剣は愛を語れず
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。





  【12】



 唐突に、布を裂く高い音が、部屋の静寂を破って響く。
 セイネリアの手が無造作に、シーグルの着ている夜着を引き裂いた。
 シーグルの瞳が僅かに驚きに揺れる。

「何、を?」

 セイネリアはその冷たい瞳で彼を見下ろし、口元に嘲笑を浮かべた。

「何をだと? 望み通りお前を壊してやる、壊れるまで犯してな。……どうせ、壊れた後のお前の使い道もその程度しかない。まだ多少は頭が動く間に、お前の体に教え込んでおいてやろう」

 言いながらセイネリアは、彼の身体に纏わりつく布を乱暴に剥ぎ取る。抵抗をしない細い体は転がるように全裸でベッドに投げ出される。

「あぁ……そうか……そうだな」

 だがそうして、されるがままに目を閉じようとしたシーグルの髪をセイネリアが掴み、無理矢理起き上がらせて目を合わさせる。
 流石に直接的な痛みに顔を顰めたシーグルの顔を、セイネリアは冷ややかに見下して言った。

「お前は俺の抱き人形になるんだ。抱かれるしか脳がない人形になるなら、俺を楽しませる努力くらいはしてもらうぞ」

 口元に酷薄な笑みを浮かべて、髪を掴んだシーグルの頭をそのまま自分の股間まで下ろす。

「やる事は分かるな? 初めてでもないしな……使えなくなった貴様を飼ってやるんだ、今までのように寝てるだけで終わると思うな」

 言いながら下肢の服を緩め、セイネリアが自分の性器を取り出す。シーグルは一瞬、躊躇するような間を置いたものの、暫くすれば恐る恐るそれに手を伸ばし、自分の口の中に引き入れて行く。
 僅かな水音が鳴って、浅く緩く唇でそれを絞るように頭が動く。
 喉にまで届かないように浅く出し入れを繰り返しながら、舌でそれを舐めているシーグルの頭を、セイネリアは再び掴むと奥まで届くように強く押しつけた。

「ンンッ」

 唐突に喉の奥まで押しつけられた所為で、シーグルが喉だけで悲鳴をあげる。酷い吐き気に襲われた彼は、えずきながら口を大きくあけて咳込む。
 それでもセイネリアは表情一つ変える事なく、掴んだシーグルの頭を上下に動かした。

「へたくそめ、口に入れればいいと言うものでもないだろ。せめて奥まで飲み込んで穴程度には役立てろ」

 舐める余裕も、口をすぼめる余裕もなく、ただシーグルはえずきながら懸命にそれを銜えるしかない。
 奥に突き立てられる度に上がる苦しげな声を、ただ雑音のように聞き流して、セイネリアはシーグルの頭をモノのように動かし、やがてその中に射精する。
 当然、喉の奥に流し込まれたそれを飲み込める筈もなく、シーグルの口元は喉から逆流したセイネリアの吐き出したものに塗れる。
 手を離されて、頭を離されても吐き気と咳は止まる事なく、ベッドの上に胃液と精液を吐き出しながら、シーグルはただ咳込む事しか出来なかった。
 暫くはそのシーグルをただ見ていたセイネリアだったが、彼の咳が収まるのをみて、またその髪を掴んで股間へと持って行く。

「抱かれるだけの人形になるなら、この程度慣れろ。口でさせるだけで毎回ベッドに吐き出されてたら後が面倒だ。せめて、奥まで銜えたくないなら、それなりに頭を使え。お前も男だ、感じる場所が分からない訳じゃないだろ? 男のモノで感覚が集まってる場所は何処だ? 何処を刺激すれば気持ちいいと思う?」

 つきつけられたものを、シーグルは再び口に入れる。
 今度は頭を離され、自ら苦しくないぎりぎりのところまで飲み込むと、肉塊の筋にそって舌を這わせる。カタチをなぞり、先端を強く舌で擦り、唇で少し強く絞り上げる。
 掴まれて動かされる前に、自ら頭を上下に揺らし、口の中のものに奉仕する。

