日本語で読めるホームズ
パロディ&パスティーシュリスト
(国内編)
- 探偵奇譚 呉田博士【完全版】
- 三津木春影 著 末國善己 編・編者解説
- 作品社 2008/7/15
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パロディ、パスティーシュではなく正典の翻案なのだが、登場人物などの名前も変わっているし、資料的価値が高い本らしいので、掲載した。また、この本の発行としては新しいが、リストの順番上は内容が書かれた時期の方を重視した。
といっても内容はソーンダイク博士シリーズが中心であり、ホームズものの翻案は「名馬の犯罪」(シルヴァー・ブレイズ)、「海底の宝玉」(四つの署名)、「機関士の拇指(おやゆび)」(技師の親指)、「巻煙草(シガー)の灰」(金縁の鼻眼鏡)、「博士臨終の奇探偵」(瀕死の探偵)の5編のみ。
ホームズものに関してはストーリーはほとんどいじっていないのだが、明治期という舞台の描写や文体などから、けっこう新鮮な感じで読める。
- ホック氏の異郷の冒険
- 加納一朗 著 小林司・東山あかねの解説
- 角川書店角川文庫 1983/8/25
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明治の日本を訪れた謎のイギリス人サミュエル・ホック氏の冒険。当時の風俗と、それに戸惑うホック氏の様子が面白い。後述するように続編が出ているがそちらは新書判であり、この作品にも先に親本が出ていて、その文庫化であった可能性もある。
- ホック氏・紫禁城の対決
- 加納一朗 著
- 双葉社FN(FUTABA NOVELS) 1988/1/10
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日本から中国へと渡ったホック氏の冒険。語り手が一作目と代わる。ホック氏を助ける張志源警補が良い。
- ホック氏・香港島の挑戦
- 加納一朗 著
- 双葉社FN(FUTABA NOVELS) 1988/12/25
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「紫禁城…」の続編。なお、この2作の敵はモリアーティの兄弟という設定である。
- 漱石と倫敦(ロンドン)ミイラ殺人事件
- 島田荘司 著 蝿田一男の解説
- 集英社集英社文庫 1987/10/25 (親本は集英社から1984/9)
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あの日本版ホームズとも言える御手洗潔(奇人ぶりを考えると最も近いであろう)の作者のホームズ物語である。面白くないわけが無い。それに英国留学中の夏目漱石(金之助)が絡み、作品も漱石とワトソンの視点で交互に語られる。が、この二人の書くことが全然違っていて・・・真相はどっちだ?(笑)
- 大日本帝国スーパーマン
- 北杜夫 著 なだいなだの解説
- 新潮社新潮文庫 1991/3/25 (親本は新潮社から1987/8)
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本のタイトルはスーパーマンですが、収録の「銭形平次ロンドン捕物帖」ではホームズによってイギリスに呼ばれた(!)銭形平次との協力が描かれます。
東洋の神秘(笑)に振り回されるホームズがなんともいえません。
- 怪盗ジバコの復活
- 北杜夫 著 佐藤愛子の解説
- 新潮社新潮文庫 1992/12/5 (親本は新潮社から1989/12)
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怪盗ジバコが様々な名探偵たちと対決を繰り広げる短編集。ホームズとは「禿頭組合」という作品で対決します。まぁドクトル・マンボウの作品なのでユーモア小説ですが。
- 日本版ホームズ贋作展覧会・上
- 山田風太郎・他 著 新保博久 編・解説
- 河出書房新社河出文庫 1990/4/4
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上巻は10編を収録。山田風太郎の「黄色い下宿人」が読めるのはありがたい。
収録作品
- 日本版ホームズ贋作展覧会・下
- 鮎川哲也・他 著 新保博久 編・解説
- 河出書房新社河出文庫 1990/4/4
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下巻は8編を収録。加納一朗のホック氏ものの短編が読める。巻末の新井清司の「パロディ翻訳史さんぽ(付=長編・短編集リスト)」は参考にさせていただいている。
収録作品
- ホームズ君は恋探偵
- 北原なおみ 著
- 講談社講談社X文庫ティーンズハート 1990/4/5
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自称ホームズの子孫の英日ハーフ、志郎・ホームズが登場。収録された文庫から分かるとおり、内容はアレである。これはシリーズ化されて何冊か出たのだが、さすがに読み続ける気力がわかなかった・・・作品の質が悪いわけではなく、ノリの問題なのだろう。登場人物が中学生ではなく、せめて大学くらいなら楽しめたかも。
- 世紀末ロンドン・ラプソディ (A Study in Violet)
- 水城嶺子 著
- 角川書店 1990/5/25
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第10回横溝正史賞優秀作。受賞時の選評あり。
現代の日本の女性・瑞希がH・G・ウエルズのタイムマシンに引っかかって19世紀末のロンドンに行ってしまうという、とんでもない作品。だが、しっかりと読ませる。この瑞希の手記とワトスンの手記の双方から構成される。日本の作家の長編は少ないが、その中でもベストかもしれない。
- 影よ踊れ シャーロック・ホームズの異形
- 服部正 著 東雅夫の解説
- 東京創元社創元クライム・クラブ 1994/6/20
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作中人物であるホームズ&ワトスンと作者たるドイルが出会うという、一種のメタ・フィクションと言えなくもないが、こういうのは趣味に合わない。こういうのを「文学」だと勘違いしている奴には付いていけない。
- 数学者シャーロック・ホームズ
- 瀬山士郎 著
- 日本評論社 1996/12/20
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ホームズとワトスンを使った数学の解説本。一応、小説の体裁を使っているので紹介しておく。本屋では文学のコーナーより科学系のコーナーを探しましょう。
前半の話の前半部分は一応事件の記録のかたちになっていてそれなりに読めるのだが、それ以外の部分はひたすら数学の解説に走っており、ホームズというキャラクターを生かしてはいない。後半の話も最後にようやく「事件」は出てくるのだが、現場に捜査にも行かずに悩むホームズというのは不自然だろう。
※2013年に「バナッハ-タルスキの密室」として増補・改題。
- シャーロック・ホームズの決闘
- 伊吹秀明 著 東山あかねの解説
- 幻冬舎 1997/6/11
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ホームズが謎の日本格闘技バリツを駆使して活躍する物語が五話納められている。ただ、そのせいか推理面でのホームズの活躍が楽しめるのは、ハリー・フーディーニと共演する第二話くらいであろうか。
第五話で対決する「あの男」の話も、話の内容より例の作品に対するワトスンのコメントの方が面白いかもしれない(ホームズファンならみんなそう思ってる…)。
収録作品
- パスワードとホームズ4世 −パソコン通信探偵団事件ノート(5)−
- 松原秀行 著
- 講談社青い鳥文庫 1998/6/15
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電子探偵団シリーズにホームズの子孫登場(マイクロフトのひ孫ですが)。「ホームズ君は恋探偵」もそうでしたが、日本ではホームズの子孫を出すのはジュヴナイルの専売特許なのでしょうか。アイザックという名前は頭良さそうなんですが、やはりシャーロックを連想させる名前にぜひして欲しかったところです。
作品自体も面白いので、シリーズを初めから読みたくなってしまいます。さすがホームズが主人公のライバルとして登場するだけあって、ゲスト出演はこの1冊では終わりません。
- 続・パスワードとホームズ4世 −パソコン通信探偵団事件ノート(6)−
- 松原秀行 著
- 講談社青い鳥文庫 1998/8/15
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引き続き電子探偵団とアイザック・ホームズの物語です。前作より冒険的な要素が強くなって面白いですね。アイザックが日本に来た本当の目的が明かされますが、そのオチがなんかいたずら好きのホームズらしいな、と思わせてくれます。
表紙イラストにホームズがいないのがちょっと残念。
- シャーロキアン・クロニクル(1) エキセントリック・ゲーム
- 真瀬もと 著
- 新書館ウィングス文庫 1999/3/25
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なんとも意外なモリアーティの登場する作品。
「スリー・ゲイブルズ」の情報屋ラングデール・パイクが重要な役どころで登場するほか、レストレイドと「赤毛組合」のジョン・クレイ?と思われるキャラもいる。しかしホームズは出てこないし、ホームズものらしさはあまり感じられず、正典とどう折り合いをつけるかもまだ不明。少なくとも名探偵ホームズが社会的には存在し、「緋色の研究」をはじめとした小説が出版されている世界であることは確かなようだが。
表題作の他、短編「夢の殻」も収録。
- シャーロキアン・クロニクル(2) ファントム・ルート
- 真瀬もと 著
- 新書館ウィングス文庫 1999/7/25
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マイクロフト・ホームズとアイリーン・アドラーが重要な役どころで登場。グレグスンもちらっと出る。ディオゲネス・クラブの使い方はキム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」を思い出させる。
正典との整合性は未だ見えず。
表題作の他、短編「砂漠にもひとつの泉が湧きいで」も収録。マスグレイヴという姓のキャラも出て来るが名は正典と異なる。
- シャーロキアン・クロニクル(3) アサシン
- 真瀬もと 著
- 新書館ウィングス文庫 1999/11/25
