※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。 【3】 「ふ……ん……ぅ」 シーグルの鼻から抜ける声を心地よく聞きながらセイネリアは彼の口腔内を楽しむ。これだけやっていても最初は妙に反発していろいろ耐えようとするシーグルだが、こうして甘い音が聞こえてくるのはその抵抗が終わった合図のようなものだ。抵抗して意地を張ってわざと色気のなさそうな反応を返すシーグルもいいが、勿論こうして完全に感覚に溺れてしまっている彼もいい。 キスの合間、唇を合わせ直すほんの少しの間に熱い吐息を吐いて、唇を合わせ直すと向うからも強請るように口を押し付けてくる。舌を絡めれば向うからも擦り合わせてきて、唇を離そうとすれば追いすがるように舌が伸ばされる。溢れる唾液を掬ってやって、再び合わせ直せば満足そうに鼻を鳴らす――彼となら、こうしていつまでもキスをしているだけでも割合満たされてしまうのだが、それはヘタに言う訳にいかなかった。 名残惜しいが唇を離せば、反射的に彼が強請るように見上げてくるから尚辛い。 このままキスだけで満足してやりたくないからそこでまた唇を落すのは我慢するが、そんな自分の感情が笑えてしまってセイネリアは困る。 特に今日は青空の下、彼の顔が良く見えるから余計に未練が残ってしまう。 とろんとした目でこちらを見上げるシーグルの顔は相当クるのだが、彼を欲しいと焦る気持ちといつまでも彼とキスをしていたい気持ちがせめぎ合って、そんな自分に呆れて笑う。 「まったく……」 呟いて、彼の額にキスをして、彼の鎧を脱がしていく。そうしながらまだキスしてほしそうな彼に鼻を擦りつけて、頬を舐めて、顎に舌を這わせて喉に唾液の跡を引いていく。 ただ分かっているが残念なことに、そうして鎧を脱がせている間に彼は正気に戻って言ってくるのだ。 「……いい、自分で脱ぐ」 もう少しその物欲しそうな顔を見せてくれててもいいだろうにと思うのだが、正気に返った途端あの濃い青色が睨んでくるからそれはそれでまぁいいかと思い直す。 「いいのか?」 「何がだ」 「勿論、ここでこのままやってもだ」 一応聞いて置けば、シーグルはそこで見せつけるようにわざと長いため息を吐いた。 「やりたくてここに連れてきたんだろ?」 「そう言うと身も蓋もないな」 「違うのか?」 「お前をここに連れてきてやりたかった……のと、どうせここなら誰の邪魔もなく思い切りお前を見てやれると思ったからだ」 シーグルはこちらを睨んだまま黙る。それからまたため息を吐く。 「……もういい、最初からやるつもりで来たのは変わらないんだろ」 「あぁ、そこは否定出来ないな」 この塔は魔法で存在自体が隠されている。この場所も勿論見えないし、ここで何か声を出したとしても他の塔に聞こえる事はない。そんな場所に二人だけで来るなら当然……そういうつもりだったのは確かだ。 「分かった、つきあってやるからお前もさっさと脱げ」 言ってシーグルは残りの装備を脱ぎだしたから、セイネリアは楽しそうに返す。 「了解した」 彼と共にいるのが当たり前の日々になってから、基本彼を抱くのは寝室だったから少し薄暗い中で彼の体を見るのが普通になっていた。勿論それはそれでいいのだが、たまには思い切り明るい日の下で彼の体をじっくり見たくなる。石膏像にほんのり血が通ったような彼の体は綺麗で、ただこれだけ明るい中だと部屋の中では見えにくい細かい傷の跡もよく見える。訓練か仕事で受けた傷なのか、主に腕や足にある細かい傷跡に手が伸びてしまって、それが彼の努力の証だと思えば、思わず引き寄せてキスしてしまう。 「やめろ」 ……まぁそれでシーグルに怒られる訳だが。 何をやっているんだと我ながら呆れて笑いつつ、機嫌を取るようにセイネリアはシーグルの髪を撫ぜた。前髪と頬の髪の避けて、顔を静かに引き寄せて、今度は浅く唇を重ねて離す。 それから彼の耳元にキスして、その背を緩く抱きながら再び彼の喉に舌を這わせる。今度はそこで止めずに胸にまで唾液跡をつけていって、舌先だけでペロリと小さな突起を舐める。 「ふ……」 そうすれば分かりやすく彼の体がぴくりと震えて彼が吐息を漏らすから、セイネリアは笑ってそこをちゅ、と音を立てて吸った。 