北海道オフロードTouring'92 9日目





8/19/1992 霧の湿原+林道ツーリング

[羅臼〜上茶路〜浦幌]


# 19 まずは「からまつの湯」にでも・・・

私はなぜかお酒を飲んで寝ると,約4時間で目が醒めるという特技を持ってまして(^_^;)
前日午前1時で寝たということで,起きたのは午前5時。
ノリによってはこの時間までわいわいしてることもありそうなんですが, その日はみんな寝ていて,座敷にそのまま雑魚寝してる人も結構いました。
私のほうも,毛布一枚で転んでいただけなので,そう変わらないんですが・・・(^_^;)
「赤い屋根」といえば,3年前のノートというわけで,見直せば確かにいろいろ書いて あって・・・ なつかしいんで,今回もいろいろ書き残しておきました(^_^;)

午前5時50分頃,曇り空のもと「赤い屋根」を出発。 早起きして,バイクを磨いてた大阪の女性ライダーさんに見送ってもらいました(^_^;)
左手に海とクナシリの見える R.335を走っていったんですが, この日は,十勝の浦幌(Urahoro)いう町まで,林道づたいに内陸を走って行く計画なので, 先日,上流で温泉に入ったという,薫別川を渡ったあたりから, 古多糠(Kotanuka)という集落を目指して内陸へ・・・ 途中無人販売のトマトを買って食べました。
薫別から古多糠を過ぎたあたりまでは晴れてたんですが, 知床半島一周の川北の西七号に入ったあたりから曇って,武佐に着いた頃は霧のような細かい雨(;_;)
この近くには開陽台という,丘の上の展望台があって,看板もいっぱい出てるんですが, 3年前もこの辺を通ったときは天気が悪くて・・・ 相性の悪さなんでしょうか?
そんなわけで,開陽台の寄り道はなしで,寒いくらいのこともあって“露天風呂がいい”となり, 薫別温泉で噂をきいた,養老牛(Yourouushi)の「からまつの湯」を目指して走ることになりました。
「からまつの湯」は,養老牛温泉という,旅館とかもある温泉をすこし山の入ったところにあって, 林野庁が管理してたのを,最近一般に開放したという露天風呂で, 風呂の横には茶屋風の休憩所があったり(もちろん無人),なかなか凝った雰囲気です。
朝7時半ということで,そんなに人はいないだろうという読みがあったんですが, 同じパターンで走ってきた相模ナンバーのオフ車に, 茶屋で泊まったという,偶然同じCB750 という,神戸と新潟の男性が2人.計4人と, そこそこ賑やか。
温泉の横には三脚が2つ構えてあって, どうも神戸さんが写真マニアらしくて,アングルがどーの, 小道具がどーのと,いろいろ楽しんでいる・・・(^_^;)
ついでなんで,写るんですもそのフォーカスで撮ってもらって,
H「露天風呂の紹介のポスターなんか,ぜったい若い女の子やのにねー」
に「その現実は,むさい男が4人とか・・・」
わいわいしてるうちに,小雨の中ながら体は温まっていい気分なのでした(^_^;)


# 20 湿原は相性悪し(;_;)

「からまつの湯」から,林道っぽいダートを走って,中虹別(Nakanijibetsu)に着いて, 小学校の前の道で小休止してると,チャリンコに乗った小学生の大群(といっても15人くらいかな?)が, 忙しそうに門を入って行きました。ひょっとしたら,ぼちぼち北海道では2学期が始まったのかな?
小学校から釧網線の磯分内(Isobunnai)駅までは雨がなく,カッパも脱いでいたんですが磯分内駅でパンを食べて, しばらく走ったところでまた霧雨(;_;)
どうも今日はこういう天気らしいと覚悟を決めて鶴居のほうに向かっていくはずが, 大分走って,着いたところが磯分内(;_;) (最初にもこういうのがあったなあ…)
雨とか降って,特に視界がなくなると,とかく土地勘も鈍ってしまうんですねー(;_;)

そんなわけで,今度は西側をかすめた釧路湿原は,何も見えずで(どうもここも相性が悪いようです), 仕方なく,淡々と阿寒町の中心まで走って,ここで根室警察の罰金を払って,平凡な食堂で昼食。
雨は上がったものの,ぽつぽつした霧状の水滴は相変わらずで,カッパを脱ぐことはできずです(;_;)

#21 霧の日は林道がよい(^_^;)