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いよいよワトスンが登場・・・だが、ワトスンっぽさがあまり生きているわけではなく、名前を借りているだけという感じ。
ワトスンの他、スタンフォードも出て来る割には、これまでにも増してホームズものである必然性が感じられない。キャラの名前だけを借りて設定も何も生かしていないアニパロ同人誌小説(偏見)レベルと言っても良い。
さらにこの巻では、これまで押さえてあった男性同性愛描写が色濃くなっているので、読むの自体も多少ツライ。
表題作の他、短編「魔術師の告白」も収録。
- シャーロキアン・クロニクル(4) スリーピング・ビューティ
- 真瀬もと 著
- 新書館ウィングス文庫 2000/3/25
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表題作と「プレジャー・プリンシプル」の2中編と、短編「天使は夜のかけら」を収録。
意外とも思えるがスコットことシャーロック・ホームズ登場。でも金髪だし。
以前からの印象通り、正典(や、その研究)から様々の素材を借りてきている以上の作品になるかは未知数。大河ドラマではないようで、個々のエピソードの狙いまでは見えない。
あとがきでの「快楽の原則」の言い訳。フロイトの用語は詳しくはないが、世間に流布済みの言葉を勝手に自分の好きな意味に変えて使ってしまうのはこの手の人にありがち。
- シャーロキアン・クロニクル(5) ゲーム・オブ・チャンス
- 真瀬もと 著
- 新書館ウィングス文庫 2000/7/25
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表題作と「エンジェリック・キッス」の2中編と、短編「夜の種子」を収録。
本巻でようやくシリーズそのもののお膳立てが整った、と思ったら次巻で終わりらしい。
巻数が重なるに連れて、モリアーティの弱さ即ちこの作品自体の弱みがあらわになってきており残念。
- シャーロキアン・クロニクル(6) コンフィデンシャル・パートナー
- 真瀬もと 著
- 新書館ウィングス文庫 2000/11/25
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最終巻。最後になってようやく作品世界内での社会的な存在としての「名探偵ホームズ」が誕生する。このシリーズのこれまでからすると意外なくらいホームズがホームズらしく収まってしまった。ただしワトスンがワトスンっぽいかどうかはまた別の話だが。
このワトスンがこれから本当に「緋色の研究」ほかのホームズ物語を執筆して発表するのだろうか?と疑問は感じざるを得ない。確かに創作に手を付けた経験はあるようだが。出来ればそこのきっかけまでを書いて欲しかった。正典の「緋色の研究」の最後のように。
表題作の他、オーソドックスな意味でのホームズ・パロディともいえる短編「探偵はいつも不機嫌」も収録。
- ホームズ探偵学序説
- 水野雅士 著
- 青弓社寺子屋ブックス 1999/6/30
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本のタイトルはホームズが書いたはずの「探偵学のすべて」の序説が発見されたという体裁から来ているが、それは本の前半だけに過ぎない。後半はバスカヴィルの魔犬の視点から夏目漱石の文体を模して事件を描いたパロディ小説「吾輩はバスカヴィル家の犬である」になっている。
発想としては面白いかもしれないが、原典のストーリーを崩せない分展開にひねりが足りない。モーティマー医師の扱いにも無理がある。
- 贋作館事件
- 芦辺拓 篇
- 原書房 1999/9/9
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様々な探偵を様々な作家が模倣あるいはもじった作品を集めた作品の短編集。ホームズについては柄刀一の「緋色の紛糾」が収録されている。
内容については純粋なパスティーシュにも、トンデモ系のパロディにもなりきっていない中途半端さを感じる。ホームズの登場のさせ方についてもこの作品内には説明が無く、巻末の贋作of贋作、斎藤肇の「贋作家事件」内の「緋色の電球」が説明になっているのかどうか。
「緋色の電球」単体の方が良く出来たホームズ・パロディに感じられた。
- 名探偵博覧会 真説ルパン対ホームズ
- 芦辺拓 著
- 原書房 2000/4/25
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博覧会の名に相応しく様々な名探偵の登場するパロディを集めた短編集。ホームズの登場するのは表題作である。
ルパンものに登場した、いわゆるホームズ(エルロック・ショルメス、ホームロック・シャーズ)は、本物のホームズとは全くの別人であるという解釈のもと、真のホームズとルパンの競演を描いている。ただ、作品の流れや文体は基本的にルパンものであると思う。
- 探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望
- 岩崎正吾 著 はやみねかおるの解説
- 東京創元社創元クライム・クラブ 2000/5/30
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現代日本を舞台とした「なりきりホームズ」ものではあるが、そのシチュエーションがうまく作ってあるので楽しめる。事件の展開も面白い。ホームズものらしさを感じられる作品。
ただし、「まだらのひもの」については、とっくの昔に横田順彌が同じネタを使ってるんですが(「日本版ホームズ贋作展覧会・上」収録)。
- シャーロック・ホームズの時間旅行
- 水野雅士 著
- 青弓社寺子屋ブックス 1999/7/30
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「ホームズ探偵学序説」の著者による本。
本の4分の3ほどはしょうもない世界史豆知識という感じである。ホームズとの関連の付け方が強引すぎ。
終わりに付いている「シャーロック・ホームズのタイムマシン」の方は、引退後のホームズを取り上げた、まぁまぁ良く出来たパスティーシュになっている。ただし「永遠の問題」という程大した問題では無いが。惜しむらくはワトソン作なのだから題名には正典っぽいのを付けて欲しかったというくらいであろうか。
- バトル・ホームズ 誰がために名探偵は戦う
- 梶研吾 著
- 集英社スーパーダッシュ文庫 2001/3/30
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先に減点ポイントを挙げてしまうと、「バリツ」を「柔術」と言い切ってしまっている点、格闘技ではないとはいえボクシングと並ぶホームズの得意技であるフェンシングに触れていない点、浅田弘幸の描くホームズのイラストが悪党っぽいあたりか。あと、東洋趣味が強すぎるのもホック氏のシリーズを連想させて残念。格闘技というテーマとイギリスという舞台のミスマッチを面白さに昇華できていない。それから、語り手にガイというキャラを設定してあるのに途中にホームズ視点が入ってしまっているあたりはこだわりが欲しいところ(あとからホームズの説明を聞く形にするとか)。
その辺のところを除くと意外に若き日のホームズものとして読むには良い出来かもしれない。はたして続きのアメリカ編はあるのか。
- バトル・ホームズ2 名探偵、大西部を征く
- 梶研吾 著
- 集英社スーパーダッシュ文庫 2001/11/30
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本当に出ました、続きのアメリカ編。
しようがないのかもしれないけれど、ホームズの探偵面はやはり弱い。推理と言えそうな部分を犯人の特殊体技で一点突破してしまっているとか。それにせっかくアメリカまで来て最大の対戦相手が少林寺では。
最後まで名前を伏せていたライアンの憧れの“あの男”の正体をモリアーティにしておくくらいのホームズ風味付けが欲しいところ。
- シャーロック・ホームズ 大陸の冒険
- 水野雅士 著
- 青弓社 2002/2/19
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色々なパターン(語り手とか対象の時代とか)の作品を集めた作品集。一つ一つの作品は、他の短編集(アンソロジー)にでも入っているのであればそこそこ良く出来た作品かもしれないが、一人の作家の短編集としてまとめて読んでしまうとちょっと鼻に付く傾向がある気がする。特に最後の作品のホームズの性格のねじ曲げ方が強引。
収録作品
- シャーロック・ホームズ、チベットへ行く
- 水野雅士 著
- 青弓社 2004/6/18
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まず、「著者ジョン・H・ワトスン、訳者水野雅士」となっているのはどうか。奥付もそうだし、扉裏のCopyright表示までそうしてあるのはやりすぎ。「ワトスン著、○○編」としてある作品はけっこうあるけど、ここまではしてないし、編者と訳者では主張できる著作権が全然違うし。ふざけ方が不愉快。
文章は悪くはないけど、面白いというほどでもない。チベットものとしては「シャーロック・ホームズの失われた冒険」の翻訳と続いてしまったのは単なる不幸か、狙って失敗したのか。
収録作品
- ブラックランド・ファンタジア
- 定金伸治 著
- 集英社スーパーダッシュ文庫 2004/6/30
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異常な生い立ちと記憶力を持った少女と賭けチェスのプレイヤーの少年の物語。
ホームズは主要人物として出て来るわけではなく、物語にちょっと絡む程度ですが、しっかりとおいしいところを持って行ってます(笑)。
- 御手洗潔対シャーロック・ホームズ
- 柄刀一 著
- 原書房 2004/12/3
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ホームズものとしては、「贋作館事件」に収録された「緋色の紛糾」と、書き下ろしの「ボヘミアンの秋分」がある。タイトルの付け方からも分かるようにパロディ色が強い。同時収録の御手洗もの2編はパスティーシュなのに比べるとちょっと残念。
そのパロディでホームズ達が現代にいる設定を受けて、ホームズと御手洗が競演する「巨人幻想」では(その設定以外は)正統パスティーシュという感じになっていて、楽しめる。御手洗潔の原作者島田荘司のホームズもの「漱石と倫敦(ロンドン)ミイラ殺人事件」の設定も少し入っているのが凝っている。
巻末に島田荘司による解説「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」あり。二人からの手紙の形式になっていて、これ自体も面白い。
- シャーロック・ホームズと薔薇の封印
- 高峰玲 著
- 新風舎 2005/1/25
