希望と陰謀は災いの元
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【12】



「くそ……」

 状況に気付いてそう呟けば、服を脱いだ彼が覆いかぶさってきながら言ってくる。

「何がくそだ、嫌なのか?」
「嫌、ではないが……」
「なら黙って流されてろ」

 そこで今度は額に軽く口づけてきてからすぐに離す。彼の顔は笑っていた、それもちょっと悔しい。

「流されて、はないだろ。別に流されてお前とヤル訳ではないし」
「なら俺がもっと積極的にやる気になれ、と言ったらそうしてくれるのか?」
「いやそれは……」

 シーグルが唇を引きつらせれば、セイネリアは楽し気に笑う。それに悔しくなってしまうが、そもそもこの男はこういう時、こちらがどんな反応をしても楽しそうにしているという事をシーグルは思い出した。

「まぁいい、恥ずかしがって意地を張るお前も楽しいからな」

 そう言ってさも楽しそうな顔でこちらの目元と瞼の上にキスをしてくる男は、その次には顔の角度を変えてこちらの顎をぺろりと舐める。それから喉に舌を這わせながら器用にこちらの服を広げていって、そのまま下に降りてくると鎖骨を舌で押してわざとぴちゃりと音を鳴らした。
 ……なんというか、こうして静かな部屋では唾液の音というのはやけに響いて、シーグルとしては恥ずかしくなるのだ。

「……いつも思うんだが、俺の体を舐めまわしてそんなに楽しいのか、お前は」

 あまりにも楽しそうな彼の様子にそう聞いてしまえば、セイネリアは顔を上げてやはり楽しそうに言ってくる。

「あぁ楽しいぞ。お前の肌の味も体温も匂いも確認できるし、こうしてじっくり観察も出来る。お前の体に新しい傷が出来たらすぐ分かるぞ」
「そんなにじっくり見て……覚えてるのか?」
「当然だな」

 セイネリアが記憶力も頭もいい事を知っているシーグルとしては、それにはちょっとげんなりする。……勿論セイネリアは楽しそうに笑っている。

「まぁなによりも楽しいのはお前の反応を見る事なのは間違いない」

 言うと彼は意味ありげな顔をして顔を胸に落として舌を出し、舌先で軽くこちらの乳首に触れる。さすがに声は出さなかったが、シーグルは思わず息を飲んだ。
 セイネリアはちらと目だけでこちらの顔を確認すると、見せつけるようにゆっくりと、尚もその先端だけをくすぐるように舌で舐めてくる。

「固くなってるぞ」
「うるさいっ」

 顔が熱い。やたら恥ずかしくて目を逸らすと、彼が喉を震わせて笑う。おまけのその吐く息が先端が濡れて敏感になった乳首をくすぐって、それに感じているのを自覚するから顔が更に熱くなる。

「……こっちも、反応してるな」

 そういって今度は彼の手がこちらの股間をやんわりと掴むから、シーグルは思わず、う、と声を出してしまった。しかも彼はそこから手を離さずそのまま表面を撫でるようなやさしさで触ってきて、そうかと思えば根元を揉んできたりするから堪らない。

「ばか……そっちは、まだ……」
「本当にしーちゃんはいつまでたっても反応が初心(ウブ)だなぁ♪」

 調子に乗ってそう言って来たセイネリアを蹴る、が勿論簡単に足を掴まれて、しかもそのまま足を広げられて彼の体がその間に入ってくる。

「忘れたのか? お前が抵抗したほうが俺は喜ぶぞ」

 わざとなのか体を擦りつけてきながら顔を近づけてきて、こちらの体の上に完全に乗り上げて来た男をシーグルは睨んだ。

「あぁ、お前はそういう変態だったな」
「変態だろうが狂人だろうが、誰にどう言われたところで気にならないな」

 それで議会での事を思い出したシーグルの表情が一瞬曇れば、すかさずセイネリアは両頬に口づけてきて優しく呟く。

「ただお前から本気で嫌われたら堪(こた)えるな」

 少し不安そうな目でそう言ってからまた唇に口づけてくるのだから、シーグルもため息をついて彼の背に腕を回して抱き着いてやる。
 まったく、この男はこういう駆け引きが上手い。
 いやそもそも駆け引き全般が上手いのだと思いなおして、苦手な自分が勝てる筈はないなと思う。それでも自分の事だけは本気で不安がる彼を見る度愛しいと感じてしまうのだから仕方がない。最強の騎士と呼ばれ、誰からも恐れられる男の見せる弱さが、それが自分にだけと分かっているから余計に嬉しくて……愛しいのだ。

「愛してる」

 キスの合間にそう言ってきては、頬を撫ぜながら、髪に指を入れながら、また唇を合わせ直してくる。それだけでなく腰をこちらに擦りつけてくるから、互いに熱くなっているソレの感触を感じて触れ合う度に熱が上がる。
 やがて股間から濡れた感触までしてくれば、彼はこちらの片足を持ち上げて足を入れて更に性器同士が絡み合うように擦りつけてくる。体勢や状態を考えると恥ずかしすぎるが、それでも自分のモノがどんどん膨れていくのが分かるから、シーグルは喘がないように口を固く閉じるのが精いっぱいだった。

