ここから先は:「夏」さんの物語です
カエルスーツを着せられた。
一番ダボダボの格好をした宇宙人が一人の宇宙人に何かを言うと、
話しかけられた宇宙人が緑色の服らしきものを持ってきて僕に
差し出したのだ。
「僕にこれを着ろっていうの...?」
黄緑色の、レオタードによく使われているような布地だ。
少し光沢がある。
宇宙人は何も言わずうなずいた。
他の宇宙人まで集まって、僕をを囲んでいた。
レオタードなんて着るのはごめんだ。
このまま逃げることはできないのか、僕は考えた。
このまま逃げるよりは、もう少し様子をうかがって
うまく逃げるタイミングを掴んだ方がいいかもしれない、
僕はそう思って差し出された服を広げてみた。
レオタードの方がまだましだったのかもしれない。
ただのレオタードだと思っていたのだが、
首の部分でその服は切れていなかった。
お腹の部分は白く、頭の上の右側と左側部分には丸い目玉がついている。
「これはカエルスーツではないか!?」
「脱いだ服はこの籠の中に全部入れてもらおう。」
一番だぼだぼの服を着ている宇宙人が、たらいを僕の前に置いた。
ここでそのまま着替えないといけないようだ。
「せめて向こう向いててくれない?」
「それはできない。」
だぼだぼの宇宙人がそう言うと、宇宙人全員が手を繋ぎ、顔を下に向けた。
薄目を開けて盗み見をしようとしているやつがいないか少し試してみたが、
その様子はない。
(今がチャンスか?)
「われわれから逃げられると思うなよ。」
一番背の低い宇宙人が言った。
(明日までまだ時間があるんだ。)
僕はおとなしくカエルスーツに着替えた。
カエルスーツは思った以上にフィットしている。
体全体がスースーする感じだ。
「着替え終わったようだな。」
宇宙人はもう全員顔を上げていた。
「ついて来い。」
だぼだぼ宇宙人の後を、他の宇宙人にかこまれながら歩いた。
「明日までここで練習をするんだ。」
沢山の人が賑わう場所を10分近く歩いて、
着いたのは大きな室内水泳場だった。
「練習?何があるの?」
「他のやつに聞くんだな。」
プールでは僕と同じようにおかしなスーツを着せられた
人達が沢山泳いでいた。
何人かの宇宙人に監視されながら、皆一生懸命に泳いでいる。
熊、トカゲ、かめ、ヘビ...僕はカエルだが、
ましな方だったのかもしれない。
「明日までだぞ。」
だぼだぼ宇宙人は去って行った。
「あのー、ここにいらっしゃる方達は皆一生懸命泳いでいる
ようなのですが、どういうことでしょうか...?」
一番近くで泳いでいる人に話しかけた。
カバのスーツを着せられている人は、顔を上げた。
「浅川!お前もここに!」
「山本!」
.........
まだここまでです。誰か続きを書いて下さい
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