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なんというか文体が装飾過多で、作者が自分の文に酔っているという感じ。ワトスンがロマンチック過ぎだし、ホームズも変。
本自体も行間がすかすかで、普通に組めば2/3以下のページ数に納まるのではないだろうか。
- シャルロット・リーグ1 招かれた小鳥
- 吉岡平 著
- エンターブレインファミ通文庫 2005/8/11
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表題作自体はホームズという姓が出て来るだけで今のところ関連性は無し。森脇教授というそれらしい名前のキャラも出て来るが、ワトソンを思わせる名前も見当たらないしね。
併せて収録されている「シャルロット・ホームズの冒険 T・レックスの涙」の方は子孫ものになるがまぁまぁの出来のパロディ短編。94年の「ザ・スニーカー」誌に掲載されていた作品がようやく単行本収録。連載していた作品を一作づつ表題作のシリーズの本に収録して行く予定の模様。
- シャルロット・リーグ2 月の夜は蝙蝠と翔べ
- 吉岡平 著
- エンターブレインファミ通文庫 2005/10/12
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表題作の無関係さは前巻と同様。
今回の収録は「シャルロット・ホームズの冒険 暗殺者のヒモ(マーダラーのヒモ)」。「ヒモ」には原典と同様、複数の意味がかけられているようだ。
前作と同じく、犯人が分かった後はドタバタ追跡劇になるのは犬ホームズの影響の方が強いのか。
- シャルロット・リーグ3 ワルプルギスの森で
- 吉岡平 著
- エンターブレインファミ通文庫 2006/4/11
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書き下ろしの表題作も本巻がラストだったのですが・・・ひどい終わり方だ。打ち切りかよ。
今回の収録は「シャルロット・ホームズの冒険 踊る人魚」。こちらも94年の作品とはいえ、ひどい出来。続かなかったはずだ。推理どころか冒険も無い。
- 吾輩はシャーロック・ホームズである
- 柳広司 著
- 小学館 2005/12/10
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最初に小学館eBOOKSで掲載された作品に加筆訂正して書籍化したもの。
夏目漱石との共演ものはいくつかあるが、その中では漱石の扱いが一番ひどい。「漱石と倫敦(ロンドン)ミイラ殺人事件」でのホームズの役回りと言えば合っているか。しかも漱石とホームズの直接競演はなく、もっぱらワトスンが相手を務めている。
さらにはホームズものファンには大切なあの人の扱いにも不満があり、なんとも評価したくない作品である。
2009年に角川から文庫化。
- 【図解】相対性理論と量子論
- 佐藤勝彦 著
- PHP研究所 2006/6/9
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ホームズの扱いは「数学者シャーロック・ホームズ」並で、なおかつ出番は本の半分だけ。しかも【図解】の割に絵がひどい。
- シャーロック・ホームズと賢者の石
- 五十嵐貴久 著
- 光文社カッパ・ノベルズ 2007/6/25
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一つ一つの作品は、他の短編集(アンソロジー)にでも入っているのであればそこそこ良く出来た作品かもしれないが、一人の作家の短編集としてまとめて読んでしまうとちょっと鼻に付く傾向がある気がする・・・って他の本で書いた感想をそのまま繰り返したくなった。あっちよりは多少はマシだけれど。裏表紙や帯の煽りは、宣伝文句とはいえ褒めすぎ。
「賢者の石」のラストシーンは元ネタの作品のエピソード無視ではなかろうか。
収録作品
- キューピッドの涙盗難事件 ベイカー街少年探偵団ジャーナルI
- 真瀬もと 著
- 理論社ミステリーYA! 2007/9
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イレギュラーズを少年探偵団としたのは一応児童書っぽいので納得。少年を主人公にした話の進め方も失敗はしていない。
主軸の事件の進行もまあ悪くないと思うけれど、変な「引き」で終わらせたり、余計なところに手を拡げたり伏線を張りまくる悪い癖が出ているのが残念。シリーズものと決まっているらしいが、読み切りは読み切りとしてそれだけでまとめて欲しい。モリアーティやアイリーンのことは知ってる読者も多いだろうし、変な思わせぶりは邪魔なだけ。
ワトスン不在期を選んだのも、余計な狙いがありそうで今後が心配。
- 山本周五郎探偵小説全集 第二巻 シャーロック・ホームズ異聞
- 山本周五郎 著 末國善己 編
- 作品社 2007/11/15
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収録されているホームズ関係は「シャーロック・ホームズ」という一編だけである。初出は1935年という古い作品だが、単行本初収録ということらしいのでリストの位置ではここに置いておきます。
日本に来たホームズの物語。ワトソン役となる人物はいないが、小林少年的な役割を務める凡太郎という少年が活躍する。
「四つの署名」や「最後の事件」(というより「空家の冒険」?)、「まだらの紐」あたりから持って来たネタが混在しているのはご愛敬だが、これぞまさに名調子という文体が読んでいて楽しい。
- 日本版シャーロック・ホームズの災難
- 柴田錬三郎・他 著 北原尚彦 編
- 論創社 2007/12/25
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「日本版ホームズ贋作展覧会」以降に発表・発掘された日本のホームズものを集めた短編集。書き下ろしもあるのが嬉しい。北原氏の労作と感謝したい。
収録作品
- 緋弾のアリア
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2008/8/31
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武偵という特殊な探偵の存在する世界の話で、ヒロイン(主人公?)の神崎・H・アリアがホームズの曾孫に当たる。推理方面ではあまりホームズの能力は継いでいない行動派だが、一族の遺伝的特徴としてワトソンのようなパートナーがいないと能力が十分に発揮できないという設定。
ということで、あまりホームズものらしさは感じられないです。語り手(主人公?)の方がいざという時には推理能力が高まるし。ちなみにこちらは遠山の金さんの子孫。
- 緋弾のアリアII 燃える銀氷(ダイヤモンドダスト)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2008/12/31
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あまりホームズものらしくはないけれど、ライトノベルとしては悪くないので引き続き。
でも、単なる超有能な探偵&犯罪者ものから超能力バトルにまで行ってしまったので個人的には残念。超能力は直接的な戦闘能力ではなく予知や千里眼のような補助的なものに留めておいて欲しかった。これで読心とか出て来たら、今回冒頭で出て来た尋問のプロの先生みたいなキャラも霞むし。
- 緋弾のアリアIII 蜂蜜色の罠(ハニー・トラップ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2009/3/31
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今回も今まで以上にホームズものっぽさはありません。
最後の敵は怪物ではあるものの、前巻のように主人公側の能力のインフレはほとんど無かったので、個人的な残念感はあまり無かった。白雪の出番が少なかったという残念感は・・・(笑)
- 緋弾のアリアIV 堕ちた緋弾(スカーレット)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2009/8/31
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今回も超能力バトルではあるものの、実質的にメインディッシュは語り手(主人公?)とその兄の対決部分と思われるのでまぁOK。
そして最後の最後で、意外にもこのリストに載せるのに相応しい要素が登場します。
- 緋弾のアリアV 序曲の終止線(プレリュード・フィーネ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2009/12/31
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前巻最後に出てきたヒロイン(主人公?)の曾祖父との対決はあっさり最初の2章で終わり、次の3章は挿話的な内容でちょっと残念。そして例によって最後に次に繋がる展開。脇も含めた主要女性キャラを何でも中心の男性キャラに絡めてしまうところはラノベ(ラノベ作家)の限界か。
- 緋弾のアリアVI 絶対半径2051(キリングレンジ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2010/4/30
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このリストではこれまで断定してきませんでしたが、本巻ではタイトルにもなっているアリアの出番がほとんど無いまま終わってしまったので、主人公は語り手の方だと判断しました。
しかし、敵組織の崩壊後の、No.1や主人公の兄らの状況が出て来るでも無し、アリアの母の裁判の進展が描かれるでも無し、問題の中心だったらしい例の物質が使われるでも無し、予想通り御大はしばらく出て来そうもないので、話が横道に逸れっぱなしな感じ。
- 緋弾のアリアVII 火と風の円舞(キャスリング・ターン)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2010/8/31
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横道から最後でようやく本筋に戻ってきた感じ?
このリスト的にはもうあんまり言及したいポイントは無いんですけど。
- 緋弾のアリアVIII 螺旋の天空樹(トルネード・ハイ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2010/12/31
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ワトソンの曾孫も登場・・・という程度?