「未だに声を抑えようとしなくてもいいだろ」

 右足を大きく持ち上げられた所為で左半身を下にして横向きで寝ているような体勢にされて、耐えて目を瞑っていたら耳元で囁かれた。そんな事にも感じてしまって、しかもそこで彼が手でもこちらのものを擦ってきたからシーグルはそこで一度限界を迎えてしまった。

「――この、馬鹿」

 悔し紛れにそう呟けば、彼が耳元で喉を鳴らして笑う。
 だから睨んで文句の一つも言おうとしたら……今度は彼の手が尻に回って指が中に入ってくる。

「って……イキナリは、やめ……」
「俺も限界だ」

 またそこでセイネリアは耳にささやいてくると、指で中を広げるように動かしてくる。シーグルとしては感触に耐えるしかなくて顔を顰めていたのだが、彼はそこで起き上がると持ち上げたままの片足を更に高く上げさせ、それをくぐってこちらの背後に回ってきた。そしてすぐ、彼の雄がそこに押し当てられる。

「ま、て……」
「だめだ」

 何がだめだ、と怒鳴ろうとしてもそこにまた指が入ってきて広げられて、そうして彼の雄がねじ込まれてくれば言葉なんか返せる訳がない。体勢の所為なのかやけにスムーズにそれは奥まで一気に入ってきて、心の準備をする余裕もなかった。
 しかも彼は、奥まで入るとそこで動かず、こちらにまた倒れ込んでくると耳元や目元やらにキスしてくる。首筋へのキスはキスというより肌を吸われたという感じで、あぁこれでまた跡がつくと頭の片隅でシーグルは考えた。

「知ってるかシーグル、お前のここが俺のを締め付けて勝手にびくびくと動いてる」
「うる、さい、馬鹿……」

 そんな事言われてなくても分かっていて、分かっているけどそこに意識を向けないようにしていたのに、言われればそこを気にしてしまって中にいる彼の肉の感触を感じてしまう。びくびくと震える自分のそこを自覚してしまう。

「愛してる」

 囁きながら、彼はまた顔にキスしてくる。髪を撫でて嬉しそうに触れるだけのキスを何度もしてくる。
 そしてその言葉に反応して、シーグルもまた自分が彼を締め付けてしまうのを感じていた。

「お前だけだ、お前だけを愛してる」

 また囁いて、そうしてやっと彼は動きだした。

「う、あ……」

 シーグルは目の前のシーツを掴んだ。
 セイネリアはそれでもまだ抑えてはくれているらしく、いきなり強く突いてくることはなく軽く揺らすような動きをしてくる。シーグルとしては長いブランクのせいもあってかまだ入ってくる時の苦しさに慣れなくて、直後は正直苦しいとしか思えなかった。セイネリアもそれを分かっているのかいつもかなり加減してくれているようで、ジクアット山へいく前にくらべると始めはかなり緩めに動いてくれる。

「ん……ぅん、う、く……」

 それでも体勢のせいか、彼がずっと奥に居て深い位置をずっと突かれている感覚は辛い。ただそれでも次第に上がってくる熱でだんだんと苦しさは感じなくなってくる。そしてその絶妙なタイミングでセイネリアの手が体に触れてくる。

「あ、ぅ、ぁ……ん」

 彼の手がまた胸を弄ってくる。胸の先端を指でこねるようにして弄りながら、彼の頭が近づいてきたと思ったら舌が耳に入ってきた。耳の淵を舐められて立てるぴちゃぴちゃという水音と彼の息遣いの音が耳の中で直接響いている。

「や、ぁ……」

 思わず頭をシーツに埋めてその音から逃げようとすれば、彼の顔が追いかけてきて囁いてきた。

「愛してる、シーグル」

 言いながらなだめるように耳たぶを吸って、それから笑う気配とともにまた囁く。

「顔を上げてくれ」
「ふざ……けるなっ」

 そう即答しながらもシーグルは顔を上げて彼を睨み付ける。そうすれば嬉しそうに笑っている男の顔があって、彼はそのまま口づけてくる。しかもそこから彼の手はこちらの股間に下りて、あの大きな掌で柔らかくこちらの雄を包んで軽く擦りながら少し強く突きあげてきた。

「う……ふ、ぅ……んァ」

 動きながらなため唇はすぐに離れそうになるのだが、その度に彼の唇が追いかけてくる。下肢は前と中をどちらも擦られて、上がってくる熱の微妙さがもどかしくて自ら腰が揺れる、びくびくと力が入って中の彼をより強く感じる。

「ん、ん、ぅ、ん、んぅ、ァ、ん……」

 不安定な角度で口づけているから、唾液が溢れて喉から落ちていく。
 肉を打つ音が規則正しくリズムを刻む。
 奥を強く叩かれる度に喉が鳴って鼻から高い音が抜ける。
 そうして、彼の手が強くこちらを擦ってくるのと同時に、シーグルはその手の中に吐き出した。程なくして彼のものが抜かれて背中に暖かい感触が掛かる。
 ぼうっとした頭のまま、シーグルはぐったりと体から力を抜いた。



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 あともうちょいエロあり。
 



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