東京徒歩旅行(2) 〜沖縄居酒屋編〜 その7
港区・新橋「めんそーれ」
「めんそーれ」のカウンターにて。時刻は午後6時30分頃。嵐の前の静けさです(^_^;)
8/22/2002 新橋「めんそーれ」
[牛込神楽坂 → 靖国神社 → 半蔵門 → 国会議事堂前 → 新橋 (晴)]
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# 7-1
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8月は暑さ真っ盛りということで,神楽坂からは距離の短い新橋に行こうと計画しました。地理的には葛西と池上の間です。
新橋には不安がありまして・・・ それは都心ということです。「成り行きまかせで楽しくやろう」というノリが,都心で坪単価も高いお店で通じるのだろうか・・・ とにかくこの沖縄居酒屋巡りでは,都心は新橋のみです。
不安は,7月初旬に名古屋在住の友人(Yuneleさん)が出張で来たとき「下見をしよう!」と心当たりを回って,3軒連続で「満員です」と断られたことで増大しました。「めんそーれ」は半ばヤケで回った4軒目,何とか最後の一席に滑り込めたことから縁ができたお店です。
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# 7-2
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さらにもう一度埼玉の友人(Hatabouさん)と飲みに行くという念の入れ方で,迎えた本番は8月22日の木曜日。朝起きて涼しかったことと,午後から仕事を休んでも支障がなさそうなことから,通勤電車の中で決定したということで,こちらはとても行き当たりばったりです。
オフィスで千代田区の地図のコピーを取って,昼食に前回に引き続き矢来町の「ラ・ペ」でミックスフライ定食を食べながら行程を決めました。距離は8kmほどということで,普段の半分ほど。余裕があるせいか,チーフとの会話もはずみます。
「ラ・ペ」を出たのは午後2時半。空気は適度に渇いていて秋のように涼しく,8月下旬とは思えない散歩日和です。
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# 7-3
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余裕を楽しもうということで,まずは宮城道雄記念館向かいの中町公園で一服。バイク便のお兄さんが隣りのベンチでくつろいでいます。宮城道雄さんは明治期に「春の海」という曲を作ったことで有名な作曲家さんらしいです。
警備がものものしい最高裁の裁判長公邸前を通過して,だらだら長い坂を降りて外堀通りを渡ると皇居の外堀にかかる新見付橋。ここから見るとなじみの飯田橋の街並みも妙に綺麗に見えます。堀の縁を走るJR中央線の快速電車は赤い色(だいだい色)のままですか,各駅停車はレモン色からシルバーメタリックと黄色の帯に変化しました。
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# 7-4
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橋を渡ってすぐそばには,法政大学と名前が記された高層ビル(市ヶ谷キャンパスボアソナードタワー)。25階まで上がって景色を見てみると,立体的でいい気持ちです。学生は夏休みのせいかほとんどいません。ここでもまたまた一服。
タワーを出て靖国神社の壁に沿って歩くと,さりげなくアコム(大手サラ金)の本社ビル。タワーから10分ほど歩いた靖国神社には,参道ではなく北門から入りました。神社の中には遊就館(宝物遺品展示館)や明治初期に作られたという日本庭園があり,疲れもしないのに三たび一服。これらは何度か靖国神社に来ていながら,今回初めて気が付きました。
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# 7-5
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本殿前では手を合わせたものの,参道は通らずに南門から神社を後にして靖国通りへ。九段坂上交差点からは千鳥ヶ淵に沿った緑道を歩きました。ここはサクラ並木で有名ですが,8月のサクラは目いっぱい葉が茂って,薄暗ささえ感じさせます。
堀端にあった古いホテル(フェアーモントホテル)は閉ざされ先頃更地になって,跡地には高層マンションができるとのこと。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑にも今回初めて参りました。ここは海外で亡くなられた無名戦没者を奉った墓とのこと。祭壇に手を合わせると,いろいろ問題はあるとはいえ,戦争のない平和な時代に生きることの幸せを感じずにはいれません。
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# 7-6
