※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。 【15】 王城の中には罪人を閉じ込める部屋はいくつかある。ただしそれは大きく分けて2種類あり、いわゆる他国の密偵など情報を引き出す為に捕まえた者用の部屋と、高貴な身分の罪人用の部屋である。そしてそれぞれの者を尋問する為の部屋も別にあり、前者用の施設はほぼ地下にある事に対して、後者用のものはほぼ全てが上層階にあった。 高貴な者用の尋問――つまり拷問部屋でもある場所は、声が漏れないように壁の厚い、窓のない部屋となっているのは当然としても、部屋自体は適度な装飾が施された一見普通の部屋である。また身分の高い罪人の場合、王が直接尋問する事も少なくなかった為、部屋には通常の出入口と王専用の別の出入り口があり、更には王専用の椅子とそこをカーテンを使って隠す事が出来るようになっていた。 今、その王の為の椅子には誰も座ってはいない。 カーテンは開かれ、見るべき主のいない部屋で、ただ罪人への尋問……いやこの場合は拷問といった方が正しい行為が行われていた。 あまり明るくないランプ台の光の中、二人の凌辱者である男とそれに嬲られる側の青年の姿が照らされ、壁に影を作る。 二人の親衛隊の者にシーグルを任せてリーズガンは部屋から退出していた為、現在この部屋に彼の姿はなかった。ずっと見るだけで耐えていた分もあるのか、リーズガンがいなくなった途端飛びかかる勢いでシーグルに向かって行った二人の親衛隊員は、まず言われた通りにシーグルに桶の水を掛けてリーズガンの残した跡を洗い流した。 既に体力があまり残っていないシーグルは、それにも閉じかけていた目を軽く開いただけで、あまり反応らしい反応を返しはしなかった。けれども、年長の方の男がシーグルの足を抱え上げ、焦りながらも自分の性器を取り出してその上に体ごと乗り上げると、ぐったりとしていたその身体が途端に激しく暴れ出した。 「い……ぁ、いぁっ、嫌だぁっ、やだっ、止めろっ、離れろぉっ」 それには一度怯んだものの、もう一人の男と一緒に押さえ込んで足を開いた状態に固定すると、男は既にはちきれんばかりに膨らんだ自分のものを憐れな青年の中に埋める。恐怖に引き攣る美しい青年の顔を見下ろしながら、極上の快楽に包まれる感覚に酔う。 「確かにこれはイイ……」 我慢していた分抑えがきかなくて、男はすぐに腰を動かし出す。余裕もなく、もう達してしまいそうなその感覚を必死に耐えて、急いで熱い肉壁の中を突きあげる。 「やだ、嫌、嫌ぁぁっ、ぁ、あ、ぁぁぁ……」 強張った顔の青年が叫ぶと同時に、男の雄が爆ぜる。 それでも焦った男の腰は止まる事なく、乱暴に美しい青年を突き上げ続ける。 「は、はやく、お願いしますっ、こっちももうっ」 だが待っていたもう一人の男の声に気付くと、やっと男は腰を止めた。 それから軽く舌打ちして、そうして2,3度強く奥を突いてから、ゆっくりと自分の性器を引き抜いた。男が体を離すと同時に待っていた男がすぐにシーグルに圧し掛かり、その腰を持ち上げる。 「や……だ、いやぁ……や……い、ぁぁ」 体力が削られきった青年は、男が挿れてすぐに動き出しても、もう叫ぶ程の気力がなかった。子供が泣くように弱弱しく、か細い声で拒絶の言葉を吐く青年に、男の興奮が高まる。純粋な色欲と、嗜虐的な欲が男の頭を支配する。 昏い笑みを口元に浮かべた男は、ぎりぎりまで自分のものを引き抜くと、一気に勢いをつけて奥を抉った。 「ひ、ぁ……や、やぁぁぁぁ」 悲鳴を上げる青年の顔をうっとりと見つめ、がくがくと突き上げられる度に揺れるその体を空いている手で撫でまわす。びく、びくと、触れる場所によって青年の体が跳ねれば、その中も締め付けてきて男を更に悦ばせる。 「はは、本当にあのシルバスピナ卿をヤれるなんてっ、すごいな、すごい……すごい、いい……はは、はは……」 笑いながら犯す男は、顔をシーグルの胸に近づけていく。腰だけでなく体毎押し付けて擦りあわせるように、シーグルの体に完全に被さるとその顔や首や胸に舌を這わせた。 「あぁ……さすが貴族様の肌だ、こんなに汚されているのにいい匂いもする……何もかも最高だ」 夢中で舐めまわしながら言えば、見てるだけに耐えきれなくなった年長の男も、頭の上でガチガチと音を鳴らして暴れているシーグルの腕を舐めだした。 「確かにな、安宿の娼婦じゃ相手にならんな」 騎士の中の騎士たるシルバスピナ家当主。しかも現当主の青年は、それはそれは強く、美しい青年だと、冒険者や首都周辺に住む者の間では知らぬものはまずいない。