- 緋弾のアリアIX 蒼き閃光(スパーク・アウト)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2011/3/31
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特に言及点無し。アニメ開始直前ですが、アニメに御大が出るところまでやるかどうか。
- 緋弾のアリアX 禁忌の双極(アルカナム・デュオ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2011/7/31
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今回も言及点無し。アニメは今回は2巻の内容までで、御大は次期(次々期?)シリーズがあればですね。
- 緋弾のアリアXI Gの血族(コラテラル・ブロス)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2011/12/31
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今回は御大への言及がいつになく多いという気もするけれど、別に本人が出てくるわけでもないしなぁ。
- 緋弾のアリアXII 狼狗に降る雪(フォル・オブリージュ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2012/5/31
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今回も言及点無し。いや楽しんでるんですけどね。戦って仲間になる系初の男キャラが良い感じにデレてるし(笑)。
- 緋弾のアリアXIII 反撃の九龍(ガウロン・リバース)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2012/8/31
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今回も言及点無し。海外も行き先がイギリスだったらまた違うんだろうけどなぁ。
(追記)「緋弾のアリア リローデッド キャストオフ・テーブル」(2012/12/31)はナンバリングも無い番外編なので外します。しかし掲載場所が特殊とはいえ、一繋がりのストーリーの連載作を集めた本を短編集と称するのはどうかと思う。
- 緋弾のアリアXIV 招かれざる海霧(アクアマリン・クロイツ)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2013/4/30
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今回も御大を思い起こす機会は多いものの、何も無し。敵が欧州系に変わることで変化は出るか。
- 緋弾のアリアXV 狽ニ銀氷(コンステラシオン)
- 赤松中学 著・あとがき
- メディアファクトリーMF文庫J 2013/8/31
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ヨーロッパに行ったとはいえ、イギリスには行ってないし、今回も言及点無し。
- 緋弾のアリアXVI 星の砦のジン狼(ジェヴォーダン) ※ジンは禾の下に人
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2013/12/31
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今回はイ・ウー関係者が多いせいか御大への言及はそこそこあり。しかしメインヒロインというか日本残留組はチョイ役ですら登場機会無しとは(笑)。
- 緋弾のアリアXVII 緋弾の叙唱(レチタティーボ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2014/4/30
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今回も御大の登場は無いが、彼の仕込んだ『緋弾のアリア』の解説が(ようやく)少し出て来る。また彼が恐れ回避しようとしていた事態が起きてしまったので、今後何か対応を取ってくるか。
- 緋弾のアリアXVIII 星条旗の覇道(トランザム)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2014/8/31
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前巻ラストの「引き」ネタは新刊では冒頭であっさりと片付けられてしまうのがこのシリーズのいつものこと。重大そうなネタが大したボリュームを割かれないから、つまんないよね。
メインヒロインはイギリスに帰ったけど、主人公は行ってないしなぁ。
- 緋弾のアリアXIX 小舞曲を御一緒に(メヌエット)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2014/12/31
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主人公がイギリスに赴いた上にベーカー街221番地にまで行ったけど、別に特筆するほどの御大ネタは無し。いや、現代の221番地と正典当時の(番地としては存在しなかった)221番地の場所は違うだろうとかはこのシリーズの読者にはどうでもいいんだろうけど。
- 緋弾のアリアXX 恋と戦の超伝導(スーパーコンダクティビティ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2015/5/31
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実に久し振りに御大登場。でもろくな推理もバトルも無いまま、ほぼ最初の章だけであっさり退場。しかもなんか間抜けになった上にあまり役に立たないキャラになってしまっているんですけど・・・
表紙もラスト数ページにならないと出て来ないキャラよりも、覇美(ハビ)の方が良かったんじゃないだろうか。閻(エン)でも良いけど。
- 緋弾のアリアXXI 秋霜烈日の獅子(リゴラス・サスペクト)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2015/8/31
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シリーズ的に2大課題ともいえる懸案事項が解決した割に、今更脇でちょろちょろしてた奴に重要人物でした的に出てこられても、蛇足感しかないわけで。まったく新たに宇宙とか異次元とかから新しい敵がやってきたとかならともかく、同じ世界にいながら絡んでこなかった連中にこのタイミングで出てこられても、(構想も伏線もあったのは知ってるけど)思い付きにしか見えないよね。
残りを主人公周りのハーレムラブコメ問題だけで終わらせても良い頃合いな気もする。
- 緋弾のアリアXXII 彗星よ白昼夢に眠れ(アノニマス・デス)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2016/4/30
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今まで大して気にしちゃいなかったのに、今更それを主人公の進路を左右する程の大問題でしたと出されても、やっぱり無理矢理続けるためだけの思い付きにしか見えないよね。
- 緋弾のアリアXXIII 不可知の銃弾(ゼロ・インフィニット)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2016/8/31
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登場はしないが御大の動きはあり。そして別の「教授」への言及も。
しかし潜水艦を根城にして、組織名もそれに合わせるというのがこの作品世界の現代の流行りなのか19世紀末のしきたりなのか。
- 緋弾のアリアXXIV 狂逸の同窓会(イ・ウー・リユニオン)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2016/12/25
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御大は最後の方で登場。レベルアップしてるらしい割に次巻で死にそうな雰囲気出してるが、その後生き返っても別に驚かないしなぁ。教授は特にひねりも無くあの人物だったけど、問題は御大が頭脳で教授に負けることを認めちゃってることだよなぁ。
- 緋弾のアリアXXV 羅馬の軍神星(イル・マルテ・ディ・ローマ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2017/4/25
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御大はやはり予想通り序盤で退場。教授が出張るまでも無かった。舞台はあっさり日本へ逆戻り。
- 緋弾のアリアXXVI 闇穿つ大蛇(アナコンダ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2017/9/25
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今回のズッコケ繁盛期みたいな話は結構面白くて楽しめた。いつものバトルよりよっぽど良い。中空知の成長物語にもなっているし。その部分は少し泣けたくらいだ。
こっちの才能の方があるんじゃなかろうか、赤松先生。
- 緋弾のアリアXXVII 那由多の弾奏(カウンター・アイ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2018/1/25
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ストーリー的には何か進展した気配は無いけれど、前巻に続いて主人公がカッコイイのは救い。キンイチではないけれど兄というより保護者として父親っぽい雰囲気が強いからだろうか。
- 緋弾のアリアXXVIII 絶島の珊瑚礁(サウザンクロス)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2018/5/25
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2人きりの孤島サバイバル生活ものはXXVI巻に続き楽しめた内容。主人公の自然の中でのサバイバル知識の豊富さはご都合主義的だけど。ヒドイ人が出て来ない程面白くなるのはこの手の作品としてどうなのよ。
- 緋弾のアリアXXIX 盟約の諜侯(エスピオナージュ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2018/8/25
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クロメーテル中心の割には、女装ものとしてはありがちなネタ(キモい男に惚れられる系と双璧のネタ)に終始しただけで意外性が無い。というかカバー絵が何でクロメーテルでもミザリーでもなくアリアなのよ。
- 緋弾のアリアXXX 茉莉花を追え(スーパー・チューズデー)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2018/12/25
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今回も引き続きあまり盛り上がらない。進まない作品内時間の時代が悪い意味で気になるエピソード。主要メンバーを冷凍保存でもして、どっかで一気に時代を進めてくれないものか。
マキリは親父惚れだろうし、ベイツ姉妹攻略のキーワードは金属だろう。Fは何だろう。この本の読者層を考えるとファントマでは知名度低過ぎる気がするし。エルム街とかオペラとか。あんまり思い付かないな。
- 緋弾のアリアXXXI 静かなる鬼(サイレント・オルゴ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2019/6/25
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平賀さんが出てきた割には、心情的な絡みの話は特に無いしなぁ。新ロボ3体も同じく。巻タイトルになってるのもエピローグにならないと出て来ないし。ストーリーが進んでる気がしない。テロリストが呑気に観光してるなよ。強いて言えば風魔の話なんだけど、必要あったかねぇ。
- 緋弾のアリアXXXII 蒼穹の密使(エトランゼ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2019/12/25
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肝心の親父の話というか病気対策の話はまったく進んだ気がしない。直接戦ったわけでもない助けただけの相手なのに奴隷とか言い出す3人組の行動がもうこの作品ではワンパターンとしか・・・
しかしトンデモ教師編はXXVI巻、XXVIII巻の時のように楽しめたので良しとしよう。エンディミラもこの作品にしては珍しくきちんと自分の気持ちを告げきちんと退場していくという好感度の高いキャラだし。
- 緋弾のアリアXXXIII 花冠の帰還兵(ブルーメン・クローネ)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2020/6/25
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それはやっちゃいかんだろうというネタ。そうとしか言いようが無い。ユーチューブを使った理由もつまらんし、服の話もジャンヌの二番煎じだし。
親父の話も大学進学の話も全く進んでないし。
- 緋弾のアリアXXXIV 早天の嚮導艦(ナヴィガトリア)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2020/12/25
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戦闘で繰り出す技が、工夫が感じられない力技ばかりになってないか?
サブタイトルでオチのネタバレするのもどうなのよ。
- 緋弾のアリアXXXV 侵掠の花嫁(ファム・ファタール)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2021/6/25
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久し振りに御大と会話出来てる気がする。
あとはもうどうでもいいやとしか思えないルシフェリア。
- 緋弾のアリアXXXVI 綺羅月に翔べ(カルティエ・ムーン)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2021/12/25
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今回も親父と病気はほったらかし。
Fのフシは不死?
