気まぐれ姫への小夜曲
ウルダとリーメリがメインかな
※この文には後半に性的表現があります。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【8】



 ウルダが『やりたい』時は、きっぱりはっきりそう言ってきてムードもへったくれもない……というのがいつもの事だ。気が乗らなくて渋っていた時なんかは土下座までしてきた事もあって、リーメリは呆れた覚えがある。
 ただなんというか不思議なのは……リーメリにとってはそれが嫌じゃない事だった。

 ウルダに会う前は都合のいい相手を選んで寝ていたが、ヤる前にへんにベタベタしてきたり、しつこくキスをしてきたり、耳元でかっこつけた言葉を囁かれたりとかされたりしたが、それらは全部リーメリにとってみれば『キモイ』の一言で終わるくらい不快としか感じないものだった。
 なんというか、『こうして優しくしてやればこいつは俺のものになる』的な、自分に酔ったような上から目線であれこれされるのが酷くムカついたのだ。
 だがウルダは最初に寝る時にこう言ってきた。

『こーゆーのは互いに楽しまなきゃ意味ないだろ』

 だから互いに楽しんで気持ちよくなることだけを考えよう――という事で、嫌な事は文句を言って、やりたい事はやっていいか聞いて、ウルダの言うところ『互いに楽しむために協力する』というセックスをするようになった。
 その割り切り方は思った以上に悪くなくて、本心では男と寝るのが嫌だった筈のリーメリも彼となら嫌だとは感じなくなった。
 こっちをソノ気にさせようとベタベタしてくる連中にはムカついたのに、ストレートに『やりたいです』と頼み込んでくる彼にはムカつかない。馬鹿かこいつ――と思う事はあるものの、やりたいからやろうという理由でやるのは不快じゃなかった。

「んー、やっぱお前肌綺麗だよな」

 服を脱いでベッドにあがれば、ウルダも嬉しそうに上がってきて腕を摩りながら肩にキスしてくる。

「そういうお世辞は女に言え」

 言って軽く腹を膝で蹴れば、ウルダは腹を押さえて軽く蹲る。……まぁ演技だろう、そこまでリーメリは強く蹴っていない。

「いつまでそうしてる気だ、やらないなら寝るぞ」

 だからそう声を掛ければ、ウルダは痛そうに腹を押さえるのをやめて顔を上げた。

「少しは心配してくれてもいいんじゃね」
「黙れ、くだらない小芝居につき合ってられるか」
「やっぱお前って冷たいなぁ」
「文句があるなら……」
「はいはい、すみません真面目にやります」

 それを妙に真面目ぶった顔で言われればリーメリも頭が痛くなる。交渉や戦闘の時のウルダは頭がいいといつも感心するのに、こういう時の彼はやたらと頭が悪い言動をするのはわざと……なのだろう、多分。

「申し訳ございませんでしたリーメリ様」

 それから彼はちょっと起き上がってベッドに座り込むと今度はやたらと恭しく、芝居がかった言葉と共にこちらの投げ出していただけの足の指の先にキスしてくる。

「……お前、プライドないのか?」

 呆れてそう声を掛ければ、ウルダはこちらを見てニカっと笑った。

「お前相手に今更かっこつけても意味ないだろ」
「まぁそれはな……」
「それにお前俺に文句いっといて、俺が下手に出ると嬉しそうだろ」
「う……」

 それを言われるとリーメリも返事がし難い。ベッドだとウルダは基本リーメリの言う事を聞いてくれて、それでこちらも気分が良くなるというのを自覚はしているからだ。

「納得したとこで続きな。んじゃまず口でかね」

 言いながらウルダが顔をこちらの股間に近づけてきたから、リーメリは足を閉じた。
 ウルダが少し困った顔でこちらを見てくる。

「なんだ、嫌なのか?」
「お前も逆向け、こっちもしてやる」
「お、今日は機嫌いいんだな♪」
「煩い、ただお前が下になれよ、お前の方が重いんだから」
「はいはい、了解です、リーメリ様」

 リーメリがそれで起き上がれば、代わってウルダが頭を逆向けにしてベッドに寝転がる。その上にリーメリがうつ伏せに乗れば、目元には見慣れた彼のモノがある。既にやる気満々といったソレを見てちょっと呆れはしたものの、リーメリは大人しく彼のを口の中に入れてやる。それとほぼ同時に、自分のモノが暖かい感触に包まれたのも感じてリーメリは小さく呻いた。

 基本的にはリーメリは一方的にされるのも好きではない。それに改めてウルダはいつもこちらを優先してくれると思ったら……やはりこちらもお返しはしなくてならないかなと思っただけだ。
 ただ勿論、こうしてこちらもやってやるのは気が向いた時だけである。いつでもやってやるのが当たり前になるのは癪だから、こうしてたまにやってやるくらいが丁度いいとリーメリは思っていた。

 ただ、同時に相手にしてやっていると……当然、互いに意地の張り合いというか、お互いに先に相手をイカせてやろうとか思ってしまう訳で、なんだかリーメリも単独でやるよりもやけに気合が入ってしまう。
 手で押さえて、撫でて。舌で根本から先端までを舐めあげてから先を強めに擦る。それでこぼれてきた彼の味ににやりと笑って、今度は完全に口の中に入れてから唇をすぼめて根本から絞りだすようにして先端まで移動する。
 勿論こちらのほうもウルダの口の中で強く扱かれているから、時折せりあがってくる感覚に舌が止まる……なんて事もある。
 交互にやる時は割といい加減に終わらせるのに、同時にやるとやけに熱が入る。ただやはり普段はウルダがこちらにしてくるだけのが多い分、向うの方が上手くて……というかリーメリがされる事に慣れているのもあるのだが……大抵はリーメリが負けるのだ。

