それはすべて小さな奇跡
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。





  【5】




 シェスは今目の前で起こっている事が信じられなかった。あの緊張感の欠片もない、ゆるい笑みを浮かべていた少年が今浮かべている表情が信じられなかった。これから起ころうとしている事態を信じたくなかった。
 シェスの足を縛りに男がやってくる。その男の体に隠されて、ペイン達の姿はよく見えない。
 隠れつつもちらりと見えるのは、彼の白い肌。
 男の首に手を回し、キスをねだる彼の姿。
 大人の男達の間にあって、小さすぎるその体にのしかかっていく男の体で、その姿は見えなくなる。
 何故か、シェスの目には涙が浮かんできた。
 足を縛り終えると、それを命じられた男も急いで男達の輪の中に戻っていき、シェスの視界はひらける。
 目の前で起こっている信じたくない現実が、はっきりと見える。

 ペインの頭は男の一人の股間に埋められ、ゆるく上下に動いている。時折あがる水音と、男の溜め息のような醜い呻きに、何をしているところかなんてすぐにわかる。

「確かに、言うだけあってなかなか上手いな……」

 男達の荒い息づかい。
 興奮しきった獣のような目。
 細く、頼りない少年の腰に、大きな男の手が伸びる。両手で掴めるその小さな体を押さえつけて、肌の感触を楽しむように滑らせると、小さな尻を掴む、尻朶を左右に開く。
 男がそこに顔を押しつけて、そしてすぐに離す。それからすぐに片手を離し、小さな双丘の間に今度は太い指を入れていく。
 ぐち、と水音が鳴る。
 どうやら先程男はそこを舐めて唾液で濡らしていたらしい。
 そのぬめりを中へ押し込むように、男は指を彼の尻の間で動かしている。指が深く入ると、少年の白い腹がぐっとひっこんで腰が揺れた。

「あ、あぁん……」

 信じられない程甘い、けれども確かにペインの声が聞こえる。
 指を入れている男は、その出し入れする動きを早めている。最初のうちは第二間接まで入れるのがやっとだった動きが、今は指の根本まで埋め込まれ、より深く、より速く、ペインの中を犯していく。
 更に、男はもう片方の手を前に回し、ペインの雄の証にふれる。おもちゃをもてあそぶように手で弄り出せば、小さな腰はその動きを助けるように淫らに揺れる。

「なかなかイイ反応じゃねぇか。おい、こっち挿れてもらったことはあるのか?」

 夢中で男の股間で頭を動かしていたペインは、頭を上げて男をちらと振り返った。

「うん、そっちも使ってまし……た、だから、いれ、て……」

 どこか呂律が回らない口調で答えが返る。
 小さな腰をうねらせて、男に押しつける。

「どんだけガキの頃からやってたんだよ。なら遠慮なく使わせてもらうぜ」

 そういって男は自分の下肢の衣服を開く。
 そこからこぼれるように飛び出した男のものは、父親のいないシェスが見たことがないような大きさで、男の肌の色からすれば明らかに別の生き物のように赤黒い、グロテスクとしかいいようのないモノに見えた。
 それを男は小さなペインの尻にすり付け、両手で思い切り尻を開くとその中へと押しつけた。
 まさか、とシェスは思う。
 ここまで来てもシェスは、あまりにも現実味のないその光景に、それを彼の中へ入れるというのが理解できなかった。
 男は腰を強く押しつける。

「くそ、やっぱせめぇな」

 男は顔を赤くして、何度も腰を振るように押しつけ、ペインの背中に覆い被さる。

「あ、ああああぁぁっ」

 ペインが口に入れたものを出し、叫び声を上げる。
 けれども、とうとう奥にまで入ったのか、男はペインの上で満足げな溜め息をつくと、今度は緩く腰を動かしだす。
 ペインは再び前の男の股間に顔を埋め、後ろの動きに併せて甘い声を漏らしながら、尚も頭を揺らしている。
 そして今度は、ペインに股間のものをしゃぶせている男の方が醜い声で呻いた。と同時に、ペインの頭を掴んで、男は腰を揺らした。

「ン、ンンンンッ」

 ペインが口に銜えたまま喉だけで呻いて、男の動きは止まる。
 それでも、後ろの男の動きに合わせてペインは喉だけで声を上げ、くぐもった喘ぎが暫く続いた後、そして。

「ふぁっ、あぁっ」

 口を開いたペインが大声を上げる。
 その顔を覗き込んだ後、男は笑い声を上げた。

「いい子だ、ちゃんと飲んでるな」

 男が手を離すと、ペインは肘をがくりと折り、後ろの男が動きを速める。

「あ、あぁぁっ、深いいっ」

 ペインが頭を上げて叫ぶ。大きく開けた口から白く濁った液が床に糸を引いて垂れる。
 彼の反応に気を良くしたのか、男は更に腰を夢中で振り出す。

「あ、あんっ、あぁっ、はぁんっ、ああっ」

 男が動く度に、甘い声があがる。
 小さすぎる彼の体の中は今、あの男のモノが出し入れされているのだ。
 シェスはそれが未だに信じられない。頬を染め、目をとろりと潤ませて、甘い声を上げる彼の姿が信じられなかった。