「馬鹿っ……やだ」 彼の手がこちらの頭を掴む。セイネリアはクスクス笑って、そこから唇を離してやると、彼の手を引いて座り込んだ。 「ほら、来い」 「来い……って?」 「立ったままは嫌だろ?」 言えば彼もしゃがんだから、セイネリアは更に彼の手を引いて自分の腿の上を示して言った。 「直に座ったら痛いだろ、俺の上に座れ」 「お前は?」 「たとえ石床で背中の皮が剥けようが打ち付けて痛もうがすぐ治る、気にするな」 そうすれば彼は嫌そうに顔を顰めるもののこちらの腿の上に座る、当然こちらを向かせたままだから足を開いてこちらの体をまたぐ形になる。しかもそこでセイネリアが膝を上げたから当然……。 「うわっ」 こちらに抱き着くように倒れて込んできた体を受け止めて抱きしめれば、予想通り彼が文句を言ってきた。 「お前は……俺を抱き着かせたかったのか?」 さすがにそこから無理矢理立ち上がろうとはしないが耳元で文句を言ってくる彼の耳たぶを吸ってやって、それから囁いてやる。 「黙って抱き着いてろ」 それから、彼の尻を片手で持ち上げて、もう片手の指を一度舐めて唾液を絡ませてから彼の後孔に入れる。 「うっ……」 こちらに抱き着く彼の手に力が入る。 セイネリアはまた彼の耳元や頬にキスしながら言ってやる。 「爪痕でも噛み跡でも好きに残していいぞ。どうせ消える」 本当は消えなくても構わないんだが、というのは本音の言葉だが、そこまで言うとまたシーグルが怒るからそれ以上は口には出さない。ただ指を増やして、入れた指を中で開いて内壁を擦ってやればシーグルが強く抱き着いてくるからそれは嬉しい。彼のものが腹に当たって、彼が感じているのが分かって益々嬉しい。 「う……ぐ……」 慣らしているいる時の彼はイイ声をまず出してはくれないが、それもそれで彼らしいからやはりセイネリアは楽しかった。完全に抱き着かれていると顔が見えないのは少々不満だが、それでもすぐ耳元で彼の声や吐息が感じられるのと肌の密着感がその分を十分埋めてつりがくる。 再び指に唾液を絡めてまた指を入れれば、今度はくちゃ、と濡れた音が鳴る。おそらくそれで顔を赤くしているだろう彼の顔が見えないのはやはり寂しいが、唇でその顔に触れて顔の熱さだけは感じる事が出来た。 指を増やしていけば中が柔らかく反応してくるようになる。このあたりは彼の体自体が慣れた故の反応だ。 「いつまで、やってる……」 そろそろ言われるだろうと思ったところで思った通り非難を込めた彼の声が聞こえたから、セイネリアは笑顔でまた彼の顔に頬と唇を擦り付ける。その肌の熱さを楽しんで、指の動きに彼の体の筋肉がピクリピクリと反応するのを楽しんで、それから彼の体をゆっくり床に寝かせた。 「少しだけ我慢しろ」 そのまま入れるのは厳しそうだったから一度彼を寝かせたセイネリアだったが、それならマントくらい敷いておいてやれば良かったと後悔する。思った通り彼はこちらを睨んでいたが、足を持ち上げられても文句を言わないから諦めてはいるのだろう。 「ぐ……」 指を添えて、先に指で広げながら押し込んでいく。中ほどまで入っていけば後は勢いで入るからそこまでは慎重に埋めていって、最後は一気に突き上げる。 「あぅっ」 肩にある彼の手がぐっと力を入れて掴んでくる。女だったら爪を立てて跡の一つでもつけてくるだろうなと思いつつ、そこから彼の背中に手を入れてゆっくり起こしてやる。それと同時にセイネリアは仰向けに寝転がって、彼が寝ている自分の体をまたいで乗っているような体勢にさせた。当然この体勢ならどうするつもりかはシーグルも分かっていて、耐えるように腰を曲げてかがんだままこちらを睨みつけてくる。 「おい……まさか……」 セイネリアは勿論笑って即答した。 「この体勢だ、分かるだろ? お前が動け」 「お前なっ……」 そこで怒鳴ってこようとしたから下からちょっと突き上げてやる。そうすれば彼はまた腰をかがめて感覚をやりすごそうとする。その様が楽しくて笑ってしまって、セイネリアは手を伸ばして彼の頬を撫でた。 「お前の背中を真っ赤にさせる訳にいかなくて、立ってやりたくないならお前が上になるしかないだろ」 シーグルが恨みがましくゆっくり顔を上げて睨んでくる。 