※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。 【6】 残っていた全ての衣服を脱いでベッドに上がると、まるで飛びつくように勢い良くウィアが抱きついてきて、フェゼントはその勢いのままベッドに倒れ込む。抱きついて来たウィアがキスをせがんで来るから、また二人は長いキスを交わす。 ベッドの上で抱き合えば、胸だけではなく全身ぴっちりと肌と肌をあわせる事が出来るから、相手とたくさん触れ合えているその感触だけで幸せだと思える。するりと、柔らかな肌と肌を擦り合わせて、何度も唇を合わせなおす。夢中になっていけば、触れ合っている性器同士が存在を主張しだして、相手の興奮が分かれば尚求めるように、キスも更に深くなる。 それでも、このままだと埒があかない、と思ったウィアが顔一杯に名残惜しいという表情を浮かべて上体を起こし、それを見たフェゼントが軽く微笑んで彼もまた起き上がった。 今度は、体勢を入れ替えるように、ウィアがベッドに横になり、その上にフェゼントが覆い被さる。 フェゼントは、ウィアの両の耳元に軽く口付けると、今度はその胸に舌を這わせだした。 「ん……」 ピクリと肩を上げて、ウィアは軽く吐息を漏らす。 触れられると、最初はちょっとくすぐったくて、でもすぐにそれは別の感覚に変わって行く。フェゼントの手が優しく体をなぞっていけば、ぞくぞくと背筋を駆け上がって来るものがある。もっとその先が早く欲しくて彼の体に手を回せば、少しだけ笑った気配がした後、フェゼントの唇がウィアの胸の赤く色づくものを啄ばんだ。 「あ……ぅん」 ウィアはもどかしそうに腰を揺らして、目を閉じた。 フェゼントの唇が、ウィアの胸の上を滑る。そうしながら、時折触れる存在を主張する尖りを唇だけで挟み、先端だけをちろりと舌を出して舐める。ウィアがその感覚に甘い声を上げれば、まるで意地悪をするように、唇はそこから離れてしまう。 いや、意地悪をするように、というよりも、普段優し過ぎる程優しい彼は行為の時だけは少し意地悪だ。だからウィアはそんな彼にやり返したくて、いつも反撃のチャンスを狙っているのだが。 けれども、どうやってフェゼントにやり返そうかと思った直後、彼の手が下肢に落ちてウィアのものを掴むと、驚いたウィアは背を跳ねさせた。 「うわ、まだ、そっちはタンマっ」 だが、そう言えば逆にそれに刺激を与えだすのが彼の手だ。 ウィアが感覚に耐えるようにぎゅっと目を閉じていれば、フェゼントの手は本格的にウィアのそれを掌で扱きだして、ウィアに考える余裕を無くさせる。更には時折、思い出したように敏感になっている胸の頂きを舐めてくれるから、その度にウィアの肩は跳ね上がり、甘い喘ぎを漏らしてしまう。 「や、フェズぅ……あ、あぁっ」 厭らしい水音が下肢から上がって来る事にウィアは頬を染めながらも、腰は更なる刺激を求めて浮いてしまうのは仕方ない。たまに手を止めてウィアの顔を見て来るフェゼントは、ウィアが少し涙目になりながらももっと先を強請るように見返すのを確認すると、笑みを浮かべて手の動きを再開する。 更には何度か目のそんなやりとりの後、また手を止めた彼に抗議の目を向けたウィアは、フェゼントの顔が下肢に向かっているのに気付いてしまった。 「フェズ、いや、もういいからって、いいよっ」 言ってもフェゼントは止めてくれない。降りて行く彼の顔はそのままウィアの下肢へ向かっていて、止めるのも聞かずに、とうとう、散々彼の手で硬くさせられたそれを口の中へ引き入れてしまった。 「うわ、ちょ……」 暖かくぬるりとした粘膜に包まれれば、それだけで快感が膨れ上がる。 既に手で散々弄られていた後だから、その感触だけでイきそうになる。 