「ほら、どうだ、気持ちいいのか?」
「はい、いいですっ、あ、すごいっ、いいっ」

 小さな腰は、それでも男を受け止める。
 
「好きモノめ、さすがに体で稼いでただけあるじゃないか」

 男が殊更大きく腰を前後に動かす。
 それにあわせて、ペインの体全体が大きく揺れる。
 小さな体は、押し込まれる度に顎をくっと上げて背を逸らし、引かれる度に体を持って行かれる。彼の小さな頭が激しく上下に揺れる様は、生き物ではなく本当に玩具のようだった。
 その姿が見ていられなくて、シェスは目を下に向ける。
 それでも、人が交じわう興奮した息遣いと熱気と匂いがその現実を否定はさせず、何よりペインの甘い喘ぎと悲鳴が、シェスに見ないふりを続ける事を断念させる。
 男が短く呻いて、腰の動きを止める。
 ペインのか細く甘い、悲鳴にも似た喘ぎが漏れる。

「中々楽しめたぜ、坊や」

 男が立ち上がれば、ペインの体は完全に地面に倒れる。
 シェスの目には、大きく足を広げられたままの後ろからの彼の姿が見えて、今まで男を受け入れさせられていただろう場所から、彼の呼吸に合わせて、とく、とく、とそこが動く度に白い液が押し出されて溢れているのが見えた。
 かっとシェスの体が熱くなる。
 それを否定したくて、シェスは歯を噛み締めた。

「はぁっ、あぁぁぁ」

 高い彼の声が聞こえて、反射的にシェスは顔を上げる。
 見れば今度はあお向けにされたペインの上に、男が乗り上げて腰を振っている。
 男の首に手を回し、抱きつくように男の動きに合わせて腰を浮かせ、背を撓らせるペイン。

「はぁっ、はんっ、ああんっ」

 泣くような声は甘くて、シェスの体をも溜まらない気分にさせる。
 目を閉じても、あの、いつもほんわかとした笑顔だった少年の顔が、切なげに眉を寄せてとろけた目で口を大きく開いているのが見えるようで、シェスは歯を噛み締めるしかなかった。
 縛られたままの手をぎゅうっと強く握りしめる。
 じっと耐えていれば、また彼の悲鳴のような声が聞こえて、肉がぶつかる音が止まる。男達の笑い声と、ペインを揶揄う声が聞こえて、暫くすればまた、別の男がペインの中に入れて動き出したのが分かる。

「おい、坊主、どうしたよ?」

 何時の間に傍に来ていたのか、男の声がすぐ頭上から聞こえて、シェスははっとして目を開いて上を向いた。
 にやり、と嫌な笑みを浮かべた男がしゃがみこんで、その顔が近くなる。
 思わず縛られたまま後ろへ下がろうとしていたシェスの体を、男が掴んで引き寄せる。
 それから、掴んだのと反対側の男の手が、シェスの下肢へと伸びていくと、ベルトを外し、ズボンを下ろす。
 とんでもない格好にされて、シェスは顔を赤く染めた。
 男の笑い声がそれに掛けられる。

「ははぁ、やっぱなぁ。坊主も男だもんなぁ。お友達のあんなの見てたら興奮しちゃったかぁ」

 シェスはますます顔を赤くして、目をきつく瞑った。
 だから、その男がペインを犯している最中の男に目配せして、そちらの男もいやらしい笑みを浮かべたことをシェスが知る由もなかった。
 シェスに分かった事は、洞窟の中とはいえまだ遠くに聞こえていたペインの喘ぎ声が、気の所為か近づいてきていると思ったくらいの事だった。
 だが、それは勿論気の所為ではない。

「あ、あぁん、はぁ、やぁぁあっ」

 確実にすぐ傍で聞こえた声と男の息遣いにシェスが目を開ければ、まさに目の前で、ペインが男に犯されていた。
 立ち上がった男に片足だけ持ち上げられて、立ったまま貫かれている彼の姿。下から見上げているシェスには、男の大きなものがペインの中に入って、その受け入れている彼の肉がひくひくと震えている様までが見る事が出来た。

「ほーら、坊主、お友達にちゃんと見せてやんな」

 傍にいた男の方が、シェスを起き上がらせて壁を背にして座らせる。
 シェスのはっきりと起き上がって存在を主張しているソレが、座った足の間から飛び出しているのを見て、思わず目を逸らした。

