ここから先は:「トラッキー」さんの物語です

階段を登る。

僕は暫く様子をうかがい、物音がしないことを確認した。

それから階段をゆっくりと登る。
極力音を立てないようにしてだ。

あの宇宙人がどうなったか気になるが、
あのドアを開けるのは危険に思えたのだ。

僕は音を立てないようにして自分の部屋のドアを開き、すぐに体を伏せた。
這いつくばってのそのそと窓に向かう。

ここからなら玄関の外の様子を見下ろすことができるからだ。
僕はゆっくり起き上がり、窓の下を見下ろした。

緑色の液体がべっとりと流れ、家の前の道路に跡を残していた。
僕はゴクリと息を呑む。

あの生き物は仲間に殺されたのだろうか?

不自然にぷつりと途絶えた跡がこの世界に起こっている危機を示している。
「島をあげる」「スカラー波」謎な言葉。のほほんな態度。

そんな宇宙人に正直少し気を許していた。
だが、事態は思ったより深刻なのかもしれない。

もとい、僕(人類)にとっては深刻だが、
あの宇宙人にとってはたいしたことのないことなのかもしれない。

あのデタラメな言葉を鵜呑みには出来ないが、
本当に僕一人だけが降服してないとしたら、
今一番危険なのは間違いないく僕だろう。

僕は道路から目を離し、空を見上げた。
真っ黒な雲が僕の街を包んでいる。


  1. そうだ、友達に電話してみよう。
    (この分岐より先「にゃ」さんの物語です。)


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