この町の阿寒川から,西に向かって庶路川,茶路川,音別川,浦幌川と,川が並んで北から南に流れていて, それを縫うような形でマイナーな林道が東西方向にあるということで,それをあてに走り出します。
川の間は,根釧台地とは違って山になっていて(といっても本州に比べたら穏やかなものですが…), 山の間をちょこまかと走ります(^_^;)
さすがにライダーは誰もいなくて,相手は「熊出没注意」「山火事注意」いう看板と, たまに見かける営林署関係の人のクルマだけ。
しかし霧雨ながら,木があるからか,原野を淡々と走ってた午前中よりは景色もきれいに見えて, 案外天気の悪い日は,林道を走るのがオツかも知れない・・・とか,思ったりしました。

まず,ひとつ峠を越えて庶路川(Shoro-gawa)沿い。 林道を抜けて川沿いの道々に出てもまったく静かで林道走りと大差がない。
上庶路の集落からまた林道に入って,峠を越えて, 今度は茶路川(Charo-gawa)沿い (ショロ,チャロ,クシロ,クッシャロ,クッチョロ,クッチャロと何とアバウトな名前の付けかただらふ・・・)の 縫別(Nuibetsu)という集落へ。
いきなり立派な小学校があると思えば,よく見ると自然の家。 ちょうど今年の3月に廃校になったばかりのようでまわりを見れば廃屋も多い。
縫別は,白糠(Shiranuka)町の中心から20kmは山に入った,およそ何もなさそうなところで, 昔は国鉄の駅まであったいうのが嘘のようです。
国鉄白糠線という,マニアには名高い超赤字のローカル線で, JR移行前の83年に廃止になってるということで,かれこれ9年経っているわけです。
茶路川には,鉄橋の跡の橋けたが淡々と残っているものの,他に名残を残すものは何もない・・・
ぼちぼち上茶路(Kamicharo)の集落のほうに走っていくと,上茶路には,しっかりした駅舎の跡がありました。
とても寂しい駅跡にして,往時はちゃんと駅員さんまでいたらしいということで驚くことしきり。
上茶路も旧駅前の旧商店に,白糠線の切符を扱ってたという,アイスクリーム屋の跡, それに廃屋がいっぱいと,集落自体がなくなってしまったような雰囲気もあるんですが, 残っている家はどれもピカピカの家で,ようするに淘汰されて勝ち残った家なんでしょう。
上茶路駅構内には鉄道自転車という,珍しい2人乗りの自転車が2台あって, 駅跡を公園にする予定だったのか,線路は一周300mくらいのトラック状にまとめられていたんですが, これも朽ちていて,自転車を走らせながら,妙な気分になったのでした(^_^;)


そんな上茶路から,峠に向かう林道の入口には,営林署の名前の入林用の白い腕章が置いてあって, のんびりした風情ながら,熊注意の看板と目の前の廃屋に,
“こりゃとんでもないところにきたのでは…”とちょっと気後れするのでした(^_^;)
峠を越えて,音別川(Onbetsu-gawa)水系に入ったところでいちどだけ青空が覗いて,弱めながらも日も 差して一瞬“ラッキー”と喜んだんですが,ほんと短い間の出来事でした。
音別川から浦幌川までの林道は「道東林道」というたいそうな名前が付いていて, 距離もこれまでの4倍くらいある。
しかし,林道の出口には,留真(Rushin)温泉という興味深い温泉もあるということで,行きたいことは違いない。
迷いながら川を下っていくうちにすごい霧となってきました。
たいていは無理をしてでも行こうと思った方向に進むことの多い私としては珍しく, 音別川をまっすぐ下って,海沿いの音別町まで下りていったのでした。
(さすがに悪天候で疲れたようで・・・ 最初の頃の教訓もあったことですし・・・)

宿は釧路管内の音別から十勝管内の浦幌に変わったばかりの場所の ライダーハウス兼ドライブイン「ミッキーハウス」。
布団つき風呂つき 900円というなかなかおいしい内容で, 牛丼を食べて,同宿の大田区から来たという,40近い年配のライダーさんと部屋に戻って まずは宿のビールを頼む。
大田さんはウイスキー,私は例のレジェンドと,差し入れもしっかりあって, 宿のおばさん差し入れの燻製を食べながら,旅の話がはじまる。
大田さんはキャンプ中心に回っていて,雨にめげて今日は初めてライダーハウスを使ったいう話で, 天気の悪いときには,かえってこういう宿ははやるのかも知れません。
どういうわけか,知床のマイナーな温泉の話やら, 今日の白糠線跡の話が大田さんにうけて,笑いが絶えない, すごい明るい雰囲気のもとに夜は過ぎていったのですが, さすがにほとんどずっとの霧雨の中,350km マイナー道というハードな走りと, 朝が早かったいう条件が整っていて,いい気分に酒が回ると, 午後9時くらいにはすっかり眠りに落ちていた私でした(^_^;)



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