「神官様、お友達も興奮しちゃったらしいぜ。可愛そうだからちゃんとイカせてやんな」

 上から男のそういった声が聞こえて、何の事だとシェスが思いつく前に、目の前にペインの体が下ろされる。
 ペインの顔が丁度シェスの足の付け根にくるように、男は彼を下ろし、そして後ろでゆるく抽送を始める。

「あ、あぁぅ……」
「ほら、そっちの坊主のをしゃぶってやんな」

 やめろと、否定を声にする前に、シェスの性器はペインの口の中に引き込まれた。

「う、あ……」

 そんな事をされるのはシェスは初めてだった。勿論、まだ、女性との普通のセックスだってしたことはない。
 暖かく柔らかな中はとろとろで、ぬるりと滑るように舌が感覚の強いところを押してくる。やわやわと口内の粘膜に包み込まれて、形をなぞるように舌のぬめりが回りを擦る。
 我知らずシェスは口を開けて、その蕩けるような快感に熱い息を吐く。
 腰がもどかしくもぞもぞと動く。
 自慰なんかではあり得ない暖かさと柔らかさは、刺激としてはもどかしいくらいゆるくはあるものの、その粘膜特有のぬるぬるとした感触はすぐにでも達してしまいそうな程気持ちが良かった。

「ン……うぶ……ンンァッ……」

 先端が触れている喉が激しく振動して、シェスは堪えきれずに彼の口の中に吐き出す。
 あまりの快感にぼうっと呆けて、それでもゆっくり目の前の彼を見れば、どうやら彼を貫いている男の動きが激しくなったようで、シェスのすぐ目の前、下腹部の近くで、ペインの頭が激しく上下に揺れ、切ない喘ぎ声がひっきりなしに響いていた。
 やがて、男の動きが止まると、ペインの頭がシェスの足の上に落ちる。
 はぁはぁと荒い息を吐き、呆けた瞳で口をシェスの吐き出したものでべたべたにしている彼の顔を見ていると、シェスは自分のものがまた膨れていくのを感じた。
 ペインの体が再び男に持ち上げられる。
 それを目で追っていけば、彼は足を広げられて座るような格好で、再び下ろされてくる。

「あ……だめ……」

 何をするか分かったペインが、そう呟いたのが聞こえた。
 シェスはなんだか見ているその光景に現実感が湧かなくて、呆けたままだまって彼の体が自分の上に下ろされて行く姿を眺めていた。

「坊主良かったな。お友達がお前を男にしてくれるってさ」

 言うと同時に、シェスの性器が男に握られて固定され、大きく足を広げられたペインのそこがそれを飲み込まされていく。

「ぁぁっ」

 小さい喘ぎとも悲鳴ともつかぬ声が、今度はシェスのすぐ耳元で聞こえた。
 先程のやわらかな感覚とは違った、粘膜に絞られるような強い感覚がシェスの雄を包み込み、その強すぎる刺激に反射的にぎゅっと目を閉じた。
 それでも、息を整えると、どうにか彼は目恐る恐る開いていく。
 目の前には、快感と苦痛に顰められた柔らかい少年の顔。
 栗色の長い髪の毛はほどかれていて、汗だらけの体に絡まるように張り付いていて、まるで女の子のように見えた。

「ほら、坊主、お友達の中は気持ちいいだろ?」
「流石に大人のモン銜え込んだ後だけあって、坊主のは簡単に入ったな」

 げらげらと下品極まりない笑い声を上げて、シェスを固定している男と、ペインの両足を持って彼を持ち上げている男が笑う。
 目の前のペインは目を瞑っていて、辛そうに顰められたその頬には涙が流れていた。

「ごめん……なさい」

 大声で笑っている男達には聞こえないだろう、震える声が小さく呟いた。

 ――何故、彼が謝るのだろう?

 薄く開いた栗色の瞳がシェスの顔を映して、そうしてまた涙を零す。
 シェスの中、体ではなく心の奥が、ぎゅうっと締め付けられる。
 シェスはもう彼の顔を見ていられなくて目を閉じるしかなかった。

「俺の方こそ……ごめん」

 シェスの目からも涙が流れる。
 くやしくてくやしくて、歯を噛み締めて涙を流す。

「あ、あぁぁっ」
「うくっ……」

 二人同時に声を上げて、シェスの上でペインの体が持ち上げられて落とされる。
 何度も何度も、シェスの上で彼の体が揺さぶられる。
 締め付けられ、びくびくと刺激を与えてくる熱い彼の中で、シェスは泣きながら然程掛からずに再び射精した。
 男達の笑い声が響く。
 耳元には、体の力を無くし、シェスのものを受け止めたまま、ぐったりと体重をよりかからせているペインの鳴き声が聞こえた。





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エロでした。やっと書けました。かなり酷いエロを目指してみましたがどうでしょう?




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