストノームにある。というか、魔法使い達の公共機関……んー冒険者における事務局や紹介所みたいなものは全てクストノームにあるんだよ。だから魔法都市と呼ばれている訳でな」 「へー」 さすがにヴィセントは博識だ、と思いながらも、ウィアも老人の傍に座った。 「そしてギルドは、偉い数人の魔法使い達の話し合いでその運営方針を決めている。で、基本的に魔法使い達はそのギルドの方針に従わなくてはならないし、ギルドの規約は絶対に守らなくてはならない」 「へぇぇええ〜」 先ほどよりも大きく頷いてウィアが相槌を打てば、ヴィセントがウィアの隣に座りながらこっそり、失礼だよ、と耳打ちした。 「このギルドの規約というのがまたえらく細々とたくさんあるそうだが……それよりなにより、彼らは『魔法使い』となった途端にたくさんの一般人が知らない知識を授かる事になる訳で、それらを一切魔法使い以外に話してはいけないんだよ」 「あぁ……確かにラークがそんな事を言ってたな。あ、ラークってのは知り合いの魔法使い見習いな」 老人はそれににっこりと笑顔を返してくれる。だからウィアも、にっこりと笑い返す。 「そうかね、見習いまではギルドとしては一般人と同じ扱いだからね。さて、一般人の知らない世界の秘密をいろいろ知っている……魔法使いというのは、人間とは別の感覚で生きている、ある意味別の存在であるともいえる。 だから魔法使いには一般人の常識が通用しない。彼らにとっては、一般人というのは、何も知らない赤子の集団のように映るのかもしれない……あるいは、我々からみた蛮族達のようにかね」 「それくらい、知識の差があるって事ですか?」 ヴィセントが聞けば、老人の瞳はどこか見定めするように細められ、口元だけに笑みをうかべて答える。 「そう、何も知らない普通の人々を、彼らはずっと上の視点から見ているという事だな」 「なんだよそれ、神様きどりかよ」 ウィアがたまらず怒って言えば、老人は途端に表情を崩し、声を上げて笑った。 「はは、そうさね、一部にはそういう者もいるようでな。だから調子に乗らないように、ギルドが規約で縛っているんだよ。彼らは一般人と争いたい訳じゃないし、いずれは魔法使いじゃない者達も、魔法使いの知識に追いつく事を願っている」 「ふーん、追いつかれていいのかよ。上から見て優越感に浸ってたいんじゃないのか」 やはり魔法使いというものは分からない、とウィアは思う。すると隣にいたヴィセントは少し考えながら、分からなくもないかな、と呟いて、ウィアはやはりこの本の虫の友人ならば、知識があるって者の気持ちが分かるのかと妙に感心した。 「まぁ、完全に追いつく事はそうそう出来ないだろうが、彼らだってそうすれば自分達を規約で縛らなくて済むようになる。それになにより、そうなればクリュース以外の他国でも、魔法使いというだけで迫害される事はなくなっていくだろうって考えさ」 だがウィアは、なんだかその老人の話にひっかかりを覚えた。 「それはどうなんだろな……自分が使えない力を持ってる者って、やっぱそれだけで恐れる人はいるだろうし、迫害がなくなるってのは難しいんじゃないか?」 老人は笑顔のままウィアに聞いた。 「ならクリュースはどうして迫害が起こらないんだい?」 ウィアは腕を組んで、わざとらしく眉間に皺を寄せて難しそうな顔を作る。 「それは、誰でも神官になれば魔法が使えるからだな。しかも普通の生活で魔法の恩恵にあずかってるから魔法に対して抵抗がない」 老人の口角が更にあがって、笑みが深くなる。 「そういう事だ。魔法使い達が目指すのは当たり前に魔法がある世界さ。実際、クリュースというそれがそれなりに成功している国があるんだ、後はこれを他にも広げられればいいだけだろ?」 「まぁ、そりゃ分かるけどさ……なんかだんだん不穏な話になってきたな」 「不穏かい?」 老人はずっと人が良さそうな笑みを浮かべていて、いわゆる見た目は好々爺という感じだと言える。けれどもどこか、ウィアは先ほどから、この老人の話の端々に不穏なものを感じていた。 「あぁ。まるでクリュースが他の国を征服すりゃいいって言ってるみたいだ」 それを聞くと老人は、ははは、と大きく口を開けて笑った。 「確かにな。でもまぁ、何も武力を使わなくても、この国のやり方を広げる方法はあるだろう?」 大笑いはすぐに収まったものの、やはり人の良さそうに笑みを顔に張り付けているこの老人に、ウィアは不気味な何かを感じて仕方なかった。 だから今度はあからさまに警戒を表情に出して、ウィアは老人の顔をじっと見つめた。 「なぁ、じーさん、魔法ギルドの関係者か? それともどっかの神殿の偉いさんかい?」 