けれどウィアはそれを必死に抑えて上体を起き上がらせると、体を無理矢理曲げて、フェゼントの股間に手を伸ばした。 「え、あっ……」 驚いたフェゼントは思わずウィアのものを口から出す。 そうして顔を見返して来た彼に、ウィアはにやりと笑みを浮かべて言った。 「俺だけとか嫌だからさ、やるならお互いに気持ち良くなろーぜ」 目を見開いたフェゼントは、それを聞いて、仕方がないというように苦笑して肩を竦めた。 「分かりました」 言うと同時に、フェゼントは自分も体を伸ばしてベッドに横になる。そうすればウィアは嬉しそうに彼の股間に顔を寄せて、少し反応している彼のものを口に含んだ。短い吐息を吐いた後、フェゼントもまたウィアのものを再び口に咥える。 互いに相手の一番欲望に忠実な部分を口に含んで、愛しそうにそれを舐める。競りあがって来る自分の快感に耐えながらも、感じれば感じる程、相手にも感じて欲しくて夢中でそれに刺激を与えて行く。 とはいえ、先に散々感じさせられていた分、ウィアは不利だった。 フェゼントをイカせてやろうと必死になっても、さっきから寸前まで行っていたウィアは、あっけなくも、あまり時間を経ずに先に果ててしまった。 「くそぅ」 思わず呟けば、フェゼントが笑ったのが分かる。 ウィアは悔しさに顔を赤くしながら、その彼に抗議する代わりに、口の中のものに仕返しする。 一度口から出したそれを、そのカタチをなぞるように根元から舌で舐め上げて、先端の一番敏感になっている部分を舌で擦る。それから全てを口に含んで、唇を窄めてそれ全体絞り上げるように顔を動かす。 「あ……ウィア、やめっ」 そうすれば、流石にフェゼントも余裕がなくなっているらしく、触れている彼の腿が緊張にぴくぴくと震えだした。 けれど、それでウィアが少しいい気分になれたのはほんの一瞬だけの事で、仕返し以上の事が返って来る。 今度は、自分の下肢、しかも後孔に濡れた感触を感じたウィアは、もう少しで飛び上がるくらいに驚いた。 更には、そこに触れられれば予想が出来てはいるが、ぬるりと、フェゼントの指がぬめりを伴ってウィアの中に入って来る。 「う、うぅぅ……」 今は声が出せないから喉だけで唸れば、その振動に反応してフェゼントの指は止まる。けれどもすぐに、今度は指を奥に入れてその内壁を擦り上げてくれるから、ウィアだって何も出来ずに止まるしかない。 フェゼントの指はウィアの中を探る。余程ぬめりがあるのか痛みはほぼなく、体の中をぬるぬるとその外見の割にはしっかりした彼の指が突き上げて来る。 一緒に含まされている液体が、その度にぴちゃぴちゃと濡れた音を鳴らす。 奥の感じる部分を指で押される。 その感覚は耐えられなくて、ウィアはとうとう口からフェゼントを出してしまうと、きつく目を瞑ってその感触に耐えた。 「あ、んんっ」 指が増やされて、中が更に広げられる。 「や、フェズ、もうやめっ……」 中で指を広げて内壁を広げられ、その状態から指を擦り合わせるように中の肉を押されて、ウィアは自分でもそこがひくひくと動いてしまっている事を自覚した。 「もう、いいからさっ」 声はもう、涙声だった。 フェゼントはそこから更に指を増やして、今度はそれを出し入れさせてウィアの中を突き上げて来る。 「やぁっ、やだっ、あ、あんっ」 指の動きに合わせて声が漏れてしまうのを抑えられない。 自然と腰が揺れてしまっているのを、ウィアが自覚する余裕はなかった。 「も、いいからっ、いいから、フェズっ、お願いだからっ」 そう叫べば、フェゼントの指がやっと止まってそこから引き抜かれる。 ウィアはすぐ起き上がって、フェゼントに抗議の目を向けた。 「ずっりーぞ、フェズ。俺ばっかいかされるのは嫌だって言ったろっ」 「でもウィア、どちらにしろ慣らさないとならないでしょう?」 笑顔でそんな事を言われれば、ウィアはそれが間違ってはいない分、黙って顔を赤くするしかなかった。 そんなウィアに、少し意地が悪かったかと反省したのか、フェゼントはウィアの子供みたいな丸い頬に軽くキスを落として抱き締める。 「すいません、ウィア。私もそろそろ限界なんです、貴方の中でいかせてくれませんか?」 口を尖らせていたウィアは、それにはまだ眉を寄せながらも、唇に笑みを浮かべて返事を返す。 「分かったよ、ったく、仕方ねーなぁ」 それから、彼の背に腕を回して抱き締め返した。 フェゼントが優しくウィアの体を倒して行く。 ウィアの背がベッドについたのが分かると、フェゼントは目で確認を取った後、ウィアの足を開いてその間に体を入れた。 「一気に入れちゃっていいからな」 目を閉じたウィアは、そう言って身構えるように息を吐いた。フェゼントは優しいから、痛みを伴うかもしれない事に関して、かなり恐々とウィアを扱う。ウィアとしては、ゆっくり慎重にされ過ぎるのもまた辛いのだが、いくら言ってもそうそう思い切れるものでもないらしい。 だから毎回こうしてハッキリ言ってやっても、やはり彼はまだ怖いらしく、言われた途端に、一瞬、戸惑いを見せる。 「フェーズ、俺はそんなやわくないから、だいじょーぶ、ちゃんと慣らしてくれたしなっ」 そうして笑えば、やっと彼は緊張した面持ちから少し表情を崩して、ぐっとウィアに彼の欲望を押しつけて来る。 最初は、正直、やはり少し痛い。 でも痛みはそこまででもなく、ずるり、と一気に入って来た時の、苦しさと異物感で喉が詰まる。腹の中に一気に押し込まれる感触は、正直気持ちいいものではない。 だから彼が動き出すとウィアは少しほっとする。最初の感覚をやりすごせば、後は中を擦られていく内に熱が生まれる。疼くようなゆっくりとした快感が、下肢をだるく覆って行く。 「ウィア、大丈夫、ですか?」 余裕がないくせに心配そうに言って来るフェゼントに、ウィアは体を伸ばして抱きつく。 「いいからっ、もっと……」 言えばフェゼントの動きは速くなる。 彼もかなりぎりぎりなのか、その動きがだんだんと荒々しくなって、肉と肉がぶつかる音が響いて来る。奥をずんと突かれる感触に、ウィアの頭もぼうっとなって来る。 「ウィア、大好きです」 「ん、俺も……」 互いにいいながら下肢を揺らして抱き締めて、汗で滑る肌の滑りを借りて、更に激しく下肢を合わせる。 今度は先に達したのはフェゼントの方で、ウィアは快感に朦朧とした頭で嬉しくて笑みを浮かべた。 けれど、結局中に吐き出されたその熱い流れの感触に耐えられなくて、ウィアも然程遅れる事なく限界を迎えてしまったのだが。 二人して、息を弾ませて、汗ばんだ体で抱き締めあって、そうし軽いキスを交わして体を離そうとする。 けれど、おそらく体を拭く為に立とうとしたフェゼントを、引き留めて再び抱き締めたのはウィアだった。 「もう少しフェズを感じてたい。今、すっげー、気持ちいいからさ」 言えばフェゼントは、柔らかな笑みを浮かべて抱き締め返して来る。 慈しむように、優しい手がウィアの髪の毛を撫でて前髪を掻き揚げて、その額にキスをしてから、フェゼントは顔をウィアの肩に埋めた。 「大好きです、愛しています、ウィア」 「俺も愛してるよ、フェズ」 どちらともなく笑みが自然に湧いて、抱き締め合って互いの体温を確認しあう。くすくすと、耳元で聞こえる相手の笑い声を心地よく聞いて、目を閉じる。 「愛してる……」 最後に呟いた声はどちらのものだったのか。 目を閉じたままそのあまりの心地よさに、二人共に睡魔に身を委ねた。 --------------------------------------------- 久しぶりの甘々H。実は甘々系は書いてて恥ずかしい気持ちになったり(・・*。 次回からはセイネリアとシーグルの話になります。 |