- 緋弾のアリアXXXVII 第三の男(ワンダー・ノッギン)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2022/6/25
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とうとうワトソン(初代)まで引っ張り出してきたのか。普通の人間であるところが魅力なのに。そもそもダイダラボッチとダイバ・ダッタの混成みたいなのがいかにも偽名臭かったが。
- 緋弾のアリアXXXVIII 愛を忘れはしない(カメリア・エターナル)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2022/12/25
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なんか御大を馬鹿扱いしてる気がする。そんなもんで強化されるのかよ。
- 緋弾のアリアXXXIX 荒脛巾の巫女(エル・ドラド)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2023/6/25
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悠樹菜さんもこの作品には珍しくきちんと退場したキャラになったけど、その後にまたあまり新規性の無いキャラが増えた。
- 緋弾のアリアXL 尻尾の女(エンジェロファニー)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2023/12/25
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もう長く続き過ぎていて、再登場されてもどんなキャラだったかほとんど覚えていないキャラばかりだよ。
信じ難いが放ってはおけない怪情報といっても心配する相手が自力で何とかしそうな連中だし何が出来るかも分からないのにその確認のためだけでエジプトくんだりまで行くか? 金持ちの暇人キャラだったら分かるが。
- 緋弾のアリアXLI 原罪の龍王(ウルトラプリニー)
- 赤松中学 著・あとがき
- KADOKAWA MF文庫J 2024/6/25
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子育ての話は良い話なのに、それぞれレベル違いの強さっぽいアンジェリカもガイデロニケも戦ったらあっさり勝ちで勝負付いてしまったな。
- ネコのホームズ
- 南部和也 著
- 理論社おはなしルネッサンス 2009/7
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子供向けの本で、探偵役の猫の名前がホームズだという以外、正典との直接の繋がりは無い。シャーロック・ホームズにちなんで名付けたというエピソードすら無い。
しかしホームズの変装名人(名猫?)っぷりや、その他あちこちに正典を意識した気配が見られ、なかなか面白い。
(追記)続刊も出てるみたいですが、見送りの予定。
- シャーロック・ホームズに愛をこめて
- ミステリー文学資料館 編 新保博久の解説
- 光文社光文社文庫 2010/1/20
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解説を読むと「日本版ホームズ贋作展覧会」の再刊的な意味合いがあるようで重複した収録作も多いし、もちろん最近の作品ならそれ以外でもこのリストに挙がっている作品が含まれるので、人によっては初めて出会う作品というのがほとんど無いかもしれない。
収録作品
- シャーロック・ホームズに再び愛をこめて
- ミステリー文学資料館 編 新保博久の解説
- 光文社光文社文庫 2010/7/20
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今回は「日本版ホームズ贋作展覧会」未収録の作品率が高い気がする。個人的にも初見の話がいくつかあった。
そういう意味では収録作の選択に不満は無かったのだが、解説で言い訳がましくその理由を書いてあるのが逆に変な印象を残す。ちなみに解説といえば、ガイ・リッチー監督版の映画についてはどちらかというと(この本を読むような)ディープなホームズファンの方が概ね好意的に受け止めているような気がする。
収録作品
- アリス・イン・ゴシックランド 霧の都の大海賊
- 南房秀久
- 角川書店スニーカー文庫 2011/5/1
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貴族のお坊ちゃん刑事ジェレミー卿がホームズの妹イグレインと組んで事件を追う。いかにもツンデレなイグレインのキャラに頼りきった話にもなってないし、国宝級の宝石を石っころと言い切れるジェレミーの金持ちっぷりもキャラが立っている。それにやはりタイトルにもなっているアリスの方がイグレインよりも重要キャラになりそうな雰囲気もあるし、なかなか先が楽しみなシリーズになりそう。
敵のラスボスっぽいのが「教授」なのはお約束。フィクションも含めたこの時代の有名人が続々登場するのも、マイクロフトが「M」なのもありがちといえばありがち。でも悪くない。章ごとにキーワード解説が入るのも、この作品を読むための解説という以上に、対象読者層の興味を広げるのに良い事だと思う。
何より、ジェレミーにとってアリスが誰に似ているのかをもったいぶらずにこの巻で説明してしまったことに好感を覚えた。
スチームパンクというのともちょっと違う未来の技術が出てくる理由が明かされていないけれど、その辺はSF的方向に行くのかどうか。そして未登場のホームズはどのような感じで登場してくれるのか。
- アリス・イン・ゴシックランドII 怪盗紳士と大聖堂の秘宝
- 南房秀久
- 角川書店スニーカー文庫 2011/10/1
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今作でもホームズには出会えず、ジェレミーにしろイグレインにしろ推理面ではあまり見せ場も無かったし、クライマックスは戦車相手なのであまりアクションっぽくもなかったので、見所はもっぱらジルの対決シーンばかりか。ラウルが今後も出しゃばるようだと、ジェレミーがますます主役っぽくなくなるかも。
というか、前作とは変わってオカルト系の要素まで混じってきて、収拾が付かなくなってきそうな不安。キャラ頼みでストーリー面が弱ってきてるし。
- アリス・イン・ゴシックランドIII 吸血機ドラキュラ
- 南房秀久
- 角川書店スニーカー文庫 2012/2/1
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有名な固有名詞をカタカナ表記するにあたって、既に広く普及して定着している表記を使わずに独自の読みにするのって何なんだろうね。自分はこんなに原音に忠実なんだぜ、って感じ?
と、文句はここまでで、以下は仮に皮肉混じりに聞こえたとしても純粋に褒めてます(笑)。
えぇ〜、もう終わりなの? 前巻の不安を一蹴するくらい、すげぇ面白かったのに。まさに有名人の無駄遣い(笑)ってくらい多くの聞き覚えのあるキャラが散りばめられているし、既存の登場人物もレストレイドやケイトに至るまで見せ場がある。ついにホームズ(鹿撃ち帽に海泡石のパイプなのは確信的笑)も登場!と思いきや、結局ジェレミーとの邂逅は無し。そういえばモリアーティもラスボスどころか脇役っぽかったなぁ。ドリアンは別にドリアンじゃなくても務まったような気がしないでもないけど。
結局、ジェレミーの力をちゃんと見抜いていた者たちは勝者の側に立ち、ジェレミーを見くびった者は敗れ去ったという図式か? なかなか主人公として深いな。物語の方も次に繋げる可能性をうまく残しつつも、見事にまとめきったところは素晴らしい。
そういえば吸血鬼とウェルズの火星人には確かにそんな共通点があるよなと納得してしまったトライポッド。最後にジェレミーがしくじっていたらキム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」の世界になっていたのかなぁとも思わせるところも狙ってるか?