そこで、先ほどからずっと笑みに細めていた老人の目が開かれる。眉をあげて、じっとウィアの顔を見る。口元はやはり笑みを浮かべたままだが、その目は笑っていない。 「ほう、魔法ギルド関係者だけでなく、神殿の偉いさんときたかね」 「だってあんたの言い方ってさ、武力ではなく、思想を広げていこうって事だろ。そうなると宗教使うのが一番手っ取り早いよな。うん、クリュースみたいに誰でも神官になれて魔法を使えるのなら、わざわざ迫害する必要はなくなる……って考えるのは分かる」 老人はそれにまた口を開けて豪快に笑う。ウィアはそれを気味悪そうに見ていたが、老人はやがて笑いが収まってくると、再び、どっこいしょ、というかけ声と共に立ち上がった。 「兄さんは小さい見かけによらずなかなか核心部分で頭が回る。だから最後に一つ、いい事を教えてあげよう」 「だから小さいは余計だっ……ってかじーさん、言いたい事だけいって去るのかよっ」 老人はそれに喉だけで笑う。 「わしも割と忙しい身でな。いつまでも遊んでる訳にはいかないんだ」 そうして老人は、今度は目どころか口元の笑みさえ消して、ウィアに告げる。 「いいかい。魔法ギルドの方針はシルバスピナ卿を守る事だ、だが同時に、魔法使い達は皆あの青年を狙ってる。ギルドとしての意志は信用していいが、魔法使い個人はそうそうに信用してはならないよ。それを覚えておくといい」 突然出てきたシルバスピナ卿――つまりシーグルを特定する名に、ウィアは驚きすぎてその場で聞いたまま固った。頭の中は疑問符の嵐で、だからウィアは、その老人を呼び止めるのが遅れてしまった。 「ちょ……じーさんっ」 正気に返って声を出した時には既に老人は人混みの中で、ウィアは呆然と間抜けな顔でその場に立つことしかできなかった。 「ねぇ、ウィア、見た?」 掛けられたヴィセントの声で、半ば放心していたウィアははっとして彼に振り返った。 「何を見たって?」 「うん、あのお爺さんね、歩き出す前に軽く左手を胸に当てて右手でその上に軽く円を書いてたでしょ」 「そうか? いや俺見てなかった」 「あぁ、ウィアの位置からだと見えなかったかもね、でも僕には見えたんだ。あれは……リパの大神官か、もしくは地方神殿の司祭様が礼拝の最後にする祝福の祈りだったよね」 言われてウィアは考える。考えて考えて、そういや兄貴がやってるのは見たかもしれない、と思う程度なのだから、ウィアは自分でもこれでよく神官を名乗ってるものだと悪い意味で感心した。 「そうだっけ? うーん、礼拝といえば寝てるか別のこと考えてるかだからなぁ……実際おっさんとか見てても楽しくないし」 長いつきあいのヴィセントは、今更小言を言っても仕方ないとは分かっている為、非難の視線だけで黙って笑うウィアの顔をじっと見ている。 誤魔化しで笑っているウィアとしても気まずいその時間は、結局、はぁ、とやらた大きな声のヴィセントのため息で終了した。 「……ともかく、あのお爺さんはリパ神官のそのくらいの地位の人だってことだよ」 ウィアはそこで胸を張って見せる。なんだか自分でもやけくそだなと思いつつ。 「ってことは、やっぱ俺の推測した神殿関係のお偉いさんってのは当たってたって事だなっ、すごいぞ俺っ」 ヴィセントはまたじとりとウィアを見て……とはいえもう完全にいろいろあきらめたらしく、そこで小さく溜め息をついた。 そんな彼に、少し調子に乗ったウィアは派出にアクションをつけながら、びしっと指を差して言う。 「まぁ、結局のとこさ、そういう偉い人の言葉って事は信用していいんかなっていうくらいの話だろっ」 「まぁ……そうだね」 ウィアにとって重要なのは、リパ神官としての心得とかではなく、あの老人が言った事と、老人自身がリパの偉いさんだという事だ。 そこから導き出される、こちらが欲しい答えは一つ。 「つまり、シーグルは魔法ギルド関係のところにいるって事だ」 カギとなる言葉は『魔法ギルドとしてはシーグルを守ろうとしている』だろう。そんな言葉をわざわざ言ってきて、今のシーグルが危険だとかその手の警告がないのなら、それは魔法ギルドにいるという事だとウィアは思う。 それからウィアはすぐ、思いついた事にちょっとだけ顔を顰めた。やはりここは、ラークに聞かなきゃならないか、と。 --------------------------------------------- すいません、設定確認の回というか……長いのに話が進んでないじゃない!な状態ですorz。 ちなみに、続編ではすっかりチョイ役ぽいウィアですが、ストーリーが進んでくるとやっぱりポイントポイントで物語を回す役目があります。その為、彼も裏でいろいろ動いて貰わないとならない訳です。 |