「少しは様になってきたじゃないか。さすが慣れてはいなくても、回数はこなしただけあるな」

 笑みと共に言った後、セイネリアは今度は無理矢理その顔を引き離し、そのままベッドへと投げる。
 倒れかけた体をどうにか腕だけで支えているシーグルの瞳には、おそらく咳込んだ時に出たものだろう涙がにじんでいた。

「なんだお前、口で銜えただけでもう反応してるのか?」

 勃ち上がり掛けたシーグルのものを見て、セイネリアが嘲笑う。
 シーグルは目を閉じて唇を引き結び、足を閉じて自らの股間を隠そうとする。
 顔を背け、支える腕は僅かに震えている。
 言葉では何も返す事はなくても、その頬が羞恥に染まっているのが見てとれた。
 セイネリアはそんな彼を鼻で笑うと、今度はベッドヘッドに背を掛けて彼を見下す。

「いつまでそうしてるつもりだ、さっさと起きあがれ」

 言葉に反応したように、ゆるゆるとシーグルの上体が起きあがる。それでも彼の顔はセイネリアを見ようとしなかった。

「自分で挿れろ」

 シーグルの顔がゆっくりと上がり、何を言われたのか分からないという表情をしてセイネリアを見る。

「聞こえなかったのか? 俺にまたがって、自分で俺のを挿れろと言ったんだ」

 セイネリアの声に苛立ちが混じる。
 シーグルの瞳がセイネリアの大きく勃ち上がった股間のものを見る。それに怯えるような顔をした後に、唇を震わせて思い切って体を持ち上げ、引きずるようにセイネリアの元へと動きだす。
 セイネリアは何も言わず、彼の行動をただじっと見ているだけだった。
 シーグルは殊更セイネリアの顔を見ず、動かない彼の上に足を開いて跨る。
 体勢的には向かい合っていても、シーグルの顔は下を向いたままで互いの視線が合う事はない。
 ぎこちなく、シーグルは腰をあげて、セイネリアのものの位置を確かめるように手で触れる。
 そのまま、慎重に腰を下ろして行く彼を見て、セイネリアは溜め息と共に顔を顰めた。

「お前は、馬鹿か?」

 シーグルの動きが中途半端な体勢でぴたりと止まる。

「女じゃあるまいし、勝手に濡れて入るとでも思ったのか」

 ならばどうすればいいのかと、視線で疑問を投げかけてくる彼に、セイネリアは小瓶を投げた。
 反射的にそれを受け取ったシーグルが、瓶を眺めて下を向く。

「ただの香油だ。それを使って自分で慣らせ、指を突っ込んで自分の中を広げろ。そうしないと男じゃそうそうに入らん、お前は今まで犯されてきてそれくらいも分からないのか」

 シーグルは暫くその瓶をじっと眺めて、やがて瓶を開けて自分の掌に垂らす。それからそっとその手を自分の下肢へと下ろして行き、指で自分の秘所に触れた。
 無表情だった彼の顔が、嫌悪感に眉を寄せる。
 セイネリアは黙って、ただ彼を見つめる。
 シーグルはしゃがんだような体勢で、探るように指を動かす。時折ぴくり、ぴくりと彼の頬の筋肉が反応して顔が顰められている。
 やがて少しほぐれてきたのか、下肢から水音が鳴り出し、指の動きに腰が揺れ出す。更に指を奥に入れようとした所為で体がバランスを崩したのか、彼は空いている方の手をベッドの上についた。

「ン……」

 熱のこもった吐息が漏れる。
 息が荒くなって行く。
 頬がうっすらと赤く染まって行く。
 くちゃくちゃと鳴る音と共に腰が揺れて、ベッドに膝を立てている彼の足がもどかしく動く。