- ベイカー街少年探偵団ジャーナルI キューピッドの涙盗難事件
- 真瀬もと 著
- 角川書店角川文庫 2012/7/25
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作者もタイトルも中心となる事件や登場人物も以前の「キューピッドの涙盗難事件 ベイカー街少年探偵団ジャーナルI」とほぼ同じだけれど、大幅に書き換えられてはいる。しかしそれって何の意味が?というか作者の自己満足レベル。逆に作者がそれだけ不満足だった前作を読まされた読者は良い迷惑。
児童書っぽく振舞うのは止めたようで、ラノベレベル。正典の世界の知られざる出来事ではなくパラレルワールドと思って読んだ方が良さそう。相変わらず思わせぶりなだけで未回収の伏線張りまくりという感じだが、前回は続かなかったしなぁ。悪い癖だ。
- ベイカー街少年探偵団ジャーナルII アーンズワース城の殺人
- 真瀬もと 著
- 角川書店角川文庫 2012/10/25
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今回は一応続きが出たな。相変わらず誰が主人公か分からないようなまとまりの無さだし、中心の事件の真相も明らかにされたのかどうかという曖昧さを残してるし。推理小説とは言いたくない出来。まだ続ける気みたいだが、クロニクルの時みたいに描き切るべきところまで行かずに終わらないと良いが。
過去の手紙を挟み込むという手法も気取り過ぎな上に、最後まで引っ張らずに途中でやめてしまうからこの方法を取った意味が感じられない。やっぱりこの手は犯人の告白文みたいなものでやらないと。
カバー絵と解説マンガの描き手が違うのはあまり良いことではないのではないか。しかも解説マンガ自体にもあまり意味が無い。登場人物や舞台の紹介なら巻頭に置くのが(もし児童書であれば)お約束。
- ベイカー街少年探偵団ジャーナルIII 死を招く薔薇の怪事件
- 真瀬もと 著
- 角川書店角川文庫 2013/2/25
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今回は事件は一応あるけれどそこはあまり重要じゃなくて、前巻終わり時点からの主人公の気持ちの整理だけで1冊使ってしまった感じ。しかもジャンプの打ち切り漫画みたいな「俺たちの本当の戦いはこれからだ!!」的な終わり方だし。
- シャーロック・ホームズたちの冒険
- 田中啓文 著
- 東京創元社 2013/5/30
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ホームズものそのものとしては「シャーロック・ホームズに愛をこめて」にも収録されている「『スマトラの大ネズミ』事件」しか無いが、ホームズ好きのヒトラーが推理をする「名探偵ヒトラー」も収録されているほか、ルパンものである「mとd」も少しだけ関連しています。
- シャーロック・ホームズたちの新冒険
- 田中啓文 著
- 東京創元社 2018/2/28
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前作は割と最近かと思っていたら5年も前だったか。今回のホームズものそのものとしては「ホームズ転生」1本だけで、前作のような関連作も他には無し。
オチは別として、転生の意味はホームズとワトスンが若き日に同居を選ばなかったパラレルワールドを舞台としているため。他の収録作も実在の人物ではなく架空の作品をネタとしたものは同様に元の作品とは別の設定(「実は」ではなく最初から)の世界になっている。
- ホームズ鬼譚〜異次元の色彩 (The Hommage to Cthulhu)
- 山田正紀 北原尚彦 フーゴ・ハル 著 増井暁子の解説
- 創土社 2013/9/1
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クトゥルー・ミュートス・ファイルズ8(The Cthulhu Mythos Files 8)シリーズとして刊行。収録作品は「宇宙からの色の研究」(山田正紀)、「バスカビル家の怪魔」(北原尚彦)、「バーナム2世事件」(フーゴ・ハル)。3作目はちょっと変わった形式のゲームブックになっている。これにH・P・ラヴクラフト自身の「宇宙からの色」(荒俣宏訳)もあわせて収録。
ちょっと考えるとホームズとの相性は悪そうながら、時代的な一致もあってか実際に組み合わされることは少なくないような気もするクトゥルーもの。ホームズの行動がホームズらしいかというと引っ掛かりはあるんだけど。
北原さんのはクトゥルーというよりちょっと物体Xを思い出したよ(笑)。
- ちっちゃいホームズといじわるなワトスン 緋色の血統
- 城島大 著
- 講談社講談社BOX 2013/10/1
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ホームズの孫娘のリディアが主人公。ただし推理力はからっきしな上に(どこぞの曾孫娘のように)身体能力等に優れているわけでもないしもちろん超能力なども無い。しかし時に見せるとてつもない懐の深さが、驚くべきことに事件を意外な解決へと導く・・・
といった感じにタイトルやイラストからは予想していなかった意外な面白さにはまりました。最初は主人公の極端すぎるダメっぷりに空回りしたコメディかとうんざりしかけましたが、終盤の盛り上がりではちょっと泣けるくらい。まぁ子供ネタに弱いからですが(笑)。
エピローグに至るまで良い感じに楽しめていたのですが、最後の最後に蛇足で残念なエピソードが入っていてがっかり。シリーズ化して次作への引きのつもりなんだろうけど。大体ジェームズ・Mって名前の時点で想像付くだろ。
- 少年シャーロック ホームズ 15歳の名探偵!!
- 時海結以 著
- 集英社みらい文庫 2014/4/9
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NHKでの三谷幸喜脚本の人形劇のノベライズ。内容としては3月に先行放送された3話分。ところで「シャーロック」と「ホームズ」の名前を中点(・)で繋いでいないのは何故だろう。
基本的には番組の内容に忠実にノベライズしている。なのでこれといったひねりも無いし、正典要素の取り込み方も無理矢理なままで感心する要素は無い。唯一の救いは挿絵のタッチが人形の造形とかけ離れたものにしてくれたことくらいか。
これテレビの放送に合わせて続いていくのかなぁ?
- 少年シャーロック ホームズ 赤毛クラブの謎
- 時海結以 著
- 集英社みらい文庫 2014/9/10
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NHKでの三谷幸喜脚本の人形劇のノベライズ2巻目。内容としては8月に先行放送された4〜6話の内、4話と5話の分。6話は半端で入らなかったか。
相変わらずほぼテレビの内容そのままでひねりは無いので、続きが出てももう買わないかもなぁ。一応赤毛の最後にテレビでは無かった1エピソード入れてたりはするんだけど。(追記:続きはやはり買わなかったです)
- 犯罪者書館アレクサンドリア 〜殺人鬼はパピルスの森にいる〜
- 八重野統摩 著
- KADOKAWAメディアワークス文庫 2014/4/25
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直接的にはホームズものではありません。連続殺人の犯人がシャーロック・ホームズという名前を残していくことと、主人公が関わる謎解きのヒントにミステリ作品が使われており、その一つがホームズというだけです。もっとも3編ある内でホームズのが一番作品と謎の関連が薄いというか、別にホームズじゃなくてもいいじゃんという程度の関連しかありませんが。使われたトリック自体はウィステリア荘のと同じなんだけど、言及されなかったしなぁ。
- シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱
- 高殿円 著 北原尚彦 解説
- 早川書房 2014/7/25
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小説としての出来はともかく、ホームズものにする必然性は感じられない。正典を単に素材として「使って」いるだけで、正典に対する愛とか敬意とかが感じられないのは最近人気の某テレビドラマや人形劇と同じ。
と書いて分かったのは、正典のホームズがドイルの書いたフィクションとして(=この現実世界)も、ワトソンの書いた現実として(=正典の世界)も存在しない世界を舞台にしている作品は自分としてはダメっぽいということ。ホームズの家族/子孫ものにしろ、ホームズは実は○○だった(含む「女」)ものにしろ、どこそこのホームズものやなりきりホームズもの(つまりは無関係な別人)にしろ、その線を守っているものはけっこう大丈夫なんだけど。世界の設定をいじっているものでも、19世紀末から20世紀初頭のロンドンを舞台にしていれば何とかなる。(人形劇は惜しかった)
引きのために無駄に謎を残したがるのは日本作品に多い悪い癖かなぁ。あと、章ごとにサブタイトル付けて目次で飛べるようにくらいはしておいて欲しい。
- シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗
- 高殿円 著
- 早川書房 2020/1/25
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前作のところに書いたことを読み返してもほとんど内容が思い出せないほど拒絶感があったようだが、今回も正典を単に素材として「使って」いるだけという印象は変わらず。5年以上も経って続編が出るとは思わなかったけど、人気あったのか?
相変わらず仄めかすだけの無駄な謎が多いし、目次が無くて不便なのも同じ。しかも今回は解説すら無しと徹底している。小説に関してはあとがきは別に無くて良いと思ってるからいいんだけど。しかしこれをパスティーシュと称するハヤカワの馬鹿っぽい意図は何だろう。
- シャーリー・ホームズとジョー・ワトソンの醜聞
- 高殿円 著
- 早川書房 2024/1/25
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今回もまた前作の内容をほぼ思い出せないほど印象が残っていない。正典を素材として「使って」いるのももう言葉遊びレベルでしかない。