特に騎士を目指す者なら、彼の姿を一度見て、それに憧れと崇拝の目を向けた事がある者は数知れないだろう。 あのセイネリア・クロッセスの情人だと噂されていても、自分たちの手の届くところではない雲の上の人間だと思っていたから――こうして、地に堕とされて泣きわめくその姿に、男は堪らなく興奮する。 「あぁぁっ……い、やぁ」 満足そうなため息を吐くと共に、中に吐き出されて顔を引き攣らせるシーグルの顔を、男は間近で見つめる。開いたまま、強張ってわななく唇に、自分の唇を押し付ける。 「ンー、ンゥッ」 背けようとする顔を両手でつかんで夢中でその唇を貪りながら、自分の雄は深いところに埋め込んだまま、肉壁が蠢いてびくびくと締め付けてくるその様を愉しむ。逃げる舌を絡めとって、震える舌を擦り合わせて、唾液を舐めとって味わう。 「ン……ふ、ぅ」 美しい青年の甘い吐息と、ぴちゃぴちゃと上がる水音が男を更に興奮させる。もう殆ど抵抗がなくなってされるがままの舌に自分の舌を擦り合わせ、ぬめる感触を愉しみながら唾液を溢れさせて更に水音を鳴らす。興奮のあまり腰はとにかく深くを抉ろうと滅茶苦茶に動いて、力のない青年の下肢は人形のようにぐらんぐらんと大きく揺れる。 「おい、いつまでヤってる気だ」 今度は逆に言われて、男は気づくと顰めながらもその顔を離した。 仕方ないと分かっているもののこのまま離れるのが癪で、最後に力一杯美しく憐れな青年を突き上げた。 「あぅっ……ぁ」 深い青の瞳が一度大きく開かれて、性器に絡みつく肉がぎゅうっと強く締め付けてくる。 「あぁ……最後まで絞り出されるようだ」 それに呆けた笑みを浮かべながら、名残惜しそうにゆっくりと男はシーグルから体を離した。そうして当然のように、また年配の男が代わってシーグルに圧し掛かっていく。二回目に関わらず既に大きく膨れているそれを、男はまた乱暴にシーグルの中に突き入れた。 「はぅっ……いやだ、やぁ、やだやだ……い、や……ぁ」 虚ろな目で、それでも嫌だと、本来なら誇り高く美しい貴族の青年はうわ言のように呟く。その顔を、その体の上から退いたばかりの男は未だうっとりとした瞳で眺め、抜いたもののまた大きくなっている自分の雄を彼の顔に向ける。そうしてソレをそのまま指で扱けば、白い抹消が整った青年の顔を汚した。 「シルバスピナ卿……とてもお美しいですよ、最高の娼婦のように」 男は笑う。 ただの平民の精液で汚されたまま、がくがくと揺らされる虚ろな貴族騎士の青年の顔を見つめて。高貴な存在だと思っていた人間のこれ以上ない哀れな姿に、頭が酔って笑う事しか出来ない。 「ふふ……シルバスピナ卿ッ、だめですよ、貴方もちゃんとイって下さらないと」 現在シーグルを貪っている年長の男の方は、腰を止めないまま、言ってシーグルの性器に手を絡める。もう既にイカされ過ぎて萎えたそれも、握られて強く擦られれば生理的反応として膨れていく、零れた液体で男の手の中でも水音が鳴り出す。 「や……ん、や、め……やめ、ろ……ふ」 望まぬ感覚にシーグルは弱い声で涙を流す。見ていただけの男の方も、シーグルの胸に手を伸ばし、掌で胸の敏感な先端を押しつぶすようにして大きく撫でまわしだす。 「う、おぉ、これはすごい」 挿れている男の方が吼えて、更に乱暴に腰の動きを速め、それに合わせるように掴んでいるシーグルの雄も乱暴に扱く。 「あ、あ、ぁぁぁ」 もう力の入らないシーグルの体がびくんと跳ねて、男に捕まれていたものが弱くも射精する。それから間もなく男も何度か獣じみた唸り声を上げて、腰を数度強く突き上げ、ぶるりと体全体を震わせて動きを止めた。 そうすればまた男達は交代し、休む間もなくシーグルの後孔は別の雄で満たされる。細い声で上げた悲鳴は、興奮しきった男達の唸り声と、愉悦に酔った笑い声でかき消され、凌辱者の声だけが部屋を満たす。 戒められたシーグルの腕はもう殆ど動かず、がちゃんがちゃんという音も今はもう、ほぼ聞こえる事はなくなっていた。宝石のように濁りなく美しい濃い青の瞳に光はなく、虚ろに天井を映すだけで、その中にはもう彼の意志は見えなかった。 何度も水を掛けられた体は冷えて、けれども熱いその体内の熱を求めて、男達は欲の肉塊を代わる代わる突き入れていく。男達の笑い声の中に悲鳴は埋もれて、大きく突き上げられた時だけ、がちゃんと枷が鳴らす大きな音が不気味に部屋に響いた。 --------------------------------------------- 次回でこのお話は終わりです。 |