「いつまでやってるんだ、そんなに自分の指がいいのか?」

 セイネリアの手が伸びてシーグルの顎を捉え、そのまま顔を上げさせる。

「あまり俺を待たせるな。……あぁ、まだ自信がないなら、俺のものにもソレを塗っておけ」

 シーグルは返事をしない。
 だが、体はセイネリアの命令に従って、指を自分の中から引き抜く。再び掌に瓶の中身を出して、今度はセイネリアの性器にそれを塗り付ける。
 塗り付け終わると、腰をその上に持っていき、静かに下ろして行く。だが、それでも入り口にセイネリアの肉が触れれば、怯えるように腰を引き、入れる事を躊躇うようにセイネリアの顔を見る。
 セイネリアはそれには殊更冷たい視線を返し、シーグルに早くしろと顎で指示した。
 ぶるりと体を震わせて、シーグルが指を添えてセイネリアのものを受け入れて行く。
 だが、少し入っただけで彼は腰を止め、そこから先にいけずに体を震わせる。

「む、り……だ……」

 呟きはあまりにも小さい。
 それでもセイネリアはそれを聞き取り、笑いながら答えてやる。

「何を言ってる? 今までさんざん挿れてやってきただろ? いつまで待たせる気だ、さっさと挿れて腰を振れ。その程度しか出来ないクセにもたもたするな」

 言いながらも面倒そうに彼の腰に手を回し、それを引くと同時に突き上げてやる。
 一気に奥まで入った衝撃で、シーグルは短い悲鳴をあげて、腰をくの字に曲げた。

「入ったな」

 暫くはその体勢のまま蹲っていたシーグルが、やっと衝撃をやり過ごしたのか、ゆっくりと体を起きあがらせる。それに合わせてセイネリアが腰を突き上げる。

「あっ……うっ」

 叫んで、背を反らし、腰を自ら突き出す。
 セイネリアが緩く腰を動かせば、そのままシーグルの体全体も撓りながら揺れ出す。

「う、ん……う……」

 ぎゅっと強く目を閉じた彼が、思わず声を押さえようと口に手を伸ばしたのを、セイネリアの手が押さえた。

「もうお前は声を抑える価値もないだろ? 手が暇なら自分の胸でも弄ってろ」

 セイネリアが掴んだ手をシーグルの胸に持って行く。掴んだシーグルの手を彼の胸に擦り付ければ、そのうちにその指が立ち、自ら赤い尖りを指で転がし出す。セイネリアが手を離してもそのまま続ける彼に、セイネリアは笑って腰を強く動かし出した。

「いつまで俺に任せている気だ、もっと自分で腰を振れ」

 朦朧とした顔で、それでもシーグルは言葉に従って腰を自ら揺らし出す。細い体がびくびくと震えながら、淫らに腰を揺らめかせる。

「んっ……ぁっ」

 彼の足はガクガクと震えているものの、腰の動きは更に大胆に大きくなる。腰を落としてきたのと同時にセイネリアが奥を抉ってやれば、ひときわ高い声をあげて、彼の背がくんっと撓る。

「ふん、後ろだけでずいぶん気持ち良さそうじゃないか。こっちもこんなだしな」

 セイネリアの手が、シーグルの勃ち上がり切った性器に絡まる。突き上げる動きに合わせてそれを擦ってやれば、セイネリアの雄を包む中の肉が、びくびくと痙攣するように強く締め付けてくる。

「あぁっ、はぁっ、やぁあっ」

 セイネリアが速く強く、彼の奥を突き上げる。
 シーグルの足が体を支えきれずに、完全にセイネリアの上に体重を掛けて座り込む形になる。それで最奥まで貫かれた彼は、殆ど声にならない悲鳴を上げながらも、目元を赤く染め、目を潤ませて、快楽に体を捩る。突き上げられている腰だけが、体を残して激しく揺れる。

「っあぁぁぁっ」

 押し殺した声を上げて、シーグルの体が力を無くし、セイネリアの上に倒れ込んだ。
 セイネリアは瞬間眉を顰めて強い感覚をやり過ごしたが、動かなくなったシーグルの腰を抑えると、乱暴に彼を突き上げた。

「あ、うぅんっ、ぐっ……」

 体はセイネリアの胸に寄りかかるように、握り締めた拳だけに強く力を入れて、力なくシーグルは喘ぐ。
 それから間もなく、セイネリアも彼の中で達し、二人の動きは止まる。





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すいません。長いのでエロ分割。続きは1,2日中に上げます。


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