結局、ジョーが結婚の記憶を失っていたことに関しては他者に細工されたということではなくて本人の性格のせいということで片付いたのだろうか。後の方ではなんとなく思い出して来てるようだし。
- ジョン、全裸連盟へ行く John & Sherlock Casebook 1
- 北原尚彦 著
- 早川書房ハヤカワ文庫 2014/9/15
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正典のパロディではなく、例のBBCドラマの・・・何だろう? これが正典の二次創作であればパロディとしか言いようのない内容なんだけど、例のドラマのノリからすると正統派なのかもしれないし。でも元の作品と異なる媒体で作った場合はそもそもパスティーシュと分類するのは可能なのだろうか。一応ドラマ側の許可は得ているらしいのだけれど、例のドラマの二次創作であることを題名や宣伝文句で謳っていないので正典由来の作品と判別し辛く、少々ずるい。分かってたら買わなかった可能性もあるし。(よく見ればカバー絵のシルエットがあれだけど)
あくまでも正典との対比として言えば、ナンセンス系脱力コメディという感じのパロディ。品という点でもどちらかといえば低い方を指向してるようだし。
収録作品
- ホームズ連盟の事件簿
- 北原尚彦 著
- 祥伝社 2014/10/20
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正典に登場する、ホームズ以外の人物を主人公とした短編集。小説NONで連載していたらしい。雑誌での掲載順と本書での収録順は一致していないらしいこともあり、各作品間の関連は薄いというか無いのは良いことだ。連載の未収録作もあり、まだ続く模様。
ちなみに誤解を招かないように一応触れておくと、書名のホームズ連盟という組織とかチームは出てきません。
収録作品
- ホームズ連盟の冒険
- 北原尚彦 著
- 祥伝社 2016/2/20
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ホームズ以外の人物を主人公とした短編集の2冊目。
見たら1冊目のところでも個々の作品の感想は書いてないですね(笑)。つまらなくないけれど、意外な内容という程のものも無く、その程度。
収録作品
- シャーロック・ホームズの蒐集
- 北原尚彦 著 日暮雅通の解説
- 東京創元社 2014/11/28
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タイトルは「しゅうしゅう」です、はい(笑)。全裸連盟、ホームズ連盟と続けて3ヶ月連続の刊行というよく分からないこだわり。まぁそれぞれ雑誌で連載していたものベースらしいので、書下ろし3冊というわけではないのでインパクトは薄く、買う方が大変だっただけですが。
内容的にはいわゆる「語られざる事件」ベースというオーソドックスなパスティーシュ。
「憂慮する令嬢の事件」での依頼人である令嬢へのホームズの接し方が気持ち良い。でもオチのネタは日本人の作っぽいかなぁ。
収録作品
- 魔探偵×ホームズ(ウォーロック×ホームズ)
- 多宇部貞人 著
- KADOKAWA電撃文庫 2015/5/9
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魔法のある世界で時代は魔導暦・・・と紹介文には書いてあるけど本文にはあったか?というまぁ一応19世紀末風の英国を舞台にして、魔探偵(ウォーロック)と呼ばれるホームズとなんか武器に変身できるワトソンの活躍を描く話。
これも正典(の主にキャラ)を単に素材として「使って」いるだけという印象。見た目の若いハドソン夫人というのも新味は無いし、魔法関係で出て来る設定もいかにもラノベというものばかり。しかもマイクロフトとモリアーティに至っては小者感が漂うという残念さ。ホームズとワトソンの性格と関係についてはもう触れるまでも無いほどのありがちさ。
前記主要キャラ(+アイリーン)も既に出揃った状態から始まっていて出会いの話というわけでもないので、これから始まるわくわく感も無し。ホームズとアイリーンがルパンと不二子ちゃんに見えてしまう。
シリーズ化はしないよな? 一番ポイントになりそうな設定が今回で消えちゃったわけだから。
- 新しい15匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険
- 島田荘司 著・あとがき
- 新潮社 2015/9/30
-
島田荘司はどうしてもホームズをヤク中のキ○ガイにしたいのだろうか(笑)。
本書はワトソンが公表した作品とは別に書き残していた真実の記録という設定。この形式は他に皆無というわけでも珍しいというわけでもないが、どうしてもパロディ色が濃くなりがちなところを本書はうまく抑えていると思う。また文体も正典そっくりかどうかはさておき、日本人作品にありがちな余計な装飾も少なく、英米作家の作品の邦訳のように読みやすい。なお、この設定を受け入れるにあたっては事件(作品)の発生順、執筆順、公表順は一致しないということを念頭に置いておくこと。
最後にホームズの名推理はあるものの、基本的にはタイトル通りドクターの大活劇が楽しめる作品です。
それにしてもブルドッグの設定はもう一展開、伏線として活かして欲しかった。
- ホームズ四世
- 新堂冬樹 著
- 講談社 2016/8/9
-
子孫もので日本人というところはそれ程目新しさは無し。歌舞伎町のホストをやっているというのは良いとして、それが自信ではなく後に行くほどコンプレックスになっているのはどうなのよ。職業を活かした捜査(ホスト仲間の歌舞伎町イレギュラーズ(笑)とか)などは一切無し。
設定やストーリーは穴だらけ、キャラは馬鹿だらけ、読み進めるほど「またそれかよ」と言いたくなるつまらないネタの繰り返し。雑誌連載だったことが悪い方に働いているんじゃなかろうか。後から偽物でした芝居でしたと言えば、どんな馬鹿馬鹿しい行動、振る舞いも正当化されると思っていそう。これがラノベレーベルの文庫本だったらまだ納得できたのに、ノベルズですら無く単行本。
ホームズの子孫である主人公は、人に言われたことは素直に信じるか疑う場合でも裏取りや反証はしないし、推理らしいこともろくに出来ずそれらしいことも思い付きレベルの内容で当たっていてもたまたまという感じ。
最悪、全ては父親が息子を探偵に目覚めさせるために仕組んだ芝居だったというオチも予想していたけれど、それすら下回る説得力だったよ。
- アンデットガール・マーダーファルス 2
- 青崎有吾 著
- 講談社講談社タイガ 2016/10/18
-
1では舞台も英国ではなくホームズも出ていなかったようだが、この巻では舞台がロンドンとなりホームズとワトスン、レストレードや少しだがマイクロフトも登場。ただしホームズに限らず、ルパンやオペラ座の怪人、八十日間世界一周のキャラといった他作品のキャラも登場するのはありがちか。教授(正体にひねりは無し)一派にも有名キャラが揃う。
登場時にはバトル・ホームズかガイ・リッチー監督版かと思うようなアクションを見せるホームズとワトスンだが、それ以降でそれっぽい活躍は一瞬だけ。頭脳面でも推理力というよりもっぱらルパンとの化かし合いに尽きるという感じ。しかも押され気味。作品の出来としても決して悪くはないんだけど、何か物足りない感じが残る。
ホームズは引き続き続刊にも登場しそうな終わり方になっているが、さて。
- アンデットガール・マーダーファルス 3
- 青崎有吾 著
- 講談社講談社タイガ 2021/4/15
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一応、前作に引き続きホームズとワトスンも出てくるが、序盤にほんのちょっぴりとだけ。続きはいつになることやら。
ところでルイーゼの部屋の件に関する鴉夜の推理だが、ルイーゼが誘拐犯である人狼とグル(ある意味では、そうだったわけだし)であれば入るのも出るのも何とかなる気がする。声の聞こえた場所なんて人間の耳にはどうとでも誤魔化す方法はあるだろうし。
- 華麗なる探偵アリス&ペンギン アリスVS.ホームズ!
- 南房秀久 著
- 小学館小学館ジュニア文庫 2016/12/5
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結構人気で続いているらしいジュニア向け小説シリーズ。今回は主人公たちがロンドンに出向いての少女探偵シャーリー・ホームズから研修を受けるも、事件解決を競ったり協力して捜査にあたったりする。シャーリーはシャーロック・ホームズの血を引く探偵で、ベーカー街221Bに住んでもいる。
「アリス・イン・ゴシックランド」の人だけあって悪くは無いんだけど、主人公のアリスのキャラがかなり不思議(能力とかのことではなく)である。
さて今後シャーリーの再登場はあるか。
- 華麗なる探偵アリス&ペンギン ホームズ・イン・ジャパン
- 南房秀久 著
- 小学館小学館ジュニア文庫 2018/7/4
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ロンドンから少女探偵シャーリー・ホームズが日本にやって来て再登場。エピソードとしては3編を収録。青いカーバンクルが出る等、ホームズネタもたまに仕込んでくる。
- シャーロック・ホームズ対伊藤博文
- 松岡圭祐 著 細谷正充、北原尚彦 解説
- 講談社講談社文庫 2017/6/15
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最後の事件後にホームズが日本を訪れていたという点ではホック氏の異郷の冒険と同じで雰囲気にも似たところはあるが、こちらはホームズ自身の視点も入っている(語りは三人称で視点の人物は色々と変わる)。パートナーはあの伊藤博文なので日本国内での権力は絶大(笑)。
有名だけれどホームズ界隈では名を聞いたことの無い作者名から多少不安はあったものの、結構面白い。終盤はアクションもあり盛り上がる。贅沢を言えばメインの国家陰謀レベルの事件だけでなく手始めに日常的な小さめの事件もいくつか解決して見せて欲しかった。
ところで解説で北原氏が「大失踪期間」という言葉を使っているが多分初耳に近い。「大空白期」はよく見る(聞く)けど、最近はそう言うのか?
