ここから先は:「youta」さんの物語です

ニヤリとほくそ笑んだ。

「何だよ!何がおかしいんだよ?!」

真剣な僕の様子を見下すかのように、
真っ赤な毛むくじゃらはニヤニヤしながら口を開いた。

「そう、君の言うとおり私はムックだ。
君の小さい頃からテレビで活躍している。
しかし、私の長年の目的は、子どもを楽しませる事ではない。
この地球に住む人類すべてを支配する事だ。」

僕は当然のように反論した。

「じゃあ何で子ども向けのテレビなんかに出てるんだよ?!」

赤い毛むくじゃら、いや、ムックは、実に誇らしげに僕を見つめ、
話を続けた。

「君が気付くはずもない。私がテレビに出るのには、とても大きな理由が
あるのだ。子ども向けテレビ番組・・・子どもはいつも楽しみにそれを見
る。そんな子どもが楽しみにしている時に、親は自分の見たい番組のため
にチャンネルを変えるわけにはいかないだろう?よって、子ども向けなのに、
自然と親までもが、ポンキッキを見入るようになる。つまり、それが私の
策略なのだよ。私はテレビを見る子どもを徐々に洗脳していき、当然大人
も洗脳されていく。でも、みんな日毎に頭がおかしくなっていく事に全く
気付かないんだ。それが積み重なって、とうとう限界がきた。だから私は
いとも簡単に人類を支配する事が出来たのだ。そして、お前が最後の一人
だ。気付かない内にお前も私の洗脳を受けて・・」

そう言いかけたムックに、今度はぼくが笑って見せた。

「僕は洗脳なんてこれっぽっちもうけてはいない。
なぜなら、僕は生まれてこの方テレビでポンキッキをみた事がないからだ。
ムックやガチャピンの事は、友達に聞いて知っていただけだ。」

「何だと?!ポンキッキを見たことがないなんて、
そんな子どもいるわけないだろう!!!この嘘つきめ!!!」

僕は逆転した立場を誇らしく思いながらも、
苦い少年時代の思い出をかみしめながら、ムックに説明を始めた。

「なぜ僕がポンキッキを見たことがないかというと・・・


  1. 僕の家にはテレビが無いからだ!
    (この分岐より先「ゆう」さんの物語です。)


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