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千鳥ヶ淵の交差点からは,皇居の内堀沿いの道。ここは一周5.1kmのジョギングコースとして有名で,私も何度も走ったものです。前に走ったのはいつだったかなあ・・・
高台にひとつポツリとあるのが半蔵門。過ぎるとジョギングコースは下り坂。並木はユリノキ,花はアベリア。半蔵門から三宅坂に向かうこの下りの坂は,私が東京の中でいちばん好きな景色かもしれません。特に春の菜の花が咲く頃が最高です。また4月頃に,桜田門を起点に時計と反対回りに走ってみたいなと思いました。
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# 7-7
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三宅坂交差点でジョギングコースとお別れして,社民党本部から国会図書館へ。国会図書館は,廃村関係の資料の検索でこのところ何度も訪ねています。図書館前には「ネコに餌を与えないでください」という張り紙。「ハテ?」と思って辺りを見ると,すぐ近くにネコに餌を与えているおばさんを発見しました。
その様子を興味深く見ていると,「ネコはお好きですか?」とおばさん。「はい」と私。おばさんは「よかったー」といってニコリとして,「この子はお母さんで,そこの草の影に仔猫がいて・・・」と話してくれました。
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# 7-8
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道を挟んで国会議事堂(永田町1丁目)。歩いている人はオノボリさんか,気紛れな散歩人ぐらいのものです。図書館側(正面から見て右側)が参議院で,反対側が衆議院。今回は正面を見渡せる道は通らず,参議院側から衆議院側へと歩きました。議事堂前はイチョウ並木になっていて,11月頃には綺麗な黄金色の落ち葉の散歩道になるのかもしれません。
仕事の関係でなじみのある霞ヶ関ビルが見えたので,その方向に歩くと,妙に寂れた下り坂があり,そばにはシャッターの閉ざされたビルやポツリと建っている民家がありました。隣りは内閣府,その隣は首相官邸ということで,都心の過疎を感じさせるひとこまです。
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# 7-9
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そんな寂れた雰囲気は,外堀通りは特許庁前の交差点を渡ると一変して,活力のあるビジネスマンの町(虎ノ門2丁目)が展開し始めました。左は新橋,右は赤坂,まっすぐ行けば六本木・・・ 佇んでいると,この辺りが日本のビジネスの中心地のように思えてきます。
桜田通りを越えたあたりから目立ってきた壁のような建設中の高層ビルは,どうも新橋駅の向こう,汐留に位置するようです。
西新橋2丁目で少し道をそれると,小学校(旧桜小学校)跡の古い建物があり,門柱にはステンレス製の「港区住宅公社」という看板がありました。少し前までこの地域に黄色い帽子の小学生がウロウロしていたとは,とても想像できません。
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# 7-10
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日比谷通りを過ぎると,時間は午後6時少し過ぎ。意外に簡単に「めんそーれ」の看板を見出すことができました。さすが二度も下見しただけのことはあります。お店は事務所に行くような雰囲気の目立たないビルの2階にあり,この日一番乗りでした。
うるまガイドによると,「めんそーれ」は平成11年(1999年)創業,座席は25席。ご主人(慶田城せいごうさん)は八重山の小浜島(こはまじま)出身。「めんそーれ」は「ようこそ」を意味します。ガイドには新橋に沖縄居酒屋が6軒も掲載されており,「新橋って沖縄と縁が深いのかな?」とも思ったのですが,単に新橋に居酒屋がたくさんあるということらしいです。
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# 7-11
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今回の注文は,グルクンの唐揚げと海ブドウ,沖縄そば,飲み物はオリオンビールの中ビン2本,八重山の泡盛「八重泉」を2杯。「めんそーれ」でのお奨めは,一度目の下見で食べた「ジューシー」という沖縄風雑炊です。
はじめは慶田城さんが向かいの席に来て,お話ができるほどのんびりでしていたのですが,これは嵐の前の静けさ。バイトの女性が入って,少しずつお客さんは増えていきました。それでも合間に慶田城さんが三線を爪弾くひとときがあったのは幸いです。