- 続シャーロック・ホームズ対伊藤博文
- 松岡圭祐 著 千街晶之、北原尚彦 解説
- KADOKAWA角川文庫 2024/6/25
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前作は講談社だったのに今作は角川。前作も改めて角川から出ている。
語りは引き続き三人称だけれど、今回は基本的にホームズ視点で進む。しかし最近の日本の作家によるものはなんとなくホームズに対する敬意に欠けてる気がするのは気のせいだろうか。
前作からかなり時が経ってホームズの引退後&伊藤博文暗殺事件後の話。今回も結構面白い。アクションもあり。ただ招待状の偽造に関して英国政府(外務省?)やマイクロフトが宛名の日本語部分の間違いに気付かないなんてあり得るだろうか。漢字であっても気付きそうだけど、カタカナだぞ? それとホームズに仏像を届けた女が日本から来ていたというのも時期的、渡航手続き的に可能なのだろうか。
- 黒猫シャーロック 〜緋色の肉球〜
- 和泉弐式 著・あとがき
- KADOKAWAメディアワークス文庫 2017/7/25
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語り手(人間)が子孫系だとか、猫が英国から来たとかいった正典との繋がりを示す要素は無し。猫のシャーロックという名前も途中で語り手が付けたものでしかない。しかしその猫の振る舞いが妙にホームズらしいので、読む価値あり。
舞台の地図があると行ってみたくなったかも。
- ミス・シャーロック ノベライズ
- 木犀あこ 著 丸茂周、小谷暢亮、政池洋佑、及川真実、森淳一 脚本
- 集英社 2018/6/24
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動画配信サービスHuluのオリジナルドラマのノベライズ。全8話のはずだがこれは7章構成。地上波でも流された1話しか視ていないけれど、あまりホームズ的なノリは楽しめなかった。このノベライズも途中から話を持って行く方向が正典ではあり得ないものなので残念な感じ。マイクロフトもそれっぽくないし、一緒に動く警察官も正典で該当しそうなキャラが思い当たらない。
一応、消えた花嫁(独身の貴族)、ボール箱、株式仲買人といったあたりから発想を取ったエピソードはあるが、元ネタの分からない話もあり。
収録作品
- IQ探偵ムー 夢羽、ホームズになる!<上>
- 深沢美潮 著・あとがき
- ポプラ社ポプラカラフル文庫 2018/7
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シリーズとしてもう14年も続いているようで、朝日小学生新聞の連載作品。知らなかったのでいつもこんな構成なのか分からないけれど、現代日本が舞台で小学生の主人公達が活躍する話と、そのキャラに似ているけれど大人なキャラにホームズとワトソンを割り当て直したキャラがロンドンで事件に対応する話に分かれている。双方の関連に説明は無い。
まだ上巻ということで、書下ろし短編(ロンドンの方)以外は事件がさっぱり進展していないので、下巻待ち。しかしあのフォーチュンクエストの深沢さんの作品を今頃になって読むことがあろうとは、予想もしていなかった。
- IQ探偵ムー 夢羽、ホームズになる!<下>
- 深沢美潮 著・あとがき
- ポプラ社ポプラカラフル文庫 2018/8
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下巻なので当然事件は解決。ロンドンの方のワナのインチキ降霊会の仕掛けは児童向けとはいえ単純過ぎるかなぁ。謎解き自体は良いんだけど。
本編の方の森亞亭は今回初めてというわけではないレギュラーなんだよね。だとするとホームズネタは満を持してという感じか。
- 会計探偵リョウ・ホームズ
- Rootport 著・著者あとがき
- KADOKAWA 2018/8/5
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舞台は19世紀末ロンドン。正典が出版されているが、主人公たちが同じベイカー街に住んでいながら本物が存在する様子は無いので、あくまでもフィクションである世界観。ホームズとワトソンの呼称はそこから取った通称に過ぎず、直接的な関係は無い。それなのに、調べ上げた「教授」の名前がジェームズ・モリアーティ(酔狂で名乗っているわけではないらしい)なのはどういうことよ。
作品の雰囲気は意外とホームズものっぽくなっている気がする。ホームズ(女性)とワトソンの関係や会話は、探偵系バディものやラノベにありがちと言えなくもないけれど、ホームズものっぽさは出ていると思う。メイドのクレアがクリスティ・ハイテンションのノーラっぽいのは意識したわけではないと思うが(笑)。各章のタイトルが正典からなのはまぁ普通。
- 反時計回りのシャーロック
- 七海花音 著
- 小学館文庫キャラブン! 2019/3/11
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現代の日本の高校生が不思議な扉のタイムトンネルを通って一八八〇年のロンドンでホームズに出会う・・・ということに一応なっているけれど、そもそもホームズをフィクションの人物と認識している以上、素直にタイムトラベルしたと信じるよりも物語の世界に入り込んだファンタジー、とは言わないけれどパラレルワールドくらいに認識した方が自然。主人公が自称シャーロキアンのくせにヤードの意味も分からないのは本人の問題としても、ホームズがベイカー街に住んでいるくせにワトソンと出会う前という設定は失笑もの。
事件の内容も緩すぎてホームズが大して活躍しないまま簡単に解決するし、あの真相だとしたら途中で古美術商を通すなんていう不確かな方法を取るのは危険過ぎる。もう一段の裏があると疑うべき。
主人公たちの成長物語としても、現代に戻ってしっかり生き直そうと決意したという程の試練でも無かったので、説得力に欠ける。まぁ、もう続編は出ないことを期待しよう。後書きとかも無いような本だし。
- 猫探偵はタマネギをかじる ニャーロック・ニャームズの名推理
- ヒロモト 著
- 宝島社文庫 2019/5/24
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猫から見た人間の文化等の知識のバラつきにはご都合主義的なところはあるものの、ニャーロック・ニャームズとニャトソンの関係性はそれっぽくて楽しめる。
しかし、キッドとジャックの名前を間違えているところがあったりと、編集者が仕事をしていないレベルの間違いがそのままなのは残念。元々ネットで公開しているものなことを考えると読者からの指摘もずっと無かったのか?
収録作品
- 英国幻想蒸気譚I −レヴァナント・フォークロア−
- 白雨蒼 著
- KADOKAWA 2019/7/17
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いわゆるスチーム・パンクな別の世界観の19世紀末ロンドンで、日本人らしき暗殺者か忍者っぽい一族の若者が、あのサン=ジェルマン伯爵と組んで機械の化け物にされた人間と戦う冒険譚。本巻ではホームズは名前が出るくらいだが、次巻では本格的に登場する模様。レストレードは登場している。
スチーム・パンクのスチームを文字通りの蒸気機関の意味でしか使っていないのは世界観的には少々残念。本来は、人造的な動力がせいぜい蒸気機関くらいしか無かった時代に過剰に科学が発達したら、というIFを挿入した場合のそれ以外の文化の発達とのアンバランスさのある世界観が表現できれば、使われる技術は何でも良いはずなんだけどね。そういう意味では魔術系の要素とかはかえって邪魔。
- 英国幻想蒸気譚II −ブラッドレッド・フォルクール−
- 白雨蒼 著
- KADOKAWA 2019/10/17
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ホームズは登場したものの、最初にちょっぴりとクライマックス前にもう少し、という程度。ストーリーにはそれほど関わらない上に、ホームズにがっつりとオカルト要素を絡めるのはどうか。それも後半に再登場した時には全く触れられないイコール特に必要無かったんじゃないか?という程度だし。
前作と同様、言葉遣い(特にルビの振り方)が鼻につくのは閉口する。挿絵ももうちょっと渋めの方が合っていた気がする。全体的には割と好きなんだけどね。シリーズ化する舞台は整ったという感じで終わるんだけど、続くかな?
- ワトソン・ザ・リッパー 〜さる名探偵の助手の誰にも話せない過去〜
- SOW 著
- LINE/日販アイ・ピー・エス LINE文庫エッジ 2020/1/8
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これだけタイトルで内容の見当が付きそうなのも珍しいけれど、実際は予想の斜め上というか下を行っている。ホームズとオカルトはやはり相性が悪い。まぁこれはホームズどころかワトソンですら真の探偵役ではないんだけど。ホームズにしなくても話は成立した気がするし、切り裂きジャックの正体についても割とよく出てくる候補? モモを最後にビリーにしなかったところも中途半端。
p.275のセリフでは名前を間違えてるな。ニャーロック・ニャームズでもあったけれど、元々ネットで公開済みなのに誰も指摘しなかったのだろうか。
- ゴーストタウン 冥界のホームズ
- 柳広司 著・あとがき 竹清仁 原案
- KADOKAWA角川文庫 2021/7/25
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ワトスンが目覚めるとライヘンバッハで死んだホームズのいる死者の街にいた。しかもホームズは骸骨、ワトスンは犬の姿で。そこからやはり死んでいるモリアーティとの対決というストーリー。
ボリュームも少な目だし展開も早いので軽く読むのには良いけれど、論理的な面での説得力は弱め。カトーとメアリーにご都合主義的に頼り過ぎな感じもするし。死後の世界といってもロンドン限定の狭い世界だし。
メアリーがわざとらしくワトスンのことを「ジェイムズ」と連呼するのだが、説明は無しなので面倒くさい。
- シャーロック・ホームズを読んだことのない俺、目が覚めたらコナン・ドイルでした
- 結城光流 著・あとがき
- KADOKAWA富士見L文庫 2022/11/15
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ホームズものではなくてドイルもので、まぁタイトル通り。ホームズを書く前の若き日のドイルなんだけど、ホームズに出て来る単語の使い方がわざとらしい。そこまでやるのなら相棒はジャックじゃなくてジョンにしておけばいいのに。ラノベっぽい割には中に挿絵は無いんだよなぁ。
事件そのものも犯人の狙いが盗難品ではなかったりして偶然の要素が強過ぎる上に、最後の犯人との対決のところも盛り上がりに欠ける。というかそもそも主人公が共感し辛いレベルで鈍くてぼんくら。まぁこの経験があったなら後年のドイルが心霊にハマったのも分かるという点だけは納得かも(笑)。
- シャーロック・ホームズの凱旋
- 森見登美彦 著
- 中央公論社 2024/1/25
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本の最初から4分の3くらいはヴィクトリア朝京都という無理があるパラレルワールドのホームズとワトソンの物語になっているが、ホームズが徹底的なスランプ状態という設定もあってコミカル色が強過ぎる。京都の地名の土地勘があったらもっと楽しめたのかもしれないが。
それで最後まで行ってくれればまだしも良かったが、半ばから重た目なオカルト事件の話になって来るし、さらにはありがちなメタ展開に行ってしまう。唸らされるような上手い展開とは到底言えない。今度はホラー味が強いし。
ホームズものをハードカバーで読むのは久し振りだったかもしれない。
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