「後ろからやれば……」 セイネリアはその顔を引き寄せて、体を少し起こしてその頬にキスしてやる。 「だめだ、俺はお前の顔が見たい」 シーグルは大きくため息を吐く。セイネリアは笑いながらまた肩を床に落して、自分の上に座りこだままの彼の太腿に手を置くと、そのまま肌を撫でながら上へと滑らせて腰を軽く掴んだ。 「支えてやる、動いてみろ」 シーグルがそれでまたこちらを睨んんで、それから諦めたようにこちらの腹に手を置いて腰を揺らす……が、当然最初は感覚に慣れなくて、一度動いて動きを止めた。 「動かないとずっとこのままだぞ。まぁ俺はこのままお前の中を感じているだけでも構わないが」 言いながら喉を揺らせば、振動がきたのか彼が小さく喘ぐ。 その様がまた楽しいのだが……セイネリアはそこで彼の体勢を見て考える。それから彼の腰を支えていた手を離して、腹の上にある彼の手を掴むと自分の手と組もうとする。 「お前……何、を……する気だ?」 「このまま動くとお前の膝と足が痛そうだからな、手で支えてやる。こっちに体重をかければ少しはマシだし動き易いだろ?」 両手の指を絡ませて組めば、彼がその手に力を入れて上半身を持ち上げる。そこから言われた通り手に体重を掛けて腰を持ち上げ、落す。 「う……く」 セイネリアも勿論それに合わせてゆっくりと突き上げる。耐えて、ちょっと泣きそうな彼の顔と、細い体が揺れる様を眺める。う、う、と奥に届く度に顔を顰めて唇が震える様を楽しむ。両手が塞がっているからその顔を引き寄せることが出来ないのが寂しいが、それでも上から降るように聞こえてくる彼の声は新鮮で楽しかった。 「う、ぁ、あ……ぁ、ぁ」 次第に動きがスムーズになってくれば少しだけ速くなってきて、セイネリアも大きく下から突き上げてやる。彼の口から洩れる声がどんどん高くなっていく。腰をゆらしながらビクンビクンと腹や胸の筋肉が動く。動きを彼に任せているからこちらに与えられる感覚は少々もどかしい程だが、それはそれでまた楽しいから構わない。それよりセイネリアとしてはすっかり硬くなっている彼のモノを触ってやりたいのだが、両手が使えないため諦めないとならないのが惜し過ぎた。 「あ、ぅ……ん、ん、ん……」 両手を組んで腕を支えているから彼の体勢は不安定で、けれどそのせいもあって彼が揺らす腹から腰の動きは普段以上になまめかしくていやらしい。 「は、あぅ、あ、ん……あぁ」 彼の方もやっと頭が快感に浸食されてきたのか、顔つきが変わってくる。腰の動きがより大胆に、速くなってくる。上下だけの動きが、いやらしく左右に揺れながらになっていく。開いたままの唇から唾液が漏れて、汗と共にこちらの腹に落ちる。 「や、あ、ぁ、あぁ、ぁぁっ」 流石にそこで耐えられなくなって、セイネリアは腰を速く動かして思いきり彼を突き上げだした。シーグルの上半身ががくりと折れて、組んでいる手の辺りまで頭が下りてくる。セイネリアは構わず下から激しく彼を突き上げた。 シーグルの体が動きに翻弄されるようにガクガクと大きく揺れる。彼の体は動きについていけないが、彼の中の肉は喜んでこちらを包み込み、中で蠢いてこちらを絞り上げてくれる。繋がる場所からぐちゃぐちゃと水音が聞こえる、肉が当たって乾いた音が鳴る。それらがリズムを取る中で、シーグルの耐えられない喘ぎ声が耳を刺激してくる。 下を向いていた彼が体にきゅっと力を入れて上を向いた。青空に彼の銀の髪の毛が透けてキラキラと光る。その様をうっとりと眺めながら、セイネリアは尚も激しく彼の中深くを抉った。 「ば、や、あぁぁぁん、ぁ、あぁぁあっ」 ひときわ強く中が締め付けてきて、彼の吐き出したものがこちらの胸にまで掛かる。セイネリアはそれでも構わず彼を突き上げた。 「や、だ、もう……あぅ、やだぁっ」 イったばかりの彼は何処か舌ったらずな子供っぽい口調になる。泣いて懇願するようなその声を聞きながら、セイネリアは彼の中に吐き出した。 --------------------------------------------- 次回は中に出したのを体勢的に仕方なかったと言い訳するセイネリアから……いやマジで。 |