「あ……っ」

 イキそうになって腰を引いてしまえば、ウルダの濡れた指が尻を割って後孔に触れる。そのまま指を入れられてそこで抜き差しを始められれば、リーメリも相手をイカせようとするどころの話ではなくなってしまう。

「お前……卑怯っ」

 ぐちぐちと濡れた音と共に体の中を擦られる感触をどうにか耐えて言えば、さっきまで下手な態度だったウルダがこういう時ばかりは偉そうに言ってくる。

「何がだ? ココはちゃんと解しておかないとならないだろ?」

 それで指を増やしてもっと激しく動かされて、更に前の方も口の中で吸われたらたまったものではない。

「馬鹿、や、あ……ン、あ……」

 もどかしい刺激に自然と腰が揺れてしまって、リーメリは喘ぎつつも歯を噛み締める。そうしてすっかり感覚を追う事に夢中になって相手の事を忘れていたら……一気に刺激がなくなった。

「あ……」

 反射的に腰を浮かせて彼の顔を見てしまえば、ウルダはいい笑顔で言ってくる。

「リーメリさん、そろそろ入れていいかな?」

 それにはちょっとムっとしてしまったが、こちらもこのままでは辛いからわざと怒ったように言った。

「仕方ない、許可してやる」






――うーん、多分こういうのに俺はハマってるんだろうなぁ。

 なんて悠長な事を考えながら、自分の上にまたがってくる金髪のちょっときつめの綺麗な青年の顔を眺めてウルダは苦笑する。
 ベッドでは基本ウルダはリーメリに対して出来るだけ下手に出る。リーメリの意見を尊重して、リーメリの好きなようにする。そうすれば彼は機嫌よくいてくれるし……油断して素の表情を見せてくれるのだ。
 リーメリのあの攻撃的なきつめの性格は自分を守るためのものだというのをウルダは知っている。だから彼の好きにさせて、彼の気が緩めば……ちょっと呆けてぼうっとなっている顔だとか、素直に感じている顔だとか、普段は滅多にみられないような『可愛い』と思ってしまうような顔が見れる。
 そういう顔が見れる度に、ウルダとしては嬉しくなってしまって仕方がない。
 彼にとって自分だけが素を見せる相手だ……なんて思ってしまう。

「う……く」

 こちらにまたがったリーメリが自分から腰を落としてくる。上体を前に倒して、自分でこちらのモノを導いて入れようとする。女性と違って向うから入れるのは結構大変だから、大抵はすんなりいかずリーメリは顔を顰めて少し焦った様子を見せる。だからこちらも手伝って、自分のものを固定して彼の中を軽く広げる、ひっかけて中に入れる。先端が入ってしまえば後はすぐで、リーメリが腰を落してぎゅっと自分の雄全体が絞り込まれてウルダも歯を噛み締める。

「は……う、ん、ん」

 上から聞こえる彼の声は抑えているのに甘くて、正直ウルダはそれだけで耐えるのがきつい。けれど我慢して待っていればリーメリは体勢を立て直してこちらを見下ろして言ってくるのだ。

「動く、ぞ」
「あぁ、頼む」

 そうすれば彼は満足そうににやりと笑う。彼はこちらから見下ろされるのが嫌だと言って、立ったまま始めるとかの特種な状況でなければまずこうして上に乗る。自分から動いてこちらを見下ろしてくる。

「あ……く、ん、ん、ん」

 得意そうにこちらを見下ろしてはくるものの、声が漏れた時には表情が切なげに歪んで、それもまたウルダにとっては楽しい風景である。だんだんと動きが速くなってくれば彼も余裕がなくなっていってどんどん表情は顰められていく。頬を紅潮させて、眉を寄せて、唇を開いて喘いでしまってはきゅっと引き結んで、いやらしく腰を揺らしていく。
 この体勢だと乱れていく彼の姿がよく見えるからウルダも嫌いじゃなかった。
 リーメリが感覚を追うのに夢中になってこちらを見下ろす余裕さえなくなってきたら、ウルダも下から突き上げる速度を上げる。そうすればリーメリはこちらの動きに翻弄されるだけになって、泣きそうな顔で喘ぎながら腰を揺らすだけになる。
 主導権がこちらに渡れば後は楽しむだけで、上体を倒しかけている彼の体に手を伸ばす。揺れる彼の性器を撫で、脇から胸までを撫で上げて彼の乳首を撫でる。更にそれらを同時に強く弄ってやれば、彼の中がぎゅっと締まってウルダも歯を噛み締めた。

「あ、あ、触る、なっ……」

 泣きそうな声でそんな事を言われればこちらも限界なのだが、それでも最後に出来るだけ意地悪そうに言ってやる。

「嫌だな」

 そうして大きく突き上げると同時に彼の体を支えながら親指で彼の乳首を強く擦る。

「あ、あぅ、はぁっ」

 彼の体が止まって暖かい感触が腹を濡らす。びくびくと痙攣のように強く締め付けてくるそこを何度か突き上げれば彼が崩れ落ちてきて、彼の泣きそうな悲鳴を耳元で聞きながらこちらも本当に限界がきた。



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 ウルダの方がより惚れてて、リーメリの方がウルダに依存してる関係だったりします。
 



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