テーブルを囲むお客さん同士の距離は短く,下見では二度とも話の広がりがあったのですが,残念ながら本番では生じませんでした。
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# 7-12
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お店が満員になったタイミングとともに「めんそーれ」を出たのは9時少し過ぎ。お勘定は4,730円でした。ひとりで行くとすれば,早い時間に軽く飲むのが良さそうです。
今回もちょっと歌いたくなったので,新橋駅まで酔客で賑わう街を歩き,山手線で池袋に出て,昔なじみのスナック「西海岸」に2年少しぶりに足を運びました。「西海岸」のマスターは,新宿,青山などのお店を転々として,池袋には1週間前にきたばかりとのこと。
池袋と南浦和はほど近く,ずるずると飲んで歌っているうちに,埼京線,京浜東北線ともに終電になってしまいました。
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●歩行距離 8.1km
●時 間 3時間25分 (昼食休憩を除く)
最高気温 |
(平年) |
最低気温 |
(平年) |
湿度 |
27.4℃ |
(30.5℃) |
21.2℃ |
(24.1℃) |
42% |
時間 |
距離 |
ポイント |
区名 |
備考 |
12:10 |
0.0 |
牛込神楽坂駅 |
新宿区 |
都営大江戸線・大久保通り
|
12:25/14:30 |
0.5 |
矢来町「ラ・ペ」 |
新宿区 |
|
15:07/15:40 |
1.7 |
新見付橋 |
新宿区 |
外堀通り |
15:53/16:15 |
2.3/2.7 |
靖国神社 |
千代田区 |
靖国通り |
16:23 |
3.1 |
九段坂上 |
千代田区 |
内堀通り・靖国通り |
16:45 |
4.1 |
千鳥ヶ淵 |
千代田区 |
内堀通り |
16:55 |
4.6 |
半蔵門 |
千代田区 |
地下鉄半蔵門線・内堀通り・新宿通り(R.20) |
17:02 |
5.1 |
三宅坂 |
千代田区 |
内堀通り(R.20)・青山通り(R.246) |
17:12/17:25 |
5.7 |
国会議事堂 |
千代田区 |
地下鉄丸の内線・千代田線 |
17:35 |
6.4 |
内閣府前 |
千代田区 |
六本木通り |
17:40 |
6.6 |
特許庁前 |
港区 |
外堀通り |
17:53 |
7.0 |
虎ノ門南 |
港区 |
桜田通り(R.1) |
18:03 |
7.8 |
西新橋2丁目第2 |
港区 |
日比谷通り |
18:08 |
8.1 |
新橋「めんそーれ」 |
港区 |
|
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(8.4) |
新橋駅 |
港区 |
JR東海道線・横須賀線・山手線・京浜東北線・営団銀座線・都営浅草線・ゆりかもめ線・
外堀通り・昭和通り・中央通り・第一京浜(R.15) |
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【Column 07】 八重山は芸能文化の宝庫
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沖縄を地域で大別すると,本島地方(沖縄本島とその周辺の島々),宮古(宮古島とその周辺の島々),八重山(石垣島とその周辺の島々)の三つに分けられます。「めんそーれ」の慶田城さん出身の小浜島は八重山です(八重山の面積は592ku,人口は約47,000人)。
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八重山というと,本島中部のコザと並ぶ芸能文化の宝庫。「安里屋ユンタ」は竹富島,「鳩間節」は鳩間島の民謡ですし,石垣島出身のBeginと夏川りみさんは,そろって平成14年の紅白歌合戦に登場しました。
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小浜島の面積は8ku,人口は500人弱。ほんと小さな島ですが,平成13年の朝の連続ドラマ「ちゅらさん」でたっぷりと登場しました。主人公の父親役の堺正章さんが三線を弾き語りする姿は,のんびりとした八重山の雰囲気がよく出ていたと思います。
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八重山の泡盛というと「八重泉」,「請福」などがありますが,八重山関係以外のお店ではあまり見かけません。「めんそーれ」と自由が丘「なんた浜」(ママが竹富島出身)の共通項は,新橋と自由が丘の地域柄もあってか,明るくも